(3)歓迎されているのかな
とにかく、急いで王の紋章を取り返さないと!
離宮の階段を大急ぎで駆け下りると、私は東にある騎士棟へと走る。そして、中にいた騎士たちに大声で尋ねた。
「ディアン大隊長はどこにおられますか?」
「さっきのレオスの報告で、襲撃を受けた橋にみんなと向かったぞ!」
「そうか、ありがとう!」
まだ女性なことは公表していないので、仲間の騎士の返事にいつもの調子で返すと、厩舎から愛馬のリールを引き出し、使者が襲われたという橋へと向かう。
腹を蹴ると、慣れた合図に、リールは急いで駆け出した。
まさか、事態がここに及んでも、第三王女様派がまた妨害をしてきたかもしれないなんて!
王妃様とギルドリッシュ陛下がマリエルの即位を認めたから、もう表だって反対することはできなくなったのだろう。だけど、できることならば、マリエルを認めたくない、隙さえあれば引きずり下ろしたいと考えている者はいるのに違いない。
直接即位を妨げることはできなくても、マリエルが王宮に入る儀式を邪魔し、正統性を疑わせる手に出てきた可能性はある。
そうはさせるか!
だから、私はリールを急かすと、使者が襲われたという橋へ向かった。田園地帯の森のすぐ側を流れる川は、広さでいえばたいしたことはないが、一帯の畑に水を供給しているだけあって、深さはかなりなものだ。特に冬で、天気のよい日に溶けた山の雪水が流れ込んでいる今は、水量と流れが普段よりも激しくなっている。
川辺に生えた木の側で、丸太が崩れて落ちたせいで怪我をしている者たちに、手当てをしている騎士隊を見つけた。
「レオス!」
「アンジィ」
片手を振って、声をあげる。
「使者の方と護衛たちはみんな無事か?」
「ああ、橋が崩れたせいで怪我をした者は、全員助けて今応急処置をしている。気を失っていた者もいたが、大半は裂傷が中心で、命に関わる者はいないようだ」
「そうか、よかった。賊は?」
さすがにかすり傷とはいかないが、ここから見ているのでも、多くは打撲か裂傷のようだ。これならば、日にちがたてば治るだろう。
「襲ってきた賊のほうも、今別の騎士たちが捜索に向かっている。報告のとおり、この橋が落ちて、隊列の前方と分断されたところを襲われたらしい。賊は十一人ほどで、ちょうど馬車が橋にかかりかけて、前にも後ろにも動けないところだったのを押し入り、中にあった王の紋章の入った箱を無理やり奪っていったそうだ」
「やはり、それが最初から狙いだったのか――」
だとしたら、ただの盗賊ではない。マリエルの元へ、今日王の紋章が運ばれることを知っていた者が、奪ったのだろう。
「来るのが遅かったが、なにかあったのか?」
マリエルのことなのに、私の到着が遅れたのが不思議だったようだ。さすが、レオス。こういうところは目敏い。
「出ようとした直前に、訪ねてきた者がいたんだ。第三王女様の後見人だった伯爵で――」
「ベルスート伯爵が?」
名前をまだ言っていなかったのに、今の話だけで、レオスには誰かわかったらしい。やはり貴族関係の知識は、私よりも豊富だ。
「ああ、だから、それを大隊長に知らせないと――」
「わかった。こういう事態の時にその伯爵が訪ねてきたのならば、すぐに報告したほうがいいだろう」
やはりレオスも伯爵の立場的に、行動を疑わしいと思ったようだ。二人で、騎士隊の指揮を執っていたディアン大隊長の側に近づくと、私は急いでウィリル長官の話を伝えた。
私の話に、ディアン大隊長は困ったように、頷きながら顎を撫でている。
「ウィリルの野郎……」
あ、やはりウィリル長官が元凶扱いだ。とはいえ、騎士隊を纏めているだけあって、すぐに状況を冷静に分析している。
「マリエル姫に届けられるはずだった王の紋章が盗まれて、すぐにウィリルと因縁のある第三王女の後見人だった伯爵が様子伺か。それは疑うなというほうが無理な話だな」
やはり、大隊長も同じ考えのようだ。だから、私も頷きながら、今の状況を尋ねた。
「襲ってきた賊の捜索は、どうなっていますか?」
「今、二つの小隊で追わせている。ただ、姫の儀式まであまり時間がないのが厄介だ」
そうだ、マリエルが王宮に入るのは明後日――。
それまでに見つけて取り返さなければならないのに、肝心の賊の情報があまりにも少ない。
「よし!」
少しだけ考えたディアン大隊長が、すぐに判断したように手を叩いた。
「事は一刻を争う。賊の行方は引き続き俺たちで捜すから、おまえたちは、ほかの騎士たちと一緒にそのベルスート伯爵の身辺を探ってみてくれ」
「はい!」
命令を受ける礼でそう答えると、急いでほかの騎士たちと一緒に都イルドへと向かう。
私とレオスは新米だが、ほかの騎士たちは、こういう貴族の身辺を調べる手順についても慣れているのだろう、すぐにいくつかの情報が集まってきた。
「王宮騎士団に問い合わせたところ、ベルスート伯爵は、最近はずっと妻と息子と一緒に、都に住んでいるらしい。第三王女様が嫁がれたあと、王都長官に任命されたので、その役目のためのようだ」
騎士たちが集めた情報を、レオスが纏めて私に伝えてくれる。それを王宮騎士団詰め所の廊下をコツコツと歩きながら、頷いて聞いた。幸い今は訓練の時間と重なっているらしく、ふだんは騎士が多いはずのこの廊下も、ほかには人影がない。とはいえ、念のために私は声を潜めて訊いた。
「つまり、後見人を終えたので、新たに任命されたということか?」
「まあ、そういうことだろう。功労賞的な意味もあったのかもしれない」
前ラルド王は、女にはだらしがなかったが、主君としては悪い治世ではなかった。王妃様が側でしっかりと支えていたこともあるが、女に関して以外は、民衆の評判も悪くはなかった。
女性関係を除いて。
だから、それを思い出しながら尋ねた。
「長官としての評判はどうなんだ?」
「真面目にやっているらしい。騎士たちの話によると、王都長官になってから積極的に市中を見回り、最近では、酒場や裏通りなどを歩くこともあったそうだ」
「では――やはり、賊ともなにか接点が!?」
「それはわからない」
王宮騎士団の都の詰め所を出て、私たちは玄関前の階段を下りていく。
「だから、今から、それを知っていそうな人物をあたってみようと思う」
そう言うと、愛馬の手綱を厩舎の側の木からほどいた。私も手綱をほどいたリールにまたがりながら、側のレオスを見つめる。
「わかった。でも、よくそんな人物を知っていたな?」
ここで教えてもらったのかと不思議に思いながら尋ねると、レオスは「うん……、まあ……ちょっとした縁で」と言葉を濁している。
あれ、あまり聞かれたくない話題だったのかな?
ひょっとしたら、過去に担当した事件かなにかで知り合ったのかもしれない。それが、口外を禁じられている貴族が絡むものだったら話しにくいのは仕方がないし、それならば深くは訊かないほうがいいよな。そう思って、市街地で歩いている人が多いので、速く走らせるわけにもいかない馬にまたがりながら進んだ。
都だから、いろいろな人たちがいるが、リールが速足で進んでいく先には、だんだん庶民が住んでいる区画が広がってくる。
あれ? レオスってこういうところにも知り合いがいるのかな? 騎士ならば、いろんな人に会っていてもおかしくはないけれど。レオスも騎士になってまだ日が浅いはずだし、なんだか意外だ。
馬が進んでいく先の家々は、だんだん小さく古くなっていって、とても貴族や騎士の知り合いが住んでいる区画とは思えない。私も、都には先日の逃げた刺客の探索とあとはマリエルの付き添いで何度か王宮とを往復したぐらいだから、あまり詳しくはないが、故郷の街の感覚で言うと、どう見ても流れ者や日雇いの者たちが集まる地域に似ているのだけれど……。
「なあ、レオス。本当にここにおまえの知り合いがいるのか?」
ひょっとして、道を間違えたのかな。だったら見覚えがないことを、連れてきた責任で言い出せないのかもしれない。そう思って声をかけると、レオスは「ああ」と頷いている。
「たしかこの先の『酔いどれたいならいらっしゃい』という名前の酒場によくいると聞いたんだが……」
すごい名前だ。そんなところによくいるなんて、よほど酔いどれたいらしい。
「道は間違いないはずなのだが、行ったことがないから、聞きかじりの記憶ですまない」
「いや……行ったことがないのは、納得できるよ」
どう考えても、レオスのイメージとは真逆の酒場だ。こいつに似合うのは、酒瓶ならばワインかブランデーだろう。いくら頑張っても、ビールジョッキをテーブルに重ねている姿は想像できない。しかし、そんな酒場に知り合いがよくいるのなら、意外と酒豪なのかもしれないし……。そう思ったところで、レオスが一枚の看板を指した。
「あった。あそこだ」
予想したとおり、看板には、大きなジョッキの絵が描かれている。だけど! その側にある女性の胸の絵はなんだ!? 顔がなくて、胸元までぎりぎりのドレスを着た女性の胸が、ジョッキの横に描かれているのに、思わず口を丸くしてしまう。
「あーそういう、お店……」
なんとなく一瞬で理解した。
うん、レオスが行ったことがなくてよかった。
近くの馬を繋ぐところに、盗まれないように見張る男に料金を払ってお願いすると、古い木の扉を開けて、『酔いどれたいならいらっしゃい』に入る。
「いらっしゃいませー!」
うん、名前どおりの歓迎だ。
予想したとおり中に入ると、あちこちのテーブルでは酔いどれている男に女性がしなだれかかっていた。うん、国境の故郷でも見たことがある。夜ではないだけ、まだ雰囲気も女性が入りやすいものだ。
「あら、お若いお客さんね!」
出てきた女性が私を見て、嬉しそうに手を合わせている。
「こういうお店は初めて?」
そう明るくレオスのほうを向いた瞬間、女性の動きが止まった。
一瞬で顔色が紅潮して、まばたきを止めたまま目が動かせなくなっている。
すごいな、こいつの顔。百戦錬磨のお姉さんの息さえ止めたぞ。
「すみません、お仕事中に」
絶対微笑むな、この女性の息の根まで止める気か。
「少しお伺いしてもいいでしょうか? このお店によくグーイという男が来ると聞いたのですが、今日は来ていますでしょうか?」
「え……あ、グーイ?」
名前を呟いても、まだどこかぼうっとしている。さすが、生物兵器。顔だけで相手の思考力を奪うなんて、本当にいらん能力に恵まれたやつ。
思わず引きつった時、店の奥のほうから声がかかった。
「おーい、ここだ。俺の名前が聞こえたから、誰かと思ったらレオスじゃないか」
声のしたほうを見れば、奥では赤い髪を鬣のようにした男が、ぶんぶんと手を振っている。
そして、人なつこい笑みで近づくと、レオスの肩にばんと手を置いた。
「なんだ、その顔を活かして、やっと美人局をする気になったか!?」
「違う」
返したレオスの声が、地を這うかのようだ。ちなみに美人局の役が、騙す女か脅す亭主役、どちらを想定しているのかが、怖くて聞けない。
「なんだあ、久しぶりの再会で、折角おまえのほうから来てくれたのに。安心しろって、前みたいに、この店で働かないかなんて言わないからさ」
うわわわ、背後から見ているだけでも、どんどんレオスの機嫌が低下していくのがわかる。
まずい、知り合いって、ひょっとしてこいつを女と思って声をかけた口か!?
そこらの女性よりも綺麗だからなと納得しかけて、フォローの言葉を思いつかなくなってしまう。どうしよう。
でも、このまま機嫌が悪くなるのもまずいし。うむむと悩んでいると、相手の視線が動いた。
「おや、今日はお連れの仲間がいるのか?」
助かった。どうやら、これ以上レオスのコンプレックスを刺激することはなさそうだ。
「初めまして、アンジィ・ルジャンと申します」
まだ女性なことは公表していないので、今の騎士としての名前を名乗る。すると、グーイという男の眼差しが変わった。
「ふうん、おまえたちのその制服。どうやら、あの頃の言葉どおり、本当に騎士になったんだな。で、騎士になったおまえが、わざわざこんな裏通りの酒場に俺を訪ねてきた。美人局の承諾でなければ、なにか面倒ごとか?」
「ああ、都のごろつきたちに顔の利くグーイならば、知っているかもと思い、訪ねてきたんだ。最近、王都長官のベルスート伯爵について、なにか聞いたことはないか? よく、都の裏通りにも来ていると耳にしたが」
用がなければ、そんなに頻繁には来ないはずだとレオスの気迫が告げている。
「うーん、まあ。長官として都の裏社会にも興味があるみたいだぜ? ごろつきなんかは、まっとうな方法よりも、もっと悪いやつらの言葉をよく聞くからなあ」
「最近、彼が接触したというならず者がいたら、知りたい」
「なんでそれを知りたいのかはしらんがな。まっとうな用件でないなら、直接会うなんて迂闊なことはしないさ。うさんくさいことだったら、そういう手合いに顔の利く誰かに頼むだろうし?」
「その者でもいい、誰なのか知ることはできないか?」
身を乗り出して、レオスが訊いている。しかし、その気迫にも、グーイはひょいっと両手を挙げた。
「はい、ここからは有料」
その言葉にえっと私は固まる。
「それは、おまえが美人局に協力してくれたら答えるぞ?」
いや、それは困る。男女どちらの役かは知らないが、レオスが頷くはずがないだろう。焦る間も、グーイはにっこりと笑っている。
「もしくは、女物のドレスを着て、ここで酌をしてくれるだけでもいいな。おまえならば、席料を三倍にしても客が並ぶのは間違いないからな」
うん、多分配役はあっちだ。この瞬間、確信したが、それならば、絶対に承諾するはずがない。
「おまえ……」
ドスのきいた声に、私は思わず間に入りこんだ。
「申し訳ありません。さすがに、レオスにそれはご勘弁を!」
いくら任務のためでも、女装して客にお酌は不憫すぎる! それに酔った客に絡まれて、女以外にまでもてたら嫌だ。
そう叫んで入ると、グーイは私の顔をじっと見つめた。
「うーん、じゃあ、そのかわいい顔のお連れさんにしてもらうので、手を打っておくか!」
えっ、どっちを?
「私、美人局は……」
「あ、それはお前さんは無理だと思うから、酌でいいわ。ちょっと色気は足りないかもしれないが、新人だと言えばなんとかなるだろう」
えええっ、女なのに、女装しても色気はレオスに劣るのか!?
なにか屈辱的な気がしないでもないが、ここはマリエルのために、背に腹は代えられない。
「わかっ――」
た、と最後の言葉を発する前に、レオスが鞘に入ったままの剣の柄頭をグーイの頬に突きつけた。
「これ以上アンジィに対してなにかを言ったら、これを抜くぞ?」
「えっ、ちょっと待て!?」
相手は頬にあてられた感触に、驚いたように、私とレオスの顔とを見比べている。焦ってキョロキョロした目が、レオスの鋭い眼光に気がついて、あっと閃いたように変わった。
「あ、お前ら、そういうことか! 悪かったな、野暮なことを言った!」
おい、今絶対に誤解をされたぞ?
そのグーイに、レオスはさらに睨みをきかせている。
「対価は不要だろう? 初めて声をかけてきた日、無視をしてもお前がまとわりつくせいで、目を離していたお前の息子が池に落ちた時、助けた俺に、もし困ったことがあったら、なんでも力になると言ったのはでまかせだったのか?」
「いやいや、嘘じゃねえ!」
出された剣に慌てながら答えている。
「たーだ、ちょっとおまえの顔ならもうけられるから、騎士だけなんて、もったいないなと思っただけで。わかった、おまえの連れにはもう手は出さねえ。もちろん、今回はおまえにもだ」
「ならば、いい」
そう言ってレオスは剣をしまったが、いいのか? こいつが約束したのは、私には手を出さないことで、レオスは今回限定だぞ?
そう思うが、気がついているはずのレオスは、剣を腰に戻している。その姿に、グーイはやっと大きく息をついた。
「あーじゃあ、ちょっと待ってくれ。たしか、ベルスートの髭旦那によく会っていたのは、ゼロオクだったよな? いま、どこにいる?」
途中からの言葉は、私たちに向けてではなく、知り合いに対してだ。だが、すごい名前だ。名前だけで一か八かの刹那的金儲けの生き方を感じる。もっとも、偽名かもしれないが――。
「あーゼロオクでしたら、なんか纏まった金が入ったから、しばらくザランドに行くと言っていましたよ。またなにか一か八かの商売でも始める気なのかと思ってたんですが」
どうやら、名前の印象は間違ってはいなかったらしい。
しかし、その聞いた言葉に、私は焦った。
「ザランドって、いつから――」
隣の国に行かれては、マリエルのことを訊くことができない。いや、それとも彼は違ったのかと焦ると、尋ねた相手はびっくりしている。
「いや、朝そう言って荷物を持っていたから……」
「では、今日か!?」
今日、マリエルの王の紋章が盗まれて、その直前に、ベルスートと関わりのあったゼロオクが姿を消した。纏まった金が入ったと言っていたのなら、やはりそのゼロオクを通じて、ベルスートがならず者たちに依頼した可能性がある!
咄嗟にレオスを見た。
彼もそう判断したのだろう。頷いて、手帳を取り出すと、グーイに改めて尋ねている。
「では、会える代わりにそのゼロオクという者の、人相や今朝の身なりを教えてはもらえないだろうか?」
きっと追いかけるための情報だろう。尋ねるとグーイも、それを察したのか、目をぱちぱちとさせている。
「なんだ、よほどやばいことかあ? まあ、いいや。代わりに、俺たちは関わりなしにしといてくれよ?」
俺たちというところに、彼の後ろにいる仲間への包容力を感じる。
「そうだな、鷲鼻で目が細く、顎の横にはほくろがあったな」
なにか面倒なことになっていると察したのだろう。グーイが促す視線に、後ろの男も青くなった顔で、すぐに、茶色い服と灰色のズボンだったと教えてくれる。
それらをレオスは筆記用木炭で、さらさらと手帳に書き込み、一度目で確かめてから閉じた。
「協力に感謝する」
「なんの。またなにかあったら訪ねてこいよ。もちろん、酒場への転職でも歓迎だからさ」
「あの、俺は無関係なんで!」
後ろの男が、慌てたように叫んでいるが、それにレオスはゆっくりと微笑む。
「もちろん。協力してくれた者に、咎めがいくようなことはしない」
だから、微笑むなって! 目の前どころか、酒場中の者たちの動きが止まったじゃないか!
だが、これ以上追及されないのに越したことはない。
「行くぞ、レオス!」
だから、急いで酒場を出ると、後ろからグーイの声が追いかけてきた。
「やっぱり、お前美人局をやらないか!?」
これで、諦めてもらうのは無理になっただろう。その声に苦虫を噛み潰したような顔をしているレオスの手を引っ張ると、私はゼロオクのことを伝えるために、慌てて馬に飛び乗った。




