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7 不安

 アサヒが情報を集めに向かい待機中のナナシはいうと――。


 宿の部屋の中でマジックバックを漁っていた。

 次から次へと中身を取り出して部屋の中を散らかしていく。

 リスト化されて取り出すのも簡単にできるはずなのだが、色々入れすぎたマジックバックは目当てのものがすぐに見つけられないらしい。

 ルーグがこの場にいたら確実に小言が飛んできてたはずだ。


「どこにあんだよ、ったく」

「何を探してるでありますか?」


 あまりにもナナシが散らかすので部屋の隅で待機しているリジーが問いかけ、ナナシは頭をガシガシとかきながら返事を返す。


「銀行カード」

「また買い物にでも出かけるでありますか。外に出られるのが羨ましいであります」

「ちげーよ。レオンのための用意だよ」


 あくまで可能性ではあるが、オークションで競り落とすということもあるかもしれない。この町のルールでいくなら1番合法なやり方だろう。


 自分がどれだけの金額を持っているかナナシは知らないのだが、昔オーウェンがとんでもない金額だと言っていたのでたぶん足りることだろう。


「おーくしょん?」

「売られるっつーこと」

「なぁぁ!」


 大きな声をあげたリジーはナナシの肩を掴んで揺らし、パニック状態になっている。全く予想していなかったことを言われただけにどうしていいかも分かっていないのだろう。


 今さらだがやはり連合国は人選を間違えたのではないのかと思う。いくら足が速いからといってもこの頭の弱さは危険だ。実際、獣人だとバレたのはこいつ(リジー)のせいだし。


 まぁ連合国もレオンがいればどうにかなると思っていたんだろう。レオンはしっかりしてるから。


「そ、それじゃあ……レオンさんは、レオンさんはぁぁぁ」

「……お、これか」


 無事に銀行カードを見つけたナナシは、ニンジンを取り出してリジーに放り投げた。

 それをあたふたしながらキャッチしたリジーはもそもそと食べ始め、とりあえずおとなしくなる。


「ま、まずはこれらを片さねぇと」


 部屋をぐるりと見渡して、部屋中を詰め尽くした大量のアイテムにため息を吐いたナナシは自分が散らかしたものを片付け始めた。


 同じことを繰り返しながらナナシはオークション会場に入れるような服装や潜入に必要そうな道具を準備していた。


 アサヒが戻って来たのは翌日の深夜で、ちょっと千鳥足になりながら戻ってきた。


「情報はバッチリ仕入れてきたよ。ただちょっと休ませて……」

「大丈夫ならな」

「うん。時間なら平気……」


 言い終わるか終わらないかでアサヒは倒れ込んでそのまま眠ってしまった。


そういや下戸(酒に弱い)とか言ってたか」


 情報の集まる場所と言えば酒場だ。

 それに悪党というのは酒飲みが多い。おそらくアサヒが向かった先もそうだったのだろう。


 倒れたアサヒをリジーの手も借りてベッドに転がし自分たちも再び眠りについた。


「朝であります!起きてくださいでありますよ!」


 朝日と共に起きて騒ぐのはリジーで、とにかく早くレオンのことを聞かせろとうるさい。


「うるせぇ!」


 叩き起される形になったナナシはマジックバックに手を突っ込んでキャベツを掴むと丸ごとリジーを黙らせるために口に押し付けた。


「むぐっ……。美味しいでありますよ!!」

「そーか、それはよござんした」


 朝からテンション高めのリジーについていけないとナナシは首を振って大きく伸びをする。二度寝は出来そうもない。


「元気だね〜。でも、若い子は元気じゃなくちゃ」

「起こしちまったか」

「リジーちゃんやナナシ君なら大歓迎。起こしてくれる人がいるのも幸せってもんだよ」


 楽しそうに笑って朝の支度を終えると、食事を取りながらアサヒが入手してきた情報を聞くことにする。


「レオン君を捕まえたのは蒼き狼(ブルーウルフ)って組織みたいだね」


 獣人を捕らえたという話は出てこなかったので集めた情報からの推測らしいのだが聞く限りは間違いないだろう。

 蒼き狼は最近大金が入るとかで羽振りがいいとか、リジーとレオンがいた辺りは奴らのテリトリーだったとか。


「割と新しい組織らしくてさ、知り合いにもあったたんだけど詳しいことは分からなかったよ」

「そーか。ま、仕方ねぇな」


 こういう場所だと組織の入れ替わりも多いのだろう。名乗るだけなら簡単だが、生き延びるのは難しい。職人街も似たようなものだ。


 新しい組織というなら情報を知るのに手っ取り早い方法がある。組織拡大のための戦力を欲しがっているはずだ。


「中に入ってみるっきゃねぇか」

「虎穴に入らずんば虎子を得ずってね。しかしねぇ……」


 続きは言わずにアサヒの視線がリジーに向いて、ナナシもそうなんだよなぁと視線だけで会話する。

 明らかに潜入など向いていないのが1人いる。これがレオンだったらどれだけ楽だったか。


 リジーを置いていってもいいのだがそれはそれで危険な気もしている。日に日に募っていくやる気はじっとさせておくと暴走しかねないので、手元に置く方が安全かとも思う。


「レオンもいんなら助ける手間は一緒だ」

「その時は暴れちゃえばいい話か」


 潜入の前にアサヒがやることがあると言うので、蒼き狼に近づく作戦は明日からになった。

銀行


ギルドであれば有人無人問わず置かれている。

預けてお金はいかなる影響も受けないため安心。


ちなみにギルドカードには銀行カードの機能がついている。

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