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全ては鍛冶屋で起きている!  作者: メグル
技術交流編
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ブレイクタイム18

 レオンとガルムの代わりの護衛を務めることになったミックは朝から気合いを入れていた。


 はたから見たら全ておなじ動きに見えてしまうような準備体操をして、時計を確認するとナナシに一声かけてから店を出ていった。


 ミックは獣人たちの滞在先の家まで向かうと、その家の窓の前で飛び跳ねて気づいてもらえるの待った。

 それに驚いたトーチカから悲鳴が上がったが。


「ミックさん、おはようございます。早いですね」

『みんなも』

「日の出と共にですからね。まぁミシェルはまだ寝てますが」


 ミックを出迎えたルッツはまだ時間があるのでゆっくりしていてくださいとお茶を出し、対面のイスにはレオンが座った。


「ミック殿、今日はよろしく頼む」

『お任せあれ』


 自信ありげにドンと胸を叩いたミックはところでとカードを出してガルムへ視線を向けた。

 まるでミックには任せておけないとでも言いたげである。


「ガルムは人間嫌いであるからな」


 それだけにガルムは冒険者との模擬戦なんかよりも護衛だけをやっていたいと思っているのだ。


 ミックが自分より強いのは分かっているので止めろとも言えず、人を理由もなく襲うようなモンスターでもないのも分かっているのでミックが護衛を務めるのを反対できない。


 その上、レオン(上司)の命令があるのでしぶしぶでも模擬戦に行かざるをえない。


『冒険者』『強い』『いっぱい』

「ナナシ殿や領主殿も言っていたな。街柄、強い者も多く訪ねてくると」

『そうです』


 強くなるにつれて装備もいい物を身につける必要がある。そのため、職人街には二流、三流の装備では間に合わなくなった冒険者がやってくることも多いのだ。


 特に領主からは対戦してみたいと冒険者から声がかかるかもしれないと事前に言われていた。

 この街の冒険者は職人たち同様、向上心が高いためきっと興味を持つことだろうと。


 時間までそうして雑談をして過ごし、人間側の護衛が迎えに来たのでミックはルッツたちと一緒に服飾長の店に向かう。


 今日の通りは冒険者の姿があまり見えず、ほとんどの冒険者がレオンとガルムとの試合のために冒険者ギルドに向かっているのが見てとれた。

 みんな、滅多にない機会を逃すまいと思っているのだろう。


「おはようございます」

「おはよう!」

『おはようございます』


 それぞれが挨拶をして今日も一日よろしくと続け、互いに準備してきた布などの素材を広げる。


 両国の加工技術を知って、新たな発想が出てきたので今日はそれを試すらしい。

 互いの国でしか採れない素材もあるため、それらを持ち寄っての実験だ。


 ミックは部屋に置かれた棚の空きスペースに飛び乗るとそこで待機する。

 棚の上から待機兼護衛をするらしい。


 ミミックの生体的にじっとしているのは苦にならないのでそれでいいようだ。ついでにこうしておけば人の邪魔にならないというミックの考えだ。


 時折、服飾長からの熱視線が飛んでくるがそれは気が付かないことにしてミックは自分の役目を果たすべく周囲を警戒していた。


 交流自体は平和的で穏やかで、ミックなど護衛がなにかやる必要もないほどだ。護衛の1人はあくびをしているくらいに退屈だった。


 時折、素材同士が反発してちょっとした爆発が起きたり、吹き飛ばされたりすることさえ除けば――。


「もっと穏やかだと思っていたんだが」

「ですよねぇ」


 想像よりも壮絶な素材合わせに護衛たちは驚きを隠せない。


『知らない』『相性』『作る』『よくある』


 唖然とする護衛にミックはよく分かっていない素材同士だとこういうことはよく起こると伝える。

 ほとんどはナナシからの伝聞ではあるのだが、今回の素材の組み合わせはそうとう相性が悪いのは確かだ。


「そうなんだ」

「意外と物騒なんだな」


 それからミックは護衛として周囲を警戒しつつ、人間の護衛に素材合わせのことを説明していく。


 相性が悪い素材の場合は間に緩衝材(つなぎ)になる素材を組み合わせるなど、やりようはいくつもあると。


 まぁ、だいたい作るのは決まっているし、長い歴史の中で素材の相性はかなり判明してきているので、そんなことをするやつはそうそういないのだが。


「えー、ダメなの」

「うーん、万能スライムで出来ないとなると」

「それなら、ハーピィの涙はどうですかね」


 やってみる価値があると、倉庫まで服飾長がダッシュで取りに向かったが大変悔しそうな顔して戻ってきた。手には何も持っていない。


「在庫切らしてたぁ」

「あぁ、この前の大量発注で使いましたもんね」


 ワナワナと腕を震わせる服飾長にため息をついた青年は、隣の店にでも聞いてみましょうかと言った。


 作りたい衝動に駆られている服飾長はいつもこんななので従業員たちは慣れている。次に進まなくなるので、できるだけ在庫切れは防ぐようにしているのだが。


「――おわっ!」


 するとピョインと机の上に飛んできたミックが体の中からハーピィの涙を取り出した。他にも色々、ミックなりにつなぎになりそうだと思う素材も。


「ミックくんはいろんなものを持ってるんですねぇ」

『ナナシ』『役に立つ』

「素材がたくさん必要ですもんね」


 ミックが出してくれた素材も使いつつ素材合わせをしていくのだがこのミミック、ナナシと長く一緒にいただけあってか素材の組み合わせにもかなり詳しかった。


 店に来た荒くれ冒険者を追い払うなど、本来の役目(護衛)にも抜かりなく、ミックはモンスター(ミミック)に護衛ができるのかという不安を払拭してみせた。


 まぁ、そのせいでますますナナシは変人扱いされることにはなるのだが。

ハーピィ


人型の羽根が生えたモンスター。空を飛ぶ。


ハーピィを倒せるようになる頃にはゴブリンの時のような人型モンスターへの抵抗もなく、空を飛ぶモンスターへの対処も慣れてきて、そうそう苦戦はしない。


羽根は素材として重宝される。

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