ビタン王国1の臆病者 中編
建国当時から謁見の間の外ではなぜか「建国王は冷酷非道」という流言が広まったまま消えない。確かに建国当初のロイスはそのように周りへ思わせることで、様々な出る杭を潰していたらしい。
だがその噂が何年も消えないままなのはおかしいと、アストリッド・ディランは考えていた。
そしてその答えはアストリッドの身近な場所にあった。
アストリッドにはひとつ年上の幼馴染みがいる。メアリ・バルフィストは公爵令嬢だが、初対面のアストリッドに「受けか攻めかで言うならどっちがいい?」と聞いてくる変人だった。当時五歳のアストリッドは何も答えられなかったが、メアリがおかしいことはわかった。
そのメアリは文才のある変人で、幼い頃からビタンにふさわしい同性愛の物語を書いている。ただなぜか当時王国内で最も人気の高かった『ビタンの双璧』を題材にすることはなかった。
その理由を聞くと、「あの人は近衛騎士隊長で、近衛騎士団長ではないから」と言っている。
そんな過去の記憶があるからこそ、アストリッドは『月夜の物語』という本を手にしてすぐ犯人にたどり着いた。その日のうちにバルフィスト公爵家へ赴いて五年ぶりに出会う幼馴染みに本を差し出して作者だろうと問いかける。
するとメアリは「実は自分には前世の記憶がある」などと変なことを言い出した。
つまり『月夜の物語』は、メアリが遊んだゲームの物語に似せて書いたものだったらしい。ゲームそのものは、主人公であるラピスラズリが相手の男性と恋愛を楽しむものでしかない。だがビタン王国からグレイロード帝国に変わり、貴族たちも様々な特権を失ったり犯罪を取り締まられたり混乱している。特に着飾る以外に何もできない無力な淑女たちは、政治などわからないし、国がどう変わったのかもわからない。
ましてや帝国になってから新設された十将軍が何なのかもわからない。
だが少なくともメアリには前世の知識と、公爵令嬢として使える人材がある。
「確かにバルフィスト公は情報通だし、伯父貴の幼馴染みだもんな」
「ええ、使える兄をもって幸せよね」
「それで月夜の物語を書いたってことだな」
「ラピスラズリと関わることで、ひとりずつ心を解きほぐされ癒されていく。これを前世知識ではカウンセリングって言うんだけど、月夜の物語でラピスラズリがしているのは実はそれなのよ。実際にフィーリス・レイランドと名乗るラピスラズリ様は、この国に現れた時から周囲にそれをやっていたからね。戦争に明け暮れて疲れ果ててた元ビタン騎士たちが癒しと救いを与えられて親衛隊になる気持ちもわかるわ」
「あー……、確かに戦場から帰還した騎士の中には恐怖体験のせいでまともに夜も寝られないって聞くよ。それにビタン騎士って、国を出ると敵扱いで攻撃しかされないから気が休まらないとも。なのに他国の人間なフィーリスさんに優しくされると特別になっちゃうか」
「そうやって現実に起きていることを混ぜ込んで、十将軍とはこういう方だと淑女たちに知らしめるのが、その本の目的なの」
「じゃあ陛下を冷酷非道にしてるのも?」
「本の中にも書かれてるけど、王として時に冷酷非道でなければならないものでしょ。自国民を守るために難民を拒絶するのは各国がやってることだけど、この国の可愛い陛下だってそこはやろうとしたもの。でもその『冷酷非道』に徹することって、内面の優しさをすり減らす行為なのよ。そこをラピスラズリに救われるって話を書いたの。だから読者たちも本当は陛下が違うことはわかってるのよ」
わかっているが、あえて陛下のことを物語になぞらえて冷酷非道扱いしている。
メアリの話を聞いたアストリッドはうなずくことしかできなかった。昔から宮廷の噂話は女性を中心として発生する。そして貴族に限って言えば識字率が高いこの国では、貴族の女性が物語などの本を読み知識を得るのは当然のたしなみで娯楽だった。中にはその娯楽が長じて新しい農作物を開発する女性もいる。そんな国にあって、メアリはとてもうまい方法で世論誘導していたらしい。
「でもそのせいでフィーリスさんが、男性にモテてモテて困ってるよ。オレが」
「それは自然の摂理だから仕方ないわ。ブレストン公は圧倒的受け感が素晴らしいもの。だけど騎士団長という鉄壁がある限り大丈夫よね」
「うんまあ、騎士団長がいるからね」
闇王を召喚した者たちのせいで恩師が亡くなったためフィーリスは天涯孤独になってしまった。そんな彼を支えているのは騎士団長その人だ。幼い頃から一緒に育ったらしい騎士団長は肉体派に見せているが、とても頭がいい。そんな人ならフィーリスのことも守ることはできるだろう。だがそもそも騎士団長は暇な人ではないのだ。
「それよりもリッドちゃん」
「うん?」
「二作目の話をしよう」
「月夜の物語の? オレは出さないでくれると嬉しいけど」
「月夜の物語は『ラピスラズリと九つの剣』を元に書いた作品なんだけど、そっちではなくて、『ラピスラズリと九つの星』の話。これの舞台はおそらく帝国ではないのよ。それに二作目の主人公は女の子だから、ブレストン公でもないの。だけど、わたしには舞台になる国が思いつかないというか……世界のどこかに、王立学園のある国ってある? 貴族の子女が全寮制の王立学園に入るの」
「あー……っと、たしか竜王国はそういう制度だった気がする。つまりその学園内で恋愛ごっこやるってこと?」
「共学の学園内で恋愛ゲームってあるあるなんだよ。でも問題はそのゲームは、闇竜が出てくるのよ。わたしも驚いたけどアルマートで闇竜が出た時は十将軍が出てなんとかなったくらいでしょ? それってこの国以外の騎士団でなんとかなる?」
「ならない」
メアリの危機感は公爵家の育ちとは思えないほど正しい。むしろ彼女は幼い頃からこのように大人顔負けの意見を出す変人だった。
「そして闇竜でも対処に難しいなら、バッドエンドは本気でバッドエンドになりそうだよね。ここはゲームの世界ではなく現実だから」
「バッドエンドって古代語で最悪の結末って意味だよね」
「世界を滅ぼす敵が現れるわけだからね。その敵は人間の魔力を奪ったり、人間を苗床にするような魔物みたいな何かなんだよ。親玉は黒くて大きな何か」
「なるほど。それはオレに相談したくなる案件だね」
メアリの知識では敵にたどり着けない。だから何かとしか言えない。だがディラン公爵家には、伯父が世界各地から取り寄せた魔物や魔界に関する本がある。今すぐに起こるわけではないそれに備えるべく、今から調べていけばいい。
「じゃあ、オレは人間を苗床にするとかいう魔物について調べるから、メアリはその物語のあらすじだけ書いて。これは極秘案件だから、完成したらオレにください。そしたら宰相のところに持っていくから」
「でも、あの宰相様……あ、でもだから知らせておいたほうがいいのかな。もしわたし以外に前世の記憶がある人がいるなら、そっちも見つけたいし。その転生者がいい子だったらいいけど…魔女ルートを選択するような極悪な子ならノータッチで」
「うん、よくわからないけど極悪な子にはオレも関わりたくない」
他人を攻撃することを娯楽にできるような人間など会話もしたくない。幼い頃に嫌がらを受けてきたアストリッドは、今でもその考えで生きている。たとえ相手が公爵となったアストリッドを宮廷で見つけて話しかけたそうにしていたとしても。
しかしそれよりも現状で必要なのは魔物の情報だろう。そもそも魔族は人と同じ身体構造をしているので、人を苗床にする必要がない。性行為をすれば子をなせるし、魔族たちは普通にこの人界で家庭を作ることもする。
だとしたらシーク族のような寄生型の魔獣だろうか。そんなことを考えながらメアリに後のことを頼み、アストリッドは自宅に帰った。
メアリの予言じみた話は、翌年ブレストン公に長女が生まれたことで色を成し始めた。ただアストリッドは成長するセレンティーヌに疑念を抱く。傲慢で強い彼女は、メアリが書いた物語の主人公にまったくあてはまらないからだ。
そもそもセレンティーヌは自身が公女であることをしっかり自覚しているので、学園で複数の男を相手に恋愛など絶対にしない。なんなら彼女の好みの相手はロイトヒュウズ陛下であるため、見る目は確実にある。
それよりも問題なのはアストリッド自身なのかもしれない。27歳にもなって婚約者すらいないと10歳のセレンティーヌに責められ、公爵としての自覚を持てと叱られたのは3日前のことだ。
セレンティーヌは何も知らず責任をと語るが、アストリッドは女性を恋愛対象として見たことがない。むしろ女性側がこちらをディラン公としか見ていないのだから、相手を人として見る必要性すら抱けない。
自分を格上げする装飾としての肩書が欲しいなら、そういう女でも構わない悪趣味な人間の元にでも行けば良いのに。そう思えてしまう程度に肩書に群がる人間たちが嫌いだった。
そんなアストリッドが第一部団に書類を運んだところ、王城の城門詰め所から報告が飛んだ。
異国の学生らしき制服を着た少女が2日前から騎士になる方法を問い合わせに来ている。初日に商業ギルド長のイフセンが足止めして衣類を変えさせ、イフセンの金で適切な宿に滞在させている。だが連日来ているため、既に様々な人の目についている。
このまま街に戻すのは危険かもしれない。
「さすがイフセン」
巷では憎たらしい守銭奴で知られるイフセンという武器商人は、お忍びで王都散策したい陛下や王叔父に巻き込まれる苦労人だ。そんな男がまたしても異国の変な子を見つけて放置できなかったのだろう。
そう考えたアストリッドは、第一部団長の机に書類を置くと「自分が見てくるよ」と告げて駆け出した。そもそも平時の近衛騎士団は仕事が少なく、アストリッドも暇を持て余している。それと比べ、今のように騎士団内の様々な仕事が舞い込む第一部団は多忙を極めていた。それなら暇なアストリッドが動くのが得策だろう。
それに他の若い騎士と違い、アストリッドは女性を女性として見ない。美醜など関係なく、女性はこちらを自分が公爵夫人になるための踏み台か何かだと思っている。そのためなら飲食物に催淫剤をまぜることだって平気でする。
白百合のモニカのような清く正しく一途にまっすぐな美少女は、稀有だから価値があるのだ。モニカもモニカでロイスと親友になれる程度の無鉄砲ではあるけれど。
王城を出て石畳の敷かれた道を進む。王城敷地内には教育機関から宮廷、迎賓館まであるためこの通りは昼でも様々な馬車が行き交っていた。そうして教育機関から響くにぎやかな声を耳にしながら城門へやってくると、同じく陳情に来ていたのだろう屈強な男と少女が楽し気に語っている。
その様子を見れば詰所の騎士が危ういと判断した理由もわかる。
白く艶やかな肌は貴族の娘にしか見えないのに、そんな育ちのいい子が親身に話を聞いてくれて心がほだされないわけがない。ただ問題はそうなった時に、この国では結婚までの手順がとても簡単なのだ。
アストリッドに催淫剤入りのワインを差し出す女のように、相手と肉体関係を持ってしまえばいい。それだけで結婚できるからこそ、この他人に愛想を振りまく世間知らずのお嬢さんは危険因子でしかない。
メアリと違って危機感も何もなく、軽率に他人へ愛想を振りまく。そんな頭の悪そうな少女の印象は、王城一階にある面会室で話を聞き少し変わった。
この子は危機感がない愚か者なのではなく、己に価値を見出していない愚か者だ。
彼女に相当な知識があることは少しの会話で読み取れる。彼女はきっと第一部団長の妹であるフィエルラ・フレイヤードが見れば親友にと求めるほど、知識の引き出しが多い。だが彼女自身は、そこに価値を置いていない。
そして卒業式から抜け出し脱走して、単身で海を渡り帝国まで来た行動力と計画力、さらに判断力も普通ではない。だというのに彼女は自分のことを何もできない無能だと思い込んでいる。
だから彼女は自分の幸福など考えず、妹が救われればそれでいいと語る。その聡明で勇敢なのに己を無能で無価値だと思っている17歳の少女は、まさしく遠い昔のアストリッド自身だった。
そして彼女はわかっていない。彼女の価値は彼女が名乗る名前によって担保されていることを。
彼女はカリーヌ・イル・リズロット。竜王国騎士団の元騎士団長ロシアルト・イル・リズロットがその名を貸した時点で、うちの陛下は彼女を重視する。竜王国の元騎士団長は世界に名が知れた竜騎士だからだ。
そもそもビタン王国出身のアストリッドだって、竜王国の英雄ギルガインと竜騎士リズロットの名前は知っている。
だというのに博識なはずのこの子は、その事実に目をそらしてまで己は無価値だと思い込もうとしている。そしてその気持ちはアストリッドにも十分に理解できるものだった。
アストリッド自身、今でも自分に価値があるなんて思っていない。
闇王を倒して世界を救う、なんてことを望まれていたのに遂げられずロイスに役目を背負わせた臆病者だ。そして今に至るまでアストリッドは何もなせていない。魔力剣を持っているだけのごく潰しのような存在だった。
だがそれでもアストリッドの持つ権力にはできることが多い。ディラン公爵の名で中等教育機関への推薦状と編入書類を作成して送りつける。それだけで少女の編入は完了するが、そもそも中等教育機関は、入ることより出ることのほうが難しかった。
ビタン王国時代は爵位によって難易度が違っていたが、帝国になってから難易度が均等化されている。そのため公爵の親戚だろうが平民だろうが、同じ試験を受けて序列付けされ、同じ部屋で騎士昇格試験も受ける。
「リッドリッドリッド! おかしいよ! わたし中等教育機関受けるの来年って言ったのに手紙きてる!」
本家屋敷に遊びに来ていた従妹が人様に当てた封書を手に廊下を走ってくる。
「違う違う。それはアニエスのじゃないよ。オレが女の子を中等教育機関に編入させた書類」
「え? 編入できるならわたしも今から入りたい」
「オレに一回も勝てないザコは入れません」
「じゃあ今から倒そう!」
封書をポイと放り投げたアニエスは踵を返して走り出す。おそらく中庭に行って模擬剣の準備をするつもりなのだろう。
ただ重要な手紙を放り捨てるわんぱくが、どうやったら近衛騎士になれるのかアストリッドにはわからない。可愛い従妹は幼い頃から元気な努力家だが、たまに物事の順序を忘れて動くからいけない。
特に重要書類をポイ捨ては、伯父貴に見られたら厳しめに叱られてしまう案件だ。ここは決闘ごっこに付き合いながらやんわり教えようと思いながら、編入手続き完了書類の封書を拾った。
アストリッドの両親は現在も元気で、伯父貴も元気に近衛騎士団長をしている。しかし現在のディラン公爵はアストリッドが継いでいる。これはアストリッドが陛下の親友でいるために必要なことだと親たちは納得していた。ただ次の公爵は伯父貴の血筋に戻すため、アニエスが成人したら女公爵にと親たちは言う。
しかし公爵になると宮廷で面倒な会議などに参加しなければならないし、何より宮廷のルールを守る必要が出てくる。ビタン王国の栄光を忘れたくない懐古厨が守り続けているくだらない慣習などがほとんどだが、これがなかなかに厄介だった。
例えば『初めて宮廷大広間へ入る時にエスコートするのは婚約者か夫だけ』。この謎の慣習のせいで、アストリッドは宮廷大広間へ入る瞬間を狙って見知らぬ少女の突撃をよく受けている。つまり宮廷内で既成事実を作る魔物に襲われかけているのだ。
そんなゴミのような場所に可愛い従妹を行かせるのは気が引ける。とはいえ結婚する気のないアストリッドが次の公爵云々と言えるわけもない。
どこかに白百合のモニカほど一途でまじめで慎ましく頑張り屋な女の子など落ちていないだろうか。そんなことを思いながらも、アストリッドはそれが無駄な望みであることを理解していた。
ビタン王国で、いつ家族が死ぬかもわからない生活の中で育った淑女が弱いわけがない。今でもいつ相手が死ぬかわからないからと、恋人と結婚し速やかに子を作ろうとする。国が変わりグレイロード帝国になって大陸内の戦火は落ち着いていても、人の中に残った焦燥感が消えることはなかった。
だからアストリッドに催淫剤を、というのもこの国の貴族であれば正しいやり方なのだ。
それから1年後。カリーヌが親から持たされていた『健康に良い薬草』が毒草であることがわかった。調べてくれた宰相が「アンベール家ならありうる話」と言うのにも驚く。
さらにその発言に騎士団長が驚かないことにも驚いた。
「竜王国の侯爵家って頭のイカれたやつが多いんだよな。見た目が芸術的に優れてるとかいう謎の理由でフィーリスを襲ったヤツがいたけど、そいつも侯爵家だった。まあへし折ったけど」
簡単に折ったとか言う騎士団長はいつものように強い。あの第三部団長が引いたような顔で貴族相手でもやるんだとつぶやくが、騎士団長はそういう人だ。
「けど今まで飲んでたなら、かなり蓄積されてるよな。毒消しのためってわかっててもあの苦いマリアアザミ食わされるのきつくないか。おれはシグの苦い薬は二日で嫌になるけど」
薬師をしている妹の名前まで出して苦いのは嫌だという。そんな騎士団長だが、本名はシェーナさんなあの妹さんに頭が上がらないことはこの謁見の間にいる全員が知っている。
「マリアアザミのクッキーって、たしかお菓子じゃなくて薬扱いだから騎士団内に置いておけるんだよね。美味しいお菓子だと間違えて食べてしまうから。でも加工できるなら、その子のためだけの解毒用のお菓子として作ってあげてもいいかもしれないね。騎士団の外でなら」
そこで玉座に座る28歳の陛下が、なぜかにこやかな顔をアストリッドに向けて言う。
「オレがやるってこと?」
「逆に、後見人以外の男の人がそれをやったらおかしくなると思うよ。毒消しのためとはいえ、彼女に繰り返し差し入れをすることで特別な関係が発生するかもしれないでしょ? もちろんリッドが後見人としてそれでもいいよって言うなら」
「良いとは言わない。あの子はまだ自己評価が最低ラインだから、現時点で男に口説かれても妹の幸福ありきの打算で承諾する可能性しかない。だから無理。あの子はきちんと自分の価値を理解して、その価値を理解できる男とくっつくべきだから」
「うん、そうだよね。だから引き続きリッドに任せようと思ってるよ。ほら、姉上のひざ掛けのお礼もあるし」
どことなく陛下に言いくるめられた気がするが、アストリッド自身は自分の言葉に偽りはなかった。
カリーヌの騎士昇格が決まった時点で、騎士団長と第一部団長に頼み込んで第一部団に配属してもらっている。第一部団長のことを信用しているのは確かだが、何より第一部団精鋭部隊にはアストリッドが中等教育機関にいた際に知り合った親友たちがいる。12歳で入学した時の先輩と、16歳で数か月だけ学びなおした二度目の時の級友がいるのだ。
何より第一部団精鋭部隊である彼らの職場でならカリーヌを狙う悪い虫も近づくことはできない。そこまで考えて配属してもらっているのに、ここでどこの誰とも知らない男を近づける愚行は犯さない。




