未来が映る鏡
ある男から譲り受けた鏡には
映したものの未来が分かるという
私を含め、四人の友人たちは誰一人として信じていなかったが
使い続けていくうちに、その効果を実際に目の当たりにしていった
福引が当たる未来を見た友人は
実際に商店街の福引を当てた
料理中にやけどをする未来を見た友人は
実際に腕に油をひっかけてやけどをした
仕事でミスをするという未来を見た友人は
実際にミスをして、上司に叱られた
想い人と結ばれる未来を見た私は
実際にその人と付き合うことができた
私自身も鏡に映った未来に対し半信半疑だったが
いざその内容と同じことが起こると
目の前にある鏡が本物であることを実感する
私たちはそれから毎週末
私の家に集まり、鏡を見ることが定番となっていた
その日も友人たちと酒を飲みながら
各々が鏡の前に立ち、自分の未来を覗いていく
幸せな未来
不幸せな未来
それらを笑いあいながら歓談していると
友人の一人が言う
俺、映ってない…
友人が何度映ろうとしても
その姿を鏡は認めない
場の空気が凍り
その日はお開きとなった
私たちがその友人の心配をしていると
次の日、彼の訃報が届く
鏡に姿が映らなかったから
そう、思わざるを得ないタイミングでの死
私たち三人の間には名前のない緊張感が走る
それから私の家に集まり
なぜ彼が死んだのかを考察する
答えのない問いを繰り返し
やがて私たちは一つの結論にたどり着く
もう一度、鏡を見ないか?
もしかしたら次は自分が死ぬかもしれない
でも、確かめる方法は一つしかない
私たちはまるで怯える子犬のように
一人一人順番に
鏡の前に立つ
私には大金が転がり込んでくるを
ある友人には家に空き巣が来る未来を
そしてある友人はーー
姿が、映らなかった
パニックになった友人は
靴も履かずに外へ飛び出し
追いかけていった私たちの前で
トラックにはねられ死んだ
彼の葬式の後
残された一人の友人が私に言う
お前が仕掛けたんじゃないのか?
お前だけ不幸になっていない
あいつらが死んだのもお前のせいじゃないか?
彼はそうまくしたてると
私の肩をつかみ
床へとたたきつける
その拍子に鏡が倒れ
私たちの姿が映るが
彼の姿はそこにはなかった
三人の友人が
あの鏡によって殺された
次は私の番だ
私が殺されるんだ
怖くなった私は
彼の葬式にも出ず
その手で鏡を粉々に割りました
そしてその破片を一つ残らず
近くの川へ流しました
それからしばらくの間
身近な人がなくなるといったことはなくなりました
その後私はあの日に付き合った彼女と結婚し
二人の子供にも恵まれました
今日は村の近くの湖に家族旅行に来ています
近くにある景色が湖に反射するほど水がきれいで
妻と子供たちは浅瀬で泳いでいます
私も湖に入り、ふと水面を見たときに映る自分の顔が
とても幸せそうだったのが印象的でした
そうして彼女たちの方へ近づくと
なぜか、妻の姿が湖に映っていません
上の子の姿も
下の子の姿も
周りにいる他の家族連れも
そしてーー
湖に本来映るはずの私の故郷も
私を除いて湖に誰も映っていない
そこで私は思い出しました
あの日、鏡を流した川は
この湖につながっていたということを
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