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第69話 招きの日
四日目 招の日
四日目の朝、目が覚めた時、私は家の縁側に座って、雨上がりの庭を見つめていた。
雨はもう降っていなかった。けれど、庭の地面はまだしっとりと濡れていた。里穂が迎えに来た。
「今日は招きの日です」
里穂は優しく説明した。
「最も愛する者を山に招く日」
「招く」
「うん。今日、村のみんなはそれぞれ、自分の最も愛する者に連絡するんです。電話でも、手紙でも、なんでもいい。『来てください』と伝える」
「みんな、それぞれの最も愛する人を招くんですね」
「うん。これは村の習わし。先祖たちが決めた習わし」
里穂は淡々としかし優しく続けた。
「招かれた人は来てくれる人も、来てくれない人も、いる。それはそれぞれ。来てくれた人と明日、最後の儀式を迎えます」
「明日が最終日ですね」
「うん。『還の日』。村のみんなで迎える、いちばん大切な日」
私はしばらく、自分の手の中の湯呑みを見つめていた。里穂の言葉の中に何か決定的な意味が隠されていることを、私はもうわかっていた。けれど、その意味の、はっきりとした形はまだ私の中で像を結んでいなかった。
「美咲さんも、今日誰かを招かれますか」
里穂の問いは優しかった。けれど、その目は私の答えを確信しているように見えた。私はゆっくりと答えた。
「招きたい人がいます」




