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第62話 山中腹の儀式場
三日目 顕の日
三日目の朝、私たちは村を後にした。
村人全員で御霊山の登山道をゆっくりと登っていった。子供たちは先頭で。男たちはその後ろで。女たちは最後尾を固めていた。私は里穂とハツと源蔵と一緒に、女たちの列の中ほどにいた。登山道はよく整備されていた。
途中、何度か沢を渡った。沢の水は清らかに澄んでいた。村人の誰一人として水に触れなかった。橋を渡るときも、皆わずかに頭を下げた。沢の水に敬意を払っているように見えた。
二時間ほど登ったところで、山の中腹に開けた場所が現れた。そこに古い、石組みの祭壇があった。長方形の、低い祭壇。表面は苔むしていた。けれど、よく見ると石の継ぎ目に新しい、白い砂が注がれていた。最近、誰かがここを丁寧に手入れしたのだ。
祭壇の中央に一輪、白い花が供えられていた。その周りに村人たちが円を作って座った。私は里穂に引かれて、円の一番奥の、祭壇の真正面の位置に座らせられた。その時、私は自分が特別な席に座らされていることに気づいた。
円の中心。祭壇の真ん前。村人全員から見られる位置。私の隣に村長が座った。村長の手元に古い、革表紙の、分厚い帳面があった。




