新たな一歩
第六章: 芋とチーズと新たな仲間
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風に揺られて葉がゆっくりと動く。広大なジャガイモ畑が広がっている。
「こんな畑仕事の依頼を引き受けてくれて、ありがとうよ」と老人が言った。
「いいえ、私はジャガイモの収穫が大好きですから」とサンヤ。
「さあ、ジャガイモを収穫するぞ!」チャンドラが叫ぶ。
チャンドラは畑に向かって走っていく。
「待ってよ!」ゼラティアが言う。
「トガ、私たちも行こう」とサンヤ。
「お前ら先に行ってくれ」トガが答える。
「ゼラ、ジャガイモの引き方を教えてあげようか?」サンヤが叫ぶ。
「どうやってやるんですか、お姉さん?」ゼラティアが尋ねる。
「茎を掴んで、そのまま引っ張るだけよ」とサンヤ。
「わあ、結構大きいジャガイモですね」ゼラティアが言う。
「おい、見てくれよ!俺が獲ったジャガイモ、デカいだろ?」遠くからチャンドラが叫ぶ。
三人は笑顔でジャガイモを収穫している。一方、トガは木の下でぼんやりと考え込んでいた。
「何か考えごとかね、若者よ」と老人が言う。
「畑の主さん、ただ故郷が恋しくなっただけです」トガが答える。
「で、あなたの故郷はどこなんだい?」老人が尋ねる。
「とても遠い場所にあります」トガが答える。
「それなら、帰ればいいじゃないか」と老人。
トガは、チャンドラ、サンヤ、ゼラティアが自分に向かって手を振っている様子を見て、微笑んだ。
「俺たち二人はもう戻れないんです。それに…こんなに急に人生が変わってしまうのが、どうしても受け入れられなくて」とトガ。
「それなら、どうしてここで自分の幸せを作らないんだい?」と老人。
「自分の幸せを…作る?」トガが尋ねる。
「あなたには、良い仲間がいるじゃないか」と老人。
「おじいさんの言う通りだ。俺は…ここで新しい人生を、自分の思い通りに生きていかなきゃな」とトガ。
トガは立ち上がり、三人のところへ歩いていく。
「おい、どこ行ってたんだよ、相棒?」チャンドラが尋ねる。
「トガ、ここのジャガイモ、すごく大きいよ!」サンヤが言う。
「ああ、ただ風が強くなるのを待ってたんだ。暑いからな」トガが答える。
老人は木の下に座っている。
「若い頃というのは、迷いの連続だな」と老人は呟いた。
数時間後、四人は畑全体の収穫を終え、たくさんのジャガイモを集めることができた。
「大したものじゃないが、これを受け取ってくれ」老人は銀貨が数枚入った袋を差し出しながら言う。
「それから、ジャガイモを一袋持って帰りなさい」と老人は付け加えた。
「ありがとうございます、おじいさん!」サンヤが言う。
「はい、ありがとうございます」ゼラティアも言う。
「どういたしまして。それじゃあ、私は行くよ」と老人。
「ねえ、町の外に出て、ジャガイモをチーズと一緒に調理しない?」サンヤが提案する。
「いいアイデアだ!」チャンドラが言う。
「早く行こう!」ゼラティアが言う。
四人は小さな湖を探して、町の外へと歩いていった。
太陽の光が湖面に反射し、そよ風が髪をそっと揺らす。
チャンドラとゼラティアはすぐに湖岸へ行き、チャンドラが水をかけ始めた。
「やめてよ、濡れちゃうでしょ!」ゼラティアが叫ぶ。
「一緒に水遊びしようぜ」とトガ。
「だから、濡れたくないって言ってるでしょ!」ゼラティアが叫ぶ。
二人は笑顔で水をかけ合っている。
「なかなかいい場所だな」とトガ。
「そうね。ここは静かで、気分が悪いときはよく来るの」とサンヤ。
「サンヤ、俺は薪を探してくる」とトガ。
「わかった。じゃあ、私はゼラと一緒にジャガイモの準備をするね」とサンヤ。
「おい、チャンドラ!薪を探しに行くぞ!」トガが叫ぶ。
「了解、相棒!」チャンドラが叫ぶ。
チャンドラとトガは薪を探しに行き、サンヤとゼラティアは穴を掘っている。
「お姉さん、本当に穴を掘る必要があるんですか?」ゼラティアが尋ねる。
「これは結構シンプルな調理法なの」
「ジャガイモとチーズをこの鉄の容器に入れて、薪を上に積み重ねるのよ」とサンヤ。
「そんな調理法、初めて知りました。さすがお姉さんはお姫様なんですね」ゼラティアが言う。
「お姫様なんて退屈なだけよ。毎日ただ部屋の中で一日中勉強ばかりなんだから」とサンヤ。
「お姫様の生活って、そんなものじゃないと思ってました」ゼラティアが言う。
「そうね。みんな『お姫様は楽そう』って思うみたいだけど、本当はね、自分のやりたいことをやるべきなんだよ」とサンヤ。
「お姉さんの言う通りですね」ゼラティアが言う。
「ただいま!」チャンドラが叫ぶ。
チャンドラとトガはかなりの量の小枝を運んでくる。
「その薪を穴の中に入れて」サンヤが指さす。
「ここか?穴の中に?」チャンドラが言う。
「そう、穴の中に入れて」とサンヤ。
「早く入れろ!」トガが高い声で言う。
二人は穴の中に薪を入れ、サンヤは魔法の火を使って薪に火をつけた。
「これで後は待つだけね」とサンヤ。
「わかった。俺はあそこでちょっと寝てくる」とトガ。
「うん、後で起こすね」サンヤが答える。
「安心しろよ、相棒。焼けたら起こしてやるから」チャンドラが言う。
一時間が経過した。
白い煙が立ち上っている。サンヤは穴から熱い炭火を取り出し、ジャガイモとチーズを覆っていた葉っぱを取り除いている。
「お姉さん、手伝います!」ゼラティアが言う。
サンヤは布を使って、チーズの入った鉄の容器を上に持ち上げる。
「ゼラ、ジャガイモを出してくれる?私はこのチーズを冷ますから、温かいうちに食べられるようにするね」とサンヤ。
「はい、お姉さん!」ゼラティアが答える。
サンヤは鉄の容器を開ける。中のチーズは熱で溶けており、そっと息を吹きかける。
「よし、ちょうどいいかな」とサンヤ。
「お姉さん、ジャガイモは大きな葉っぱの上に全部集めておきました」ゼラティアが言う。
「トガとチャンドラを起こしてくるね」とサンヤ。
サンヤは木の下で眠っているチャンドラとトガのところへ行く。
「トガ… チャンドラ… 焼けたわよ」とサンヤ。
トガは目を開け、あくびをする。
「おう、ありがとう」
チャンドラはすぐに立ち上がり、ゼラティアのところへ歩いていく。
「熱いから気をつけて!」サンヤが叫ぶ。
「おう、行くぞ」とトガ。
サンヤとトガはゼラティアのところへ歩いていく。サンヤはジャガイモを一つ取り、割ってチーズを塗る。
「ん… やっぱりジャガイモはこうやって食べるのが一番美味しいね」とサンヤ。
サンヤが美味しそうに食べているのを見て、ゼラティアもチーズを塗ったジャガイモを食べる。あまりの熱さに手で口を押さえた。
「すごく美味しいです!」ゼラティアの耳が素早く動く。
「結構美味しいもんだな」とチャンドラ。
「サンヤ、よくこんなアイデア思いつくな。すごいよ」とトガ。
サンヤは食べるのをやめ、手に持ったジャガイモを見つめる。
「ただ、料理をするのが好きなだけだよ」サンヤが答える。
「おい、二人ともそんなに早く食うなよ!俺の分がなくなるだろ!」トガが叫ぶ。
「お前が遅すぎるんだよ、相棒」チャンドラが言う。
「そうだよ!」ゼラティアも言う。
サンヤは三人が言い争っているのを見て、小さく笑った。しかし突然、背後から足音が聞こえてきた。
「わあ、ご飯だ!」誰かの叫び声。
四人はその声の方を振り返ると、そこには馬の耳と尻尾を持つ少女が立っていた。
少女のお腹がグゥと鳴り、彼女は照れ笑いをする。
「私はドロティ。狙撃手よ」
「数日間、何も食べてなくて… そのジャガイモ、もらってもいい?」とドロティ。
「ああ、どうぞ」サンヤが答える。
「やった!ありがとう!」ドロティが言う。
残っていたジャガイモとチーズは、あっという間にドロティの胃の中へ消えた。
「はあ… 生き返った気分だわ」とドロティ。
「おい、なんで俺の分まで食っちゃったんだよ!」トガが言う。
しかしドロティはただ小さく笑うだけだった。
「ドロティ」とチャンドラ。
「うん?」
「あなたの銃って、どんなやつなのか見せてくれないか?」
ドロティは空中に文字を書き、すると長い銃が現れた。
「この武器はどう?」とドロティ。
「わあ、すげえ!」チャンドラが言う。
「素敵な武器ですね」ゼラティアが言う。
「間違いなければ、その武器はゴールデンアワー王国で作られたものよね」とサンヤ。
「まだ、ゴールデンアワー王国を知っている人は少ないはずよ。建国してまだ数年なんだから」とドロティ。
「ゴールデンアワー王国って、どんなところなんですか?」ゼラティアが尋ねる。
「質の高い魔法道具を生産している王国よ」とサンヤ。
サンヤも空中に文字を書き、魔法の彫刻が施された剣を出現させる。
「これもその一つね」とサンヤ。
「とても美しい剣ですね」ゼラティアが言う。
「なんでそんなカッコいい魔法道具を隠してたんだよ!」チャンドラが言う。
「だって、この剣を握っただけで『勇者さま』って勘違いする人がいるんだもの」サンヤが微笑む。
「それはもう、間違いなく俺のことだな」チャンドラが言う。
「サンヤ、ちょっと見せてくれないか?」トガが尋ねる。
「ああ、どうぞ」サンヤが答える。
サンヤはトガに剣を渡す。トガは剣の隅々までじっくりと見る。
「この剣、ただ鍛えられただけじゃないな。何か特別な工程がありそうだ」とトガ。
「次は俺の番だな」チャンドラが言う。
トガがチャンドラに剣を渡そうとしたその瞬間、剣は一瞬で消えてしまった。
「あれ?剣はどこに?」チャンドラが言う。
「ごめんね、チャンドラ。まだあなたに腹が立ってるの」とサンヤ。
「ちょっとだけ… ちょっとだけ握らせてくれよ!」チャンドラが言う。
「だ・め」サンヤが答える。
「あなたたち、同じパーティなの?」ドロティが尋ねる。
「うん、私たち同じパーティよ」サンヤが答える。
「私、あなたたちのパーティに入ってもいい?」ドロティが尋ねる。
「もちろんいいわよ」サンヤが答える。
四人はそれぞれドロティに自己紹介をするのだった。
ここまで私の物語を読んでくださり、本当にありがとうございました。
誰かが私の書いた物語を読んでくれると思うと、とても嬉しい気持ちでいっぱいになります。
もし気になる点や改善点などがありましたら、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。
皆さんのご意見を参考に、これからも精進してまいります。




