第82話 T.O.F.U軍団全員集合の件
「───おいっ!どうする!?」
「─────逃げた方が良さそうだな」
────形勢逆転と見るや出待ち軍団がワンボックス軍団を置いて逃げようと車に乗り込む。
逃げ遅れたワンボックス軍団も脱兎の如く自分達の車に向かう。
出待ち軍団の高級車がホイールスピンしてタイヤを鳴らしながらホテルの駐車場から出て行こうとする。
───しかし、その前に巨大な装甲車が立ちふさがり、車のボンネットを踏み潰した。
────それと同時に大きな爆発音と共にワンボックスが吹き飛んだ。
『────おいおい、うちに喧嘩売っといて、今さら逃げられると思ってんのか!?』
スピーカーからマナ・Bの声が響き渡る。
『────ブルーを助けろ!!どこよりも早くだ!!』
『────ここで恩売っておかないとうちの車両部一生ブルーにいじめ倒されるぞ!!手を抜くな!』
『ここが俺達の関ヶ原じゃ~!!』
『うぉ~見敵必殺~!!』
────続々と戦闘車両が道ではないところからも湧いて出てきた。
「───あ、あっちだ!!」
そんな中でもワンボックス軍団が戦闘車両を避けて逃げようとしていた。
そんなワンボックス軍団の足元に銃弾がかすめる。
『───車両部だけに良いとこ持ってかれるなよ~』
爆発音で気づかなかったが、崖から戦闘ヘリや輸送ヘリが銃口を向けながらホバリングしていて、そこから続々と銃器を持った戦闘服の男達が降下していた。
ホテルの屋上はすでに狙撃手が数人配置されて銃口がこちらに向けられている。
────もう、ポカーンだね。
あまりの早い展開に脳ミソがついていかない。
うん、ドリフのコントの終わりよりも激しい展開だよ。
あたりを見回したが、みんな俺と同じくポカーンとしていた。
────そんなこんなで、数分後には駐車場に集められて銃口を突きつけられる出待ち軍団とワンボックス軍団がいた。
「───作戦終了しました!」
「─────ご苦労様」
ヘリからおっさんと未知博士が降りてくると隊員から報告を受ける。
「────車両部はわかるけど、他は………?T.O.F.Uっていつもほとんど人いないじゃん?」
「────今回は司令塔の最低限の警備を残して、司令塔の戦闘部隊と車両部、未知博士の研究所の警備部の一部を出動させた」
「─────させたって、これは大がかりすぎるだろう?………そうか、あれか?今のアイちゃんの指示だから慎重な判断をしたってことか?」
『─────違うぞブルー。それは我輩の判断でもある』
────あ、ゴンちゃん!
『───ブルー、我輩達はブルーを、ブルーが思っている以上に大事に思っている。ちなみに車両部はブルーが思っている以上にブルーを恐れている。』
────ゴンちゃん、ありがとう。………あと、車両部の件はなんか薄々気づいていたけど、改めて言われると傷つくなぁ………。
『────それに、そこのワンボックスの連中はただの輩じゃなくて、テロリストに国際指名手配犯も混ざってるからね~』
────アイちゃん、流石の情報収集能力だね。
「しかも、警察の上層部に何か横槍を入れた奴もいるようでね………つまり、君たちは危険な状況にあったわけだ」
いつになくおっさんが真面目だ。
────でもな、ヘリの巻き上げる風であんたのカツラは風前の灯だぞ。
────しかし、警察上層部に横槍か。それがさっきの出待ち軍団の自信の理由だったのかな?
「───K子君、そちらは上からのルートでクレーム入れて正式な回答寄越せって言っといて」
『──はい、了解しました』
「こいつらは、これから警察に引渡し───それまでに現場を修繕。証拠を残すな。私はホテルの責任者と交渉してくる。現場の指揮は各部責任者かがとり、アイちゃんが全体を管理してくれ」
『ラジャー了解~』
「────そう言えば、アイツ………頭を金属バットで殴られた女性は?」
「────命に別状はないわね。今は医療班が治療に当たってるわ。安心して、彼らは私と違って医師免許とかちゃんと資格あるから」
「────そっか。良かったよ、安心した───」
「────なんかムカつく」
指をわきわきさせながら未知博士が俺ににじり寄る。
「────いやいや、そうじゃなくて!命に別状がなくて安心したって事!」
─────未知博士、俺はあんたの事が本当に怖いよ。………今は俺、満身創痍だから勘弁してくれ。
「そう言えば、テイラーと轟天号は?」
「────あの二人は誉めてあげてね。本当はまだポッドから出れないはずだったのよ!」
「───え?それってどういうこと?」
「────あなたのピンチの知らせを聞いてあの子達の意思で治療を切り上げたのよ。お陰で人とも獣とも言えないどっち付かずの生き物になっちゃった………」
────あ、それを俺は『お、お前達………誰?』って言っちゃったのね。
────そりゃギャグでも言っちゃいけない台詞だわ。
「────アイツらどこ?………俺、謝ってくる!!」
それを聞いて未知博士は悲しい顔をして天を指差した。
「─────え!?」
───ま、まさか死!?
────治療を切り上げた副作用?それとも俺の冷たい扱いで世を儚んでしまった!?
「────くっくっく、騙された!騙されやがった!!────君はちょろい、ちょろすぎるぞ!───あの二人なら、ちゃんと生きてまーす!二人は医療班の警護に回ってもらってるんで~す!」
─────くっ、屈辱だ!
俺としたことが………この博士は苦手だ。
「────ほら、お前の大事なもんが三つも同じ所に揃ってんだから、さっさと行きな!」
そう言って未知博士が俺に向かってウィンクした。
────ほんと、苦手だ。
でも、悪い人ではないな、と改めて思った。
「────ほら、さっさと歩く!ついでにあんたも医療班に治療してもらってきな!───私のとこは心臓止まってからだよ!」
ほんと、苦手だ。
『俺は前回の後書きで次回が自動車学校編がクライマックスだと言ったな………』
────あれは嘘だ(映画コマンドーの台詞っぽく)
────もう少し自動車学校編は続きます(笑)




