第81話 ならざるモノの件
「─────へ、変身できない!?」
変身の合言葉の後、ベルトに手をかざしたが俺はヒーローには変身出来なかった。
────も、もしかしてさっきの変身ベルトへの攻撃のせいか?
────それとも俺が瀕死になると変身が解けるって言ってたけど、最初から瀕死だと変身出来ないとか?
─────お、おい、そりゃないだろ?
身元バレ(?)を覚悟して変身しようとしたら変身できないって、そんなんアリかよ………。
────おっさん、化けて出てやる。
「─────静かになったな。観念したか?」
「─────観念?………諦めるって事か?
………そんなタイミングとうの昔に過ぎちまったよ。────俺みたいな奴が諦めるタイミングって奴は、行動する前にすでに諦めてるんだよ。始める前から失敗した時の事を考えちまうからな。そん代わりに一回始めちまったらしつこいんだよ」
俺は金属バット野郎に唾を吐きかけた。
「─────こ、この!!」
怒りに顔を真っ赤にした金属バット野郎が腕を振り上げた。
しかし、その腕が振り下ろされる事はなかった。
「───おい、その人を自由にしろ」
いつの間にか黒いスーツを着た七三分けの眼鏡男が金属バット野郎の腕を後ろから掴んでいる。
「───あいよっ」
もう一人の誰かが俺を押さえ込んでいた男を引き剥がした。
「─────あ、ありがとう」
とりあえずなんか良くわからないが、自由の身になったようだ。
「─────あんた達は?────警察?………じゃないよな?」
俺を自由にしてくれたのは少し小柄な髪型がツンツンヘアーのパーカーを着た男だった。
「─────へっへへ、誰だかわからないだろ?」
ツンツンパーカー男がさも愉しそうに笑う。
「────アイちゃんの連絡で助けに来てくれた人なのか?」
「────半分当たりで半分ハズレってところかな?」七三眼鏡男は出来る男風のいい声だ。
今の世の中だとこう言うのイケボっていうのか?
まぁ、それはさて置き────半分当たりで半分ハズレ?
「────ホテルの人か誰かが助けを呼んでくれたのか?」
「────真実から遠退きましたな!」
七三眼鏡男が眼鏡をクイッとやる。
───キラリと眼鏡が輝く。
「─────なにしてんだ!やっちまえ!」
眼鏡の輝きで我にかえったのか、また出待ち男軍団が襲いかかってきた。
「────答えは………アイちゃんの連絡で助けに来た『人ならざるモノ』です」
七三眼鏡男の手がみるみる内に毛むくじゃらになり、金属バットを握りつぶす。
「────ば、化け物!?」
それを見て逃げ出そうとした男達の向こうにあっという間にパーカー男が四足で回り込む。
パーカー男は背を丸めて唸り声を上げる。口が耳元まで裂けて、ツンツンヘアーの髪の毛が更に逆立つ。
『────うちの主人に舐めたことしてくれたようだのぅ』
『舐めるのは俺の専売特許なんだがなぁ────』
長く伸びた鋭い爪を長い舌で舐める。
『この爪もそこいらの猫科の奴等の爪よりよくキレるぜ』
────そう言ってまた爪を舐める。
───おい、そんな危険な爪を舐めて大丈夫なんか?………とか思ったが空気を読んで言うのは止めておこう。
『────予定を早めて助けに来たぜ』
猿腕の七三眼鏡スーツ男(特徴有り過ぎ!)がイケボで俺にアピール。
………………………。
「─────お、お前達………誰?」
────猿と犬の二匹が悲しい目をした。
はい、という訳で未知博士のところに分離手術を受けに行ってポッドに放り込まれていた二匹の登場です。
ちなみに本来分離手術に二~三週間かかるって言うのはサバ読まれています。
実際はブルーの時も一週間でミンチから復活してまして、その辺も後日談をいれようと思っています。
とりあえず次回、自動車学校編クライマックスです。
───こう書くとすごく間抜け(笑)




