第60話 待ってました!の件
「まだかなー」
『まーだだよ~』
「まーだかなー」
『まーだだよ~』
「まーなかなー」
『かーなだよ~』
『───ブルー、アイちゃん、ゴンザレス君、緊張感無さすぎよ!あと、どさくさに紛れてふたりっ子をいれない!』
───無線でK子さんに怒られた。
───うん、でも今のツッコミはいいよ!
───まぁ、それはさて置き怒られてしまったな。
「ちぇっ、マナ・BのせいでK子さんに怒られたぜ」
『───怒られたぞ』
『───怒られた~』
『え!そんなのまで俺のせい!?俺関係ねーし!!』
無線でマナ・Bが保身に走る。
────まぁ、保身もなにも無実だがな。
───そんなのは俺たちに関係ないのだ。
「────男はみんなそう言うわ。」
おネエ言葉でタバコをふかすジェスチャー。
『───言うわ』
『───言うよね~』
俺のノリに合わせる電脳コンビ。
『───ごめんなさい、どうしたら俺を許してくれるの??』
マナ・Bが無線の向こうで俺に許しを乞う。
───────うん、ここらで許してやろう。
これ以上は面倒くさいからな。
『冗談はこの辺で!アイちゃんより緊急連絡!ミクスチャーがブルーの視界に入るよ!』
うん、ミクスチャー、タイミングいいね!
───はなまるあげよう。
『──3・2・1!』
───アイちゃんのカウントダウンぴったりに、なんか毛むくじゃらの獣人が無駄な動きをしながら海岸に現れた。
遠目にだが、なんかバタバタもがいているのがシルエットで確認できる。
海岸には肉と果物が10メートル位離れて置いてあり、サーチライトで照らされている。
猿と犬のミクスチャーはジタバタしながらもそれに少しづつ近寄っている。
「あー今思い付いたけどさー、エサに睡眠薬とか毒とか混ぜておけばよかったよなー。そしたらオレは手を汚さずに、ミクスチャーが動かなくなるの待ってるだけで良かったのにな」
『そだね~。そしたら、ミクスチャーがうめき声を上げながら、もがき苦しむのを見てるだけで良かったのにね~』
アイちゃんが反応する。
うん、こういうネタにはアイちゃん反応早いな。
流石は電脳サイコパス小娘。
そんな事話す間にも猿と犬のミクスチャーは少しずつエサに寄ってきている。
「でも、まぁ、冥土の土産だ。少しミクスチャーには最後に飯食う時間を与えてやるか」
………うん、武士の情けじゃ。
エサに誘われて来たけど、お預け食らって餌は食べられないなんて不遇過ぎる。
「────まぁ、なんであの組み合わせかは分らんが、勝手に誰かの都合で生み出されたんだろうからなぁ。────アイツはアイツで可哀想な存在だ」
俺は頬杖をついてアンニュイで物憂げな表情でミクスチャーを眺める。
───え?アンニュイも物憂げも同じ意味だろって?………いいんだよ、川沿いリバーサイドみたいなもんだ。
───しかし、俺がアンニュイで物憂げな雰囲気で見ていたが、いつまでたってもミクスチャーはジタバタしているだけで、エサを食べに行かない。
エサに当たるサーチライトの光の反射で、ミクスチャーの全身が見えるようになったが、なんか中間でバタバタもがいている。
全身黒い毛で覆われているが、所々金属のパーツが付いているのが見える。
生身と機械の融合した感じ───うん、昔流行ったサイバーパンクみたいな感じだな。
盛り上がった筋肉がなんとなく想像出来る。
恵まれたガタイに猿と犬の頭が一つづつ。
────ん?
────一つの体に二つの頭………?
─────よく観察してみる。
じぃーーーーーーーーー。
────うん、あれだな、体が一つなのに頭が二つ有るから暴れてるように見えるんだな。
観察してみると、二つの頭が思い思いに違うことをしようとしてる。
今は猿はフルーツに、犬は肉に向かって頭だけは必死にそちらに行こうとしている。
体は二つの頭からの指令が混乱してジタバタと無駄な動きをしているようだ。
「猿って雑食なんだからとりあえず犬と一緒に肉に行っとけば良いのになー。動物は本能に忠実なんだなぁ」
「──とりあえず、そろそろ人間様の出番のようだな」
俺は岩場で立ち上がった。
『変身には頃合いの様だ。今回は我輩のカウントダウンは要らないようだな』
「そうだな、向こうはこっちを気にする余裕無さそうだしな、勝手に変身して適当に終わらせるさ」
「───T.O.F.U.変身!」
────俺はベルトに手をかざした。
はい。
いつもお世話になっております。
やっと変身までこぎつけました。
名乗りは引っ張りましたけども。
────もったいつけるなぁ、私。




