sect.25 交渉1
「僕がヌシ狩りの民の長、ランブーだ・・・」
「あ、そう。んっ?え~っ!?」
少年は自分が長だと言ったが、どうなったらオコチャマにしか見えないこの子が、ヌシ狩りの民の頂点に立つ"オサ"になるんだと、ユマは絶句した。
「って、アンタ誰?」
「あっ、そうだった!あたしはユマ。あなたたちにお願いがあって来たんだけど、ラガンナ院長からの手紙も持ってきているんだ」
「ラガンナ・・・。キトトブの?」
「うん」
ランブーの問いかけにユマがうなずく。
「わかった、まずはその手紙を見せてもらうよ」
そう言いながらユマから受け取った手紙は、キトトブのマークで封印されていたことから、少女の言葉にここまでは嘘はないようだと思いながら、慎重に封をあける。
「・・・」
無言で険しい表情を浮かべながら、手紙に目を通すランブー。
その手紙に何が書かれてあるのかはユマたちは知らない、ただラガンナから受け取った手紙をランブーに手渡したのだけれども、今になってその内容がどういったものだったのか不安になった。
やがてランブーは手紙を読み終わると、何も言わずにそれを封筒の中へしまう。
「・・・それで要求は?」
「えっ!?」
手紙を読み終えたランブーの質問に、ユマが戸惑う。
手紙にはいったい何が書いてあったのだろうか。
「えっと、あの、その・・・」
「いいよユマ、僕が話そう」
何をどう話していいのか整理がつかず、ドギマギするユマに代わってシュカヌが前へ出る。
「巨大な生命体を討取らなくちゃいけない。そこで手助けを頼みたい」
「ふーん・・・」
ランブーは今何を考えているのか、その真意を読み取れないような表情で、歯切れの悪い言葉を漏らす。
「なぜ僕たち"ヌシ狩りの民"に?」
「それは、どういう意味?」
「うーん、そうだな・・・。ぶっちゃけて言えば、僕たちの悪い噂は聞いているはずだよね。生きるか死ぬかっていう戦いをしようというのに、そんな信用もできない連中と組んで命を懸けられるの?」
ランブーの言葉に、シュカヌの表情が変わる。
「それは心配ないんじゃないかな?」
そう言いながらニトが前に出てくる。
「シャンネラ盗賊団を知っている?」
「・・・まあ、聞いたことはある」
「その聞いたことのある内容は、おそらく良いものではないよね?」
「そうだね」
「こっちからすれば、それは不当な評価だよ。だけどシュカヌはそれを気にせず、シャンネラ盗賊団を信じてくれる」
「ふーん・・・」
ランブーはそう言いながら、シュカヌやニトに品定めするような視線を向ける。
「つまり風評には左右されずに、その人物を見て評価するってことか?」
「そうだね」
ニトは自信に満ちた顔でうなずく。
それでもランブーは浮かない顔で、何か言いたそうに口をつむんでいる。
「報酬は?」
「ん?」
「まさかタダで手を貸せ、って言ってるわけじゃないんだろ?」
ランブーにどうなんだと詰め寄られ、シュカヌとニトは固まってしまう。
「・・・フフフ。あっはっはっ」
「オババ・・・」
今までのやり取りを子供たちに任せて、後ろから眺めていたシャンネラが高らかに笑う。
「さすが"ヌシ狩りの民"の長だ。きれいごとでは一族を守れないことを知っている」
「・・・」
「安心しなシュカヌ、ニト。この子は信用できる」
「アンタは誰?」
「ワタシこそがシャンネラだよ。カネの話はこの子たちには無理だからね、そこは大人のワタシが話になろう」
「シャンネラ・・・か」
ランブーは何やら考えを巡らせているように、じっと目を閉じている。
「いいよ、話し合いのテーブルには着こう」
「じゅうぶんだ」
シュカヌはランブーの申し出にきっぱりと答えた・・・。




