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さよなら青い国 (三、さくらさくら)

 『大きな木』はなかなか見つからなかった。さくらはがっかりしてしまって、まるで後藤の銀の箱を誰かに買われてしまった時のような不安な気持ちになった。

 佐倉は、あまりにさくらががっかりしているのを見て、逆に嬉しくなっていた。


 もう今日は無理かと半分諦めていた佐倉だったが、急に「おっ」と閃いた。

 「いいことを思いついたからちょっと行ってみよう」と言った佐倉は、駅前の地図で見つけた小学校を指さした。


 コンクリートの校庭の小さな小学校では、十数名の女の子がソフトボールの道具を片付けていた。

 しばらく門の外から見ていたが、ほんの十分もしないうちに彼らは解散となり、迎えに来た親達と一緒に裏門から出て行った。

 佐倉は校庭に誰もいなくなると「こっそり忍び込むんだよ。見つかったら保護者のふりして子供を捜しにきたって言えばいいさ」と言った。


 もう四時半を過ぎていたので、学校の校庭も、辺りの住宅街もとても静かだった。

 二人の『さくら』は柵を乗り越えてこっそり中に入り、大きな木を探したが、やっぱりそこにも一本も生えていなかった。


 さくらはなんとなくがっくりしてしゃがみ込んでしまった。

 佐倉はそれを笑って「なんだよ、だから小学校に来たんじゃないか!あれに登るんだよ」と言って、ジャングルジムを指差した。

 ジャングルジムは丁度いい場所にあった。

 体育館の横の岩山のそばで、倉庫の陰になっていたのであまり人目つかない場所だった。


 さくらは走り出して、佐倉より早くてっぺんまでらくらくと登っていった。

 佐倉はジャケットを下の鉄棒に引っ掛けると、あっという間にさくらの隣にやってきた。

 二人はここで桜並木を見ることはできなかったが、その代わりに小学校で作っている可愛らしい花壇や風見鶏の塔、白い大きな教会の鐘を見た。


 「あの教会みたいなところで、私も誰かと結婚するのかしら?お母さんは私に教会式に結婚式を挙げてブーケを自分に投げろ、なんて言うんですよ。私は結婚なんてしたくないのに。木の上やジャングルジムの上で夢見てる方がずっといいと思いませんか?」


 佐倉は妙な、寂しそうな顔をして「お母さんが自分に投げてほしいって言ったのか、可愛いこと言う人だね。でもサクランボは私みたいに結婚しないつもりなの?ほんとはあんまり打ち明けたくない秘密だけど、ひとりぼっちは寂しいよ。やっぱり人は、愛する人と一緒にいたいと思うはずなんだ。それが本物の相手ならなおさらだよ。君はまだ若いのに木の上やジャングルジムでいいやなんて、それこそ寂しすぎるじゃないか」と言った。


 さくらは「いいんです。ブーケが欲しいって言うなら私が作っていくらでも投げてあげますから」と言ってしばらく景色を眺めていたが、「そうだ」と言い佐倉にいたずらっぽく笑いかけた。

 「佐倉さん、二人の景色はいかが?私は美人なんでしょう?そこはミキオちゃんとは見解が違うのよね?だから景色が悪くなるなんて事はないでしょうけど、どんな風に見えますか?」


 佐倉はもったいつけて、すぐには答えずニヤニヤしたまま黙っていた。


 「ちょっと!何にも言わないなんてあんまりだわ!木の上の人にもそんな風にやってたの?そんなんだったらキスだってしてもらえないわ」


 それでも佐倉はニヤついて何にも答えないのでさくらはまた言った。

 「佐倉さん、そんなふうにあっちばっかり向いて!あんまり意地が悪いと思うわ。せっかく高いところを探したってのに、景色がいいか悪いかくらい言えるでしょう?」


 さくらはしつこく詰め寄った。

 それでも佐倉は何も答えず、嬉しそうにさくらをじらして鼻歌を歌っていた。

 しまいにさくらは「ふん」と言って逆を向き、負けじと替え歌を歌い出した。

 これがまたなかなか上手くいって、次から次へとふざけた詩が浮かんださくらはどんどん歌い続けた。


―――『さくら、さくら、どうしてなのか、口がなくなり、首は曲がーった、カクリと曲がった、さくら、さくら、とんでった……』


―――『さくら、さくら、このままだーったら、もうもうかえる、さくらの花は、においぞいずる、いざや、いざや、みにゆこう……』


 ここまで歌ってさくらは大満足で、自分でもニヤついてしまった。

 しかし、さくらが鼻を膨らませて『あはっ』と言って小声で笑うところを、うっかり目撃してしまった佐倉は耐えられなくなり大声で笑い出した。


 「頼むからもうやめてくれよ、馬鹿な歌を嬉しそうに歌ってさ!せっかくいい気分になってたのに台無しじゃないか。さくらの花がとんでったなんて言うなよ、君を見るたんびに思い出しちゃうじゃないか、首が曲がったって!」佐倉は涙をうかべた。


 さくらはもうロマンチックな気分も、理想の父とのデート気分も、それこそどこかへ『すっとんで』行ってしまったので、また「ふん」と言って歌い出した。


―――『ここは、二人の、秘密の場所だー、こっそりはいり、うまくのぼーった、とおくにみえる、さくら、さくら、とんでった……』


―――『さくら、さくら、教会ながめ、ブーケを投げる、約束思い、となりのひとに、いざや、いざや、笑われた……』


 と、二番をやり出したが、これもなかなかの出来栄えだった。

 佐倉は笑いながら「頼むからもう歌わないで」と言ってさくらの肩を揺すぶった。

 さくらは「もうアイデアが出ない」と言って、わざと真面目な顔をしてむすっと黙り込んだ。


 佐倉はおかしくて景色どころではなくなってしまったのに、それでもさくらは真面目にやろうとして、一度だけ「もうすぐ夕焼けが見えるかな」と言った。

 すると佐倉がさっきよりもっと大声で笑ったので、さくらはまた「ふん」と言った。


 「もっとすごいのを歌ってもいいの?またアイデアがわいてきたんだから……さくら、さくら、さくらの下の……」


 「お願いだからもう、うまくのぼったとか、笑われたとか、そういうのはやめてくれよ!君がそんな歌を歌うなんて……秘密になんて出来ないよこれじゃ。いつもそんな風にお母さんとやってるの?変な歌を作ってさ」佐倉はまだ涙を浮かべて笑いながら言ってきた。


 さくらは「笑うのをやめるまでほうっておこう」と言ってそっぽを向いてしまった。


 佐倉はしばらくげらげらやっていたが、本当に夕焼けが見えてくると、なんとか持ち直してきて静かにそれを眺めた。

 さくらはのほうはもう笑い上戸の佐倉のことなど無視して、自分の大切な世界に浸っていたので隣の人のことはどうでもよくなった。

 さくらがもう自分にきいてこなくなったのを見て、佐倉はやっとこう言った。

 「今日は確かめられて嬉しかったよ。さくらと一緒に高いところに登ってさ、最高の景色だったよ、こんなに楽しかった事ってなかったよ。でも……今度来た時はあの歌だけはやめてくれよ!そんな歌のアイデアなんてもういらないよ」


 さくらは、佐倉に『さくら』と呼ばれてドキッとして幸せな気分になったが、気にもしていないふうでこうたずねてみた。

 「また一緒に登ってくれるんですか?またここに来て?それとももっといい所を探して?でも絶対にみんなには秘密にしてね、邪魔されたくないんだもの!特にミキオちゃんには言わないで下さいね、どうせ馬鹿にして笑うんだから。ほんとに今度はいつ登ってくれるんですか、佐倉さん?」


 佐倉はこんな風に言ってくるさくらが本当に可愛くてならなかった。

 自分の秘密を今すぐに打ち明けたとしても、この子ならきっと受け入れてくれるだろうと、そう思った。

 しかし、佐倉にはまだ確かめなければならない事がたくさんあった。

 そのために、今まで以上に慎重に行動しなければならなかったし、自分でもそれをよく分かっていた。

 ただ、気持ちだけははさくらと同じだった。

 「ね、じゃあまた土曜日の午後にこうやって逃げ出してこようよ。みんながいてバレそうな日はダメだよ。予定を見てあいつらをまくんだ。私ももちろん秘密にしたいんだよ、とくにミキオにはね、確かにあいつは最近たちが悪いんだ。だからこっそり計画を立てよう。今ここで約束しようね」


 「じゃあ、なんとか逃げ出せそうと思ったら『さくらさくら』を歌うのは?それで自分も予定がなくって大丈夫だったら『首が曲がってとんでった』ってお返しの歌を歌っていうのはどうです?それなら絶対に……」


 さくらがこう言うと、佐倉はまたげらげら笑いながらこう言った。

 「わかったよ、桜に誓ってそうしよう!」


 二人は、もうどうしようもないくらいに幸せな気持ちになって、暗くなるまでずっとジャングルジムの上で過ごした。

 まるであの懐かしい、二人だけの木の上に帰っていくように。

 佐倉はこの日『璃久』との大切な、遠い時間を美しく思い描いて幸せだった。

 そして佐倉にとって、彼女の娘『さくら』との時間もまた、もう絶対に手放す事が出来ない程に輝いていて温かく、それはまるで銀の箱に敷き詰められていた二人の桜の花びらのように、うっすらと透明で美しかった。


 佐倉は「もうお母さんが心配してるかもしれないね」と言って自分から先に下に降りた。

 さくらはもっと一緒にいたかったが、佐倉に促されしぶしぶ従った。

 駅で二人はそのまま別れたが、佐倉はすぐに会社電話を入れた。

 すると、後藤から『ミキオがずっと待っている』と知らされたので、佐倉は慌てて戻って行った。


 ミキオは大部屋で音楽を聴いていたが、佐倉が戻るといつになくご機嫌な様子で「佐倉さん!やっと会えましたね」などと言って、実にいやらしい笑顔を見せつけてきた。

 他には誰もいなかったので、ミキオはわざと弾むような声を出した。


 「今日は本当にありがとうございました。堀田さんはとってもいい方ですね。璃久おばさんも俺も、すっかり堀田さんにお話し出来て気持ちの整理もつきましたよ」


 佐倉は驚いて「すっかり話せたって、まさか全部あいつに言ったのか?彼女は、大丈夫だったの?いやな気持ちになったり、辛くなったりしていなかった?」と心配そうに眉をひそめた。


 ミキオはこれを聞いてにやりと笑い、満足そうにこう言った。

 「いいえ。堀田さんの聞き方も良かったし、璃久おばさんは堀田さんを『いい方』だって言ってすごく喜んでましたよ。もちろん全部が全部言ったって訳じゃないけど、話すべきだと思った事は頑張って話しましたよ。最初は駅で……まあ色々あって大変だったけど結果オーライってやつですよ!璃久おばさんは紹介してもらってほんとに良かったって、佐倉さんにすごく感謝してましたよ。料金もほとんど受け取らないんですから、堀田さんは!璃久おばさんは困ってしまって、サクランボが渡しても受け取ってもらえなかった場合、出来れば佐倉さんから渡してもらいたいって言ってました。そうなったらお願いしますよ」

 ミキオは思いっきり『璃久おばさん』の『璃久』を多用してしゃべった。


 「それで……今後のことはどうなったんだ?あいつが馬鹿親父のところに行くんだろうが、さくらくんと会った後になるんだろう?その日程の他に、どうやってそいつを攻めるとかさ、何を要求するかとか、具体的な話にはなったのか?私に全部話せとは言わないが、ちゃんと上手く出来そうか?」

 佐倉は、やはり心配でたまらないといった様子だった。


 「いえ、今日は堀田さんに『俺たちの告白』を受け取ってもらって、まあすっきりしたっていうか、とりあえずの打ち明け話で終わったんですよ。あとで、」


 「それじゃ何の為にお前はついてったんだよ!おしゃべりしに行ったって意味ないじゃないか!一体どのくらいの時間事務所で話してたんだ?遊びじゃないんだぞ。彼女の方だって、そうそう何度も弁護士に会って、いやな話をぶり返して話し合ったりしたくないだろうに!お前は全く役立たずだったんじゃないか」

 佐倉は吐き捨てるように言った。


 しかし、今日のミキオは辛抱強く、また佐倉の言葉に腹を立てることもなく、チャンスとばかりに佐倉を観察した。

 佐倉が荒々しくため息をついたり呆れたように睨みつけてくると、ミキオはますます面白くなってきて、とうとう素敵なみやげ話を持ち出した。


 「まあそう言われちゃそれまでだけど、すごく楽しかったんですよ」


 「楽しかった?何を言ってるんだお前は。離婚の話をしに行って楽しい訳がないじゃないか。ふざけたことを言うんじゃないよ!」佐倉は怒鳴った。


 「ああ、まあその話はさすがにむっつりやってましたけど……お昼に食事に行ったんですよ、堀田さんが車を出してくれて。とにかくお礼がしたかったから俺達にしてみたら逆によかったです。堀田さんの方から誘ってくれて、最初は璃久おばさんも断ってたんですが何度も言ってくれたんで、俺たちにごちそうさせてくれるなら、ってことで食事したんですよ。楽しかったなあ、面白い方ですね」

 ミキオはいかにも楽しげに言ってきた。


 佐倉はこれをいてしんからムッとして「食事に行っただと?離婚の話し合いの後にか?あいつふざけたことを!何を考えているんだ!」と言って、ミキオのいる前ですぐに堀田に電話をかけだした。


 ミキオはわくわくと楽しい気分になってきて、ニヤつく顔をごまかすのが大変だった。


 佐倉は堀田が電話に出るなり喧嘩腰だった。

 「おい!お前は今日一体何をやってたんだ?ミキオから聞いたぞ!ちゃんと決着つけられるようさっさとやってくれって頼んでおいただろうが」


 多分、堀田はびっくりしただろうが、璃久に会ってご機嫌になっていた堀田は、まるでミキオのように辛抱強く佐倉を落ち着かせようとしてきた。


 『なんだよ、大丈夫だよ。こちらに非はないんだから何も心配ないんだよ。お前が心配するまでもないから安心してくれよ』

 堀田はとにかくご機嫌だった。


 「そんなことはわかってるさ。ちゃらちゃら食事に行ったりする暇があったら今後の予定を話し合えってことを言ってるんだよ!どうやってくかちゃんと決めてるのか?今度娘の方にも会うんだろう?日程はちゃんと話し合ったのか?」


 『いや、来週にでもお前のところに電話すればお嬢さんの予定が合わせられると思ってさ。それよりすごいぞ!お前は会った事がないんだろう?恐ろしく綺麗な人でさ、俺はとにかくびっくりしたよ。あんな人はめったにいないぜ、それにしっかりした感じのいい人なんだよ。お前のところの甥っ子と駅で喧嘩したらしくて、二人とも泣いて大変みたいだったけど……彼は言ってただろう?でも彼女はそんなことをおくびにも出さずに平然と話してくれたよ。まあお前にその内容までは言えないがね。俺は彼女に……はっきり言ってクラクラしたよ!甥っ子も感じのいい奴で、まああんな人の甥なら当然か!でも正直食事の時は邪魔だったよ。この件が片付いたら俺はちょっと、マジで彼女に名乗りを上げちゃいたいよ!』


 と、こんな風に恐れをしらない堀田は佐倉に向かって言ってしまった。

 ミキオの狙い通りに、堀田は手みやげをさらに豪華なものにしてくれた。


 「お前ふざけたことを言ってるんじゃないよ!離婚の話で相談に行ったってのに彼女に手をだそうなんて最低じゃないか!あの人はうちの社員の女の子の母親なんだぞ!この私が紹介して相談に行かせたのにお前がそんなことをしたら、私の立場はどうなるんだよ。いいか、絶対にふざけた真似をするんじゃないぞ!娘の方だってひどく傷ついているんだよ。お前がちゃんと真面目にやらなかったらあんまりじゃないか!とにかく、彼女に変な気をおこすんじゃないぞ、ちゃんと仕事だけをやってくれよ!」


 いきなり興奮して怒鳴り散らす佐倉に、堀田はびっくりして口も聞けなかったが、何が何だかわからないながらも、ひとまず佐倉を落ち着かせるために、言い聞かせるようにゆっくりとしゃべりかけた。


 『お前は、一体どうしたんだ?そんなに怒ったりして、何かあったのか?大丈夫だよ、お前の顔を潰すような真似はしないよ。ただあの人があんまり素敵だったからさ、ちょっと言っただけじゃないか。ちょっと前まではお前だって美人とくれば俺と一緒にちゃらちゃらやってたじゃないか、俺だってもう卒業したんだよ。それにあんな人にずうずうしく手を出したり出来ないよ。俺だって相手を見るんだよ。ほんとに素敵な人だったんだからさ、お前んとこの女の子が悲しむようなことを俺がする訳ないだろう?』


 堀田が言い聞かせるようにこう言ってきたのを聞いて、佐倉はだんだんに落ち着いてきた。


 ミキオのほうは電話のやり取りを聞いて、やり過ぎたと思って少しくらいは反省したが、それでもニヤつく口元はいつまでもピクピク動いたままだった。


 佐倉は堀田に「確かにそうだな、俺だって信用してお前に任せたんだ。確かに今日はちょっとイラついていて……当たり散らして悪かったな」と言った。

 そして、ついでにちゃっかりとこんなことを言った。


 「お前さ、昼飯でもおごるから、うちの女の子に会うんだったらここまで出てこいよ。私の部屋を使って相談にのってくれれば終わったら寿司でもごちそうするから。今日当たりちらしたお詫びってことでさ。来週早々に来れないか?」


 堀田はさっぱりした単純な男だったので佐倉の詫びをすぐに受け入れて、月曜か水曜なら可能だと言ってきた。

 佐倉は勝手に『月曜』と決めて約束を取り付けた。


 堀田は何度も大丈夫だから心配するな、と佐倉に言ったが、佐倉の心配は堀田の言う『そっちのこと』ではなかった。


 電話を切った後も佐倉は不機嫌に黙り込み、ミキオの存在すら忘れていたが、ミキオがじっと自分を見ているのに気が付くと、見当違いのことを言ってミキオを笑わせそうになった。


 「安心しろよ、お前の大事なおばさんが困るような事はさせないから。あいつはいいやつなんだが美人とくるとすぐにああなるんだよ。でも大丈夫だよ、私とは長年の付き合いで、ちゃんとした奴には違いないんだからさ」


 「佐倉さんそんなことわかってますよ。あ(・)な(・)た(・)の(・)友達なんだからさ!」

 とミキオは笑いをこらえながら実に朗らかな声を出した。


 「さくらくんに電話して月曜の午前中に堀田がここに来るって伝えておいてくれよ。私にここで会って、それを聞いたとかなんとかあの子に言って上手く話しておいてくれ」

 佐倉の方はにこりともせず、むっつりしたままだった。

 

 ミキオはますますつけ上がり、いかにも嬉しそうにこう言った。

 「わかりました。サクランボも堀田さんなら他(・)の(・)誰(・)よ(・)り(・)気持ちよく相談に乗ってもらえますよきっと」



 お読みくださりありがとうございます。

 面倒な性格の人間ばかり出てきますので、さっぱりした人っていいなあって思います。


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