ウノシルディス平定20
わくわくするお姉様の活躍を描いてみたい。
そんな作者の願望から始めた物語です。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
火曜日と金曜日に更新を行います。
短編の外伝を作成しました。
こうれからも不定期で作成してまいります。
『主人公じゃないけど頑張ります』
https://ncode.syosetu.com/n1976mm/
こちらからどうぞ
「カタリナ様、シルディア様からのご命令の内容は?」
「戦旗に合わせての突撃騎兵の突撃でこの戦いに決着を着けます。
あとアキム族とは和解、クロスロード帝国に組み込んだとの事です」
「いよいよクロスロード帝国の誕生ですね。
それにしても、その最初の戦いの決着を任されると言うのは、騎兵としては大変名誉な事ですが、カタリナ様としては、ご不満なのでは?」
「誰が『この戦いの決着を付けたか』と言う事?」
「はい。
今回の戦の主役はカタリナ様達学園の生徒で編成された弓騎兵です。
それが勝敗が決定した後の仕上げの攻撃をウノシルディスの騎兵や最後の最後に加わっただけの士官候補生が行うのは、勝利を盗む様ではないですか」
私は「フー」と息を吐くと
「エルンスト、貴方は本当に高潔な騎士なのですね」
私はシルデイ様が良くやる様に微笑んで応えた。
「いえ、そうではありません。
我々は勝利を盗んだと言われたく無いのです」
私とエルンストの会話は、近くにいる突撃騎兵の戦隊長達にも丸聞こえである。
何人かの戦隊長が「エルンスト総隊長の言う通り」と頷いている。
「皆さん良く聞いて下さい。
まず随分派手に使いましたが、アーレイは依然として我が国だけが持つ秘密兵器です」
本当に今更だけど先の大戦での敗戦の原因が昔ながらの油を使った火計としか伝わって居ない事からもまだまだ秘密兵器と言っても良いだろうと思う。
何よりその圧倒的な攻撃力、破壊力が真実実を失わせる。
『学園の魔女達が魔法を使った』と言う方がまだ信じられるだろう。
「そしてこれが一番重要です。
ウノシルディスを解放したのは、シルディア様です。
私達の働きはシルディア様が知っておられれば十分です。
この戦の英雄は唯一シルディア様、唯一人。
違いますか?」
私の問いかけは戦隊長達の怒りを招くだろうか。
私は私よりも10歳は年上ばかりの戦隊長達の顔を見回す。
(血の気が多い騎士達が私の様な小娘の言う事を聞いてくれるのは、本来戦いには参加しない女子達が郷土や民を守る為に決死の覚悟の上での出陣である事に敬意を払っていてくれるからなのね。シルディ様の「みんなの命! 私に預けて欲しい!」は私達に覚悟を決めさせる為だったのね)
「俺は、騎兵の先陣に起ち突撃するシルディア様を見ました。
戦旗を掲げ戦場を疾走するあの姿こそ、民が望んだ英雄の姿です。
思い出しても全身が震えます」
「俺も見た」
「俺もだ」
「あれこそ英雄だ」
「あの姿を吟遊詩人に詩にしてもらう」
「俺にもその時のシルディア様の姿を教えてくれ」
「俺にも」、「俺にも」、「俺にも」
「カタリナ様、私の取り越し苦労だった様です。
コイツらはシルディア様が命じればバルハラまでお供するでしょう」
「いずれシルディア様がバルハラに行かれる時はお願い致しますが、あと100年位はお待ち願います」
これだけ派手にヤラカシて自分だけバルハラに勝手にとっとと行かれては、残された私達が困る。
エルンストはニヤリと笑うと
「かしこまりました。
お前ら! 先にバルハラに行ってシルディア様のお迎えの準備をしておけ。
但し、今日バルハラに行く事は絶対に許さん。
それだけは全将兵の肝に命じろ」
戦隊長達に一発気合を入れた。
「「イエス! エルンスト! 」」
◆ ◆ ◆ ◆
「クヌート総隊長、シルデイ様から来たご命令は?」
「戦旗に合わせての突撃騎兵の突撃でこの戦いに決着を着けます。
あとアキム族とは和解、クロスロード帝国に組み込んだとの事です」
「クロスロード大公国では無く、帝国ですか」
アリーセ殿は今一つ良く解っていない様だ。
「アリーセ殿、複数の国家や異民族が集まって一つの国を作るとその国は帝国と呼ばれます。
これまで帝国は一つだったので、単に帝国と呼んでいましたが、それとは違う帝国なのでクロスロード帝国のなるわけです」
「私には話が大きすぎて解りません。
取りあえずは目先の事に集中したいと思います」
アリーセ殿は戦隊の指揮については問題ないが、国や帝国を作るとか夢の様な話には興味が薄い、現場向きの人物の様だ。
俺は「そうですね」と相槌をうち
「分かりました、確かに今は国家談義より大切な事がありますね」
と話を切り替える。
「全部隊をもう少しタマ河方向に移動させます。
弓騎兵の200メートルから50メートル前衛に突撃騎兵を配します。
弓騎兵の各戦隊毎もそれに合わせて移動して下さい」
俺はタマ河の方から1キロ位内陸の地点を指し示す。
「アキム族が突入した後は、無視して良いのですね」
アリーセ殿はそれとは反対のアキム族が突撃した為にポッカリと開いた敵の隙間を指さす。
「ええ、構いません。
それと、アーレイの残数はどれ位ありますか?」
戦場の確認が終わったので、アリーセ殿の方を向いて尋ねる。
「6割は使ったので、各弓騎兵が残り12本程度、予備はもう有りません。
アキム族への偽装攻撃にちょっと使い過ぎました」
残弾の確認や兵の疲労管理など、アリーセ殿は細かい所に良く気が付く。
(ハイデ殿もアリーセ殿が副官にいてくれて随分助かった事だろう)
「いえ、それは作戦上仕方の無い事です。
お陰で9000の精兵とアキム族を味方に付ける事が出来たので安い物です」
(・・・あれ? 今の言葉にアリーセ殿が何故か過敏に反応した気がする)
「安い物ですか・・・・クヌート殿、とにかく部隊に移動命令を出します、宜しいですね」
アリーセ殿が俺の部下の中から伝令を選び出し、テキパキと指示を出していく。
「宜しく願います」
(何やら急にご機嫌が悪くなった様だが、何が悪かったのだろう)
「クヌート総隊長は伯爵家のご次男でしたね」
アリーセ殿の口調は氷点下以下まで下がった気がする。
「その通りですが良くご存知ですね」
「ウノシルディスの解放記念舞踏会でお伺い致しました。
憶えておられないのも無理はありません。
何人もの生徒と踊ってらっしゃいましたから。
それよりも、伯爵様にとっては、戦争はやはり貴族同士の取り引きですか、アキム族の命は幾らですか」
あっちゃ~~~彼女達が決死覚悟で戦っているこの戦いを「貴族の取り引き」と思わせたのは拙かった。
それに舞踏会で手当たり次第に踊りに誘ったもの失敗した。
お陰でアリーセ殿と踊った時の事を思い出せない。
・・・・俺は今、かなりのピンチなのではないだろうか。
少なくとも今後、彼女達と共に戦う上でこれは非常にマズイ。
「自業自得だ」
冷たく言い放つブルック先輩の声が聞こえた気がした。
「アリーセ殿、その件に付いてはこの戦いの後、納得して頂けるまでご説明させて頂きたいと思います。
今は私を信じて頂きたい。
私のシルディア様への忠誠心に掛けて」
『シルディア様への忠誠心に掛けて』この言葉はアリーセにも届いたようだ。
「分かりました。
ですが、シルディア様の忠誠心に誓った以上、約束を違えた時は・・・私達を甘く考えない事です」
氷点下から春先位まで温度が上がった気がするアリーセ殿のシュッと首を横に掻く仕種はとても真剣で・・・今が戦闘中である事を忘れさせる程に美しいと俺は思った。
クヌートとエルンストで随分差が出てしまいましたね。
クヌートは何となく、アリーセに憧れを感じた様ですが、舞踏会で手広く遊んだのが失敗だった様ですね。
まあ、自業自得です。
カタリナは、エルンストに魅力を感じた様ですが、ハイデの兄と婚約予定なのですが、どうなることやら。




