ウノシルディス平定21
わくわくするお姉様の活躍を描いてみたい。
そんな作者の願望から始めた物語です。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
火曜日と金曜日に更新を行います。
短編の外伝を作成しました。
こうれからも不定期で作成してまいります。
『主人公じゃないけど頑張ります』
https://ncode.syosetu.com/n1976mm/
こちらからどうぞ
私は戦況が良く見える様に突撃騎兵隊の最前列まで移動した。
「コンラート。そろそろ行くわよ」
緊張した面持ちで横に立つコンラートに話しかけた。
「はい、シルディア様」
コンラートは緊張に青ざめた表情で答え、槍を持ち直す。
(ほとんど初陣で先陣を任されれば緊張は無理もない。でも怯えは無いようね)
「アンゼルムも良い?」
まだ少年と言っていいアンゼルムにも話掛ける。
「何時でも行けます」
アンゼルムの言葉に私は頷き、馬の向きを変えて整列した突撃騎兵達の方に振り向いた。
「アンゼルムが戦旗を掲げて先陣を切る。
勅命である! アンゼルムが倒れた時は、無事な者が戦旗を掲げよ。
クロスロード帝国騎士の最後の一人が倒れるまで、戦場で私の戦旗が倒れる事は無い!」
私は右手を握り締め脇に思いっ切り引き付ける。
「「うぉーーー シルディア皇帝 万ーー歳! 」」
湧き上がる歓声の中、緊張に真っ青になったアンゼルムがコンラートの横に騎馬を進める。
このプレッシャーはアンゼルムを一人前の騎士に男に育ててくれるだろう。
アンゼルムは兜を脱ぎ捨て
「ウノシルデスの武勇、紅旗の勇、アンゼルム・フォン・ウノシルデス、此処に有り!」
良く通る声で堂々と名乗を上げる。
(ベルント様、貴殿がホライゾンに預けてくれたウノシルディスの誇りは、今、ご子息のアンゼルムが引き継ぎました。バルハラにてご照覧下さい)
「「ウノシルデス 万ーーーー歳! 」」
コンラート率いる300の槍騎兵は既に兜を全員していないので、歓声で応える。
歓声が静まるのを待って、私が決戦の言葉を伝える
「クロスロード帝国の騎士達よ!
愚かにも我が領土犯し、無辜の民を殺戮し、財貨を略奪した野蛮人共を叩き潰す時が来た。
帝国の未来に恨みを残さない為に、この戦いで奴らに殺された民の恨みの全て晴らす!
クロスロードの騎士を甘く見た報いを蛮族共に叩き込め!
一片の情けも慈悲も必要無し、タマ河を奴らの骸で埋め尽くせ!
蹂躙せよ! 殲滅せよ! 叩き潰せ!」
「「うぉーーー!」」
歓声の中、私はサーベルを引き抜く頭上高く構えると歓声が一瞬止む。
「行けーーー!」
サーベルを前方に降り下げる。
「全軍 突撃! 」
アンゼルムが叫び、紅の戦旗が風に舞い、300騎がそれに続き馬蹄が大地を揺るがす。
「アンゼルム様! 行っけーーー!」
私の後ろにいるハイデが私に負けない大声で叫ぶ。
「「「帝国! 万ーーーー歳!」」」
9000人のアキム族の歓声と槍の地面に打ち付ける音が大地を揺るがす。
300騎の騎兵の突撃が巻き上げる砂塵の向こうに6000人位まで撃ち減らされたウノ族が虚ろな実体の無い陽炎の様に揺らいだ。
◆ ◆ ◆ ◆
「「「帝国! 万ーーーー歳!」」」
アキム族9000人が上げる歓声が山彦となって聞こえる。
「カタリナ様、本陣の方から歓声が上がりました」
エルンストが各槍騎兵戦隊の戦隊長を集めた前で右翼の総隊長である私に報告する。
赤い戦旗を先頭に300騎程の槍騎兵が突撃を開始したのが見える。
「アーレイ攻撃中止!
エルンスト殿、突撃して下さい。
突撃後の槍騎兵の指揮は貴方に任せます」
「かしこまりました。
全軍突撃用意!
勝利をシルディア様に捧げよ!」
槍騎兵戦隊の戦隊長が『突撃用意!』と叫びながら自分の戦隊に全速力で戻る。
「エルンスト殿、ご武運を」
私が言葉を掛けるとエルンスト殿は何も言わずに私の方を見ると、馬上から見事な敬礼を返して来た。
その姿に私の部隊から黄色い歓声が上がる。
(全くこの子達は戦闘の真っ最中に大した度胸ね。エルンスト殿、ご武運をそしてご無事で帰って来て下さい)
◆ ◆ ◆ ◆
「「「帝国! 万ーーーー歳!」」」
アキム族9000人が上げる歓声が繰り返し聞こえる。
「クヌート様、本陣の方から歓声が上がりました」
「いよいよ始まった様ですね。終わりの始まりです。
アリーセ殿、アーレイの攻撃を中止してください」
「はい、『終わりの始まり』です」
これは褒められたのか?
俺にはバキバキのトゲのある玉が顔面目掛けて投げ返された気がするが。
そんな俺の存在など無いかの様にアリーセ殿はアーレイ攻撃の中止を指示している。
「申し訳無い。
戦闘前に申し訳無かった」
さっきの事もある、取りあえず気障な表現は封印だ。
「余裕がある指揮官の方が、安心出来ます。
シルデイ様もフローラ様やヒルダ様に戦闘中によく冗談を言っておられました」
(それは、あの悪女だから許される事なのではないだろうか?)
「クルート殿。貴方の後ろは私達が守ります」
(今、貴方と言ってくれた。何と心地の良い響きか)
「突撃します」
そう言って俺は右の拳をアリーセ殿に突き出した。
アリーセ殿は最初は何の事か判らなかったらしいが、
「ご武運を」
と俺の拳に左の拳を合わせてくれた。
(よし! 気合が入った! )
アリーセ殿が、サーベルを引き抜き頭上に構える
「クヌート殿と騎士達に、万歳三唱!」
200騎の弓騎兵達に号令を掛ける
「「万ーー歳! 万ーー歳! 万ーー歳!」」
野太い声では無く、女性らしい高い声の万歳が響く
(これは良い! 女性の歓声は男をやる気にさせる)
「野郎ども! 勝利をシルディア様に捧げよ! 突撃だ! 続けーーー! 」
俺は叫びながら先頭に立つ。
「「うぉーーー!」」
ウノシルディスの突撃騎兵500騎に士官候補生300騎を加えた800騎が俺に続く。
敵はまだ6000は居る様だがもはや防御隊形も取らず、単なる烏合の衆。
三方から突撃してくる約2000騎の騎兵の突撃に戦意など最早存在しないが、奴等がウノシルディスの大地にいる以上、情けを掛ける訳には行かない。
シルディア様が以前言っておられた様に一切の降伏は認めない。
蹂躙、殺戮しつつタマ河に追い落とし地上から消滅させる。
その苛烈なシルディア様の命令をここに居ない者達はきっと悪く言うだろう。
それを承知で後日の禍根を絶たれようとするシルディア様。
その判断が出来るシルディア様は、クロスロード帝国を任せられる帝王に成られると俺は思う。
シルディアの構想するクロスロード帝国の成立にはタカツ地方のウノ族の併合が絶対に必要です。
1000万を超える人口を誇る帝国に対し、クロスロード大公国の人口は400万人。
タカツ地方のウノ族の人口は100万人。
西の帝国に対抗する為に、二度とウノシルディスを侵させない為に、東のタカツ地方の安定化は絶対必要です。
侵略者には容赦をしない、されど保護下に置いた民には慈悲を与える。
これがシルデイのタカツ地方討伐の基本姿勢になります。
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