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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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戦いのあと1

わくわくするお姉様の活躍を描いてみたい。

そんな作者の願望から始めた物語です。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


短編の外伝を作成しました。

こうれからも不定期で作成してまいります。

『主人公じゃないけど頑張ります』

40話から45話のお話です。

『帝国の崩壊』

本文で語られている「先の大敗」のお話です。

「一つ仕事が、終わりましたな。シルディア様」

最後の戦場となったタマ河の自然堤防の上に急遽設営した本陣に、バルタザール殿がやって来られる。


「ええ、取りあえずウノシルディス解放は出来ました」

バルタザール殿が私の横に座るとエリー達も本陣に到着した。


クヌートとエルンストは本陣の警護を行いながら、候補生を使って付近の戦死者の処理の指示を行っている。


エリーは本陣に入るやいなや、開口一番。

「シルディ様、人手がまるで足りません」

とぶちまける。


エリーの部下であるマチア、キリーが秘書官を、アンナが侍女の仕事を素早く始める。

(元々王宮の女性騎士であったのに、今では完全にエリーの部下ね)


「シルディ様、先ずは戦死者の処理と、今夜の宿営地の整備が急務です。

それに難民の対応と家畜の世話、遺棄された物資の対応も必要です」

戦いの終わった後(あと)の方が仕事が多いエリーにとっては、これからが戦争であるらしい。


戦場で緊張感に包まれているエリーより、戦後処理に追われている今の方が生き生きとしている。

そんなエリーを見て私は「クスリ」と笑うと『ギロリ』とエリーに睨まれた。


「エリー、言っている事は良く判るけど、一度に全部は出来ないわ。

出来る事からやって行きましょう。

アレクセイとアキム族の部隊長達を呼んで来て下さい。

それとカタリナの副官のクララを呼んで下さい」

私の指示にマチアが動く。


「ブルックハルト殿に急ぎ伝令を出しましょう。

二日の距離に補給部隊と支援部隊を率いて来ているはず、急げば明日には到着出来るはずです」

アンナが用意したお茶を飲みながらバルタザール殿が提案をしてくれる。


「そうですね、バルタザール殿、お願いします」

ブルックが到着すれば、戦場の後始末は丸投げとは行かなくても楽にはなる。

エリーも兄がいた方が仕事を一人で抱え込むより楽でしょうし、第一私がブルックに会いたい。


「ヒルダにも伝令を出した方がいいのでしょうが、それは、明日にしましょう。

今夜はちゃんと休めせてあげないと伝令に私が殺されます」

その時、私は右のエリーから放たれた殺気にゆっくりと首を回してエリーの方を見る。

「私は、休ませてくれないのですね」とまた『ギロリ』とエリーに睨まれた。


「それが宜しいでしょうな」

バルタザール殿がエリーの方を見ずに生半可な返事をする。


『不味い、エリーだけでなく、皆を働かせないと、非常に不味い』


「エルンスト! 」

本陣前で指示を出していたエルンストを戦場でも無いのに大声で呼ぶ。


「はい! 何でしょうか」

何事かと、本陣にエルンストが駆け込んで来る。

そんのやり取りを見ているクヌートもこちらの様子を伺っている。


「カロッサ村の偵察をお願いします。

元は人口500人の村でも、多少の建物はあるでしょう。

使えそうなら、そこに本陣を構えます。

さすがにウノ族の残党は居ないでしょうが、傷病兵がいる可能性はあります。

残された食糧と井戸の水には毒が投げれている可能性があります。

その辺りを踏まえて村の周囲も調べてもらいたい」

早口で思いつくままエルンストに指示を与える。

チラリとエリーを見ると、薄ら笑いを浮かべて居たので、良しとしよう。


「かしこまりました。

もし傷病兵がいた場合の対応は、如何(いかが)致しましょうか」

そう言う可能性に気づく所が優秀なのね。


私は、一呼吸置いてから

「も(・)う(・)殺(・)す(・)必(・)要(・)はありません。

ただし、住民が引き渡しを要求した場合は、私が対応します。

治療は、アキム族に任せるのでそれまで行う必要はありません。

水と食料については、普通に支給をする様に」

と答える。


「クララ、参りました」


「クララ、エルンストと一緒に今からカロッサ村に偵察をお願いします。

因みに、貴方の家族とカロッサ村の住民の避難状況は判りますか?」

私はもっと聞きにくい事を真っ先に聞くが、クララの表情に暗さが無いので、私の心配は杞憂で済んだようだ。


「ご心配ありがとうございます。

家族はカルッサ村の住民を伴い全員無事にウノシルディスに避難しております」

微笑みながら答えるクララに一番感謝したのは私に間違いない。


「そう、それは良かった。

村の建物が使える様であれば、本陣をそこに移します。

水が使える様であれば、村の周りに簡易の防護措置を行い、しばらくの間、宿営する事になります。

領主の家族として適切なアドバイスをお願いします」

村の家屋や領地の使用には、カロッサ男爵の許可が必要であるが、それは後日、金銭で対応させてもらおう。


「かしこまりました。それではエルンスト様、宜しくお願いします」


「こちらこそ、宜しくお願いします。それではシルディア様、失礼いたします」

エルンストとクララが『手に手を取って』と言う感じで本陣を後にする。

(エルンストって僅かな間に随分うちの子と親しくなったような)

エリーの方を見ると同じ事を考えていたらしいが、首を横にふる。

クヌートがエルンストに拳を握ると、エルンストが軽く拳を上げる。

翻訳すると、『上手くやりやがって』、『羨ましいか?』と言うところかしら。

(あとでカタリナに詳しく聞く必要がありそうね)


   ◆   


「アレクセイ参りました」

しかし、今は恋バナのネタ探しをしている場合では無い。


「アレクセイ、アキム族にお願いしたい事が2つあります」

アレクセイが10名程のアキム族の部隊長を連れて来たので、本陣に招き入れる。

ただ、テーブルが一つ、速記者用のテーブルが2つしかない簡易本陣なので、席が付けるのはアレクセイだけだ。


「ご覧の様に手狭でな、申し訳ない」

と言いながら銅製のポットからアレクセイにコーヒーを注ぎ、自分にも入れる。

アレクセイは得体の知れない黒い液体に戸惑っているが、私が飲んでいるのを見て一口飲む。

表情からすると、好みに合った様子に見える。

(演技の可能性もあるけど)


残りの部隊長にはアンナがこっちはお(・)茶(・)を配っているが、初めて学園の制服を近くで見る事になった部隊長達の視線を一身に集める。


それはそうだろう、殺伐とした戦場で見るアンナは女神。

武術だけでは無く、見栄えも重視される王宮女性騎士の美貌は伊達では無い。

26歳という年齢は、私達ではまだ届かない大人の魅力と香りを至近距離で存分に振りまく。

加えて、抜群の破壊力を誇る私とフローラがデザインした例のあの制服。

黒を基調と要所に銀をあしらった凛としたデザイン。

それでいて膝よりも少しだけ短いスカートの裾から覗く太腿。

見えるか見えないと言う絶妙の駆け引きで男達の目を釘付けにする。

『勝った人と結婚します』とアンナが言えば、即座にこの本陣は男達の本能がぶつかる戦場と化す。


そして彼女が左脇に付ける勲章が男爵の証である事に気づき、驚きの表情を見せる。


「お前達、殺されたいのか?」

見かねたアレクセイが部隊長を一喝、部隊長全員が一斉に前を向き、何もない虚空に視線を逸らす。

丁度前回の100エピソードでウノシルディスは解放されました。

あと数話で完結させる予定です。

これまでお付き合いして頂き、ありがとうございました。

もう少しお話は続きますので、宜しくお願い致します。

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