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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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戦いのあと2

わくわくするお姉様の活躍を描いてみたい。

そんな作者の願望から始めた物語です。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。


火曜日と金曜日に更新を行います。


短編の外伝を作成しました。

こうれからも不定期で作成してまいります。

『主人公じゃないけど頑張ります』

40話から45話のお話です。

『帝国の崩壊』

本文で語られている「先の大敗」のお話です。

「私が連れて来た学園の生徒、つまり弓騎兵達は全員女性士官であるが、騎士以上の貴族でもある。

部隊全員にその事を徹底する事」

破壊力抜群の制服をデザインしたのが私である事も、その狙いも言わない私。

全てを知るエリーだけが「よく言う」と言う目で私を見ている。


「かしこまりました。

しかし、正直言って驚きました、弓騎兵達が全員女性で構成されている事も士官である事も。

ですが納得もしました、確かにアーレイの攻撃力と価値を考えれば、士(・)官(・)の(・)能(・)力(・)が無い者に信用して任せる事は出来ません。

それで、アキム族にシルディア様が依頼される仕事は、この戦場の後始末ですね」

なるほど、アクセレイの常識では、アーレイの軍事価値は士官が扱う事が当然な価値があるらしい。

確かにアーレイ40発と発射機、馬具一式は金貨1000枚を軽く超える。

都市に暮らす平民の人頭税1000人分であるから、領地を持たない男爵の年収に匹敵する。

(貴族である事よりも士官である事の方がアレクセイには重要なのね)


「その通りだ、話が早くて助かる。

ご覧の通り、今の我が軍には兵卒が居ない。

まあ士官候補生は1000人ほどいるが、これは陣地の築造や警備に回す必要がある。

つまり、埋葬作業に回せる人手が足りない。

かといって、戦死者を戦場にそのまま撃ち捨てておく訳にも行かない。

それにウノ族に弔(とむ)らう儀式があるならば埋葬に合わせて行ってもらいたい」

(騎兵部隊は抜群の機動力があるけど、絶対数のマンパワーは無いのよ。今後検討の必要があるわね)


「了解致しました。士官であり、貴族の女性にその様な事をさせられまりません。

それに部族は違えども、ウノ族ではあります。

それを野に撃ち捨てるのでは無く、埋葬しウ(・)ノ(・)族(・)の(・)風(・)習(・)で弔(とむ)らう事が出来るのです。

是非、手伝わせて下さい」

(ウノ族の風習ね。さすがヒルダが認めた男、私のウノ族の風習を尊重すると言う意味を的確に読み取ってくれる)


アクセレイの切れの良さに感心した私は、コーヒーを飲んで一呼吸入れる。


「埋葬する場所については後(・)ほ(・)ど(・)指示をあたえる。

それと武具と鎧、所有物は、全(・)て(・)私(・)の(・)所(・)有(・)物(・)である。

破損具合に関係なく、全てを回収する事。

ただし、個人が特定出来る遺品については、後日遺族に返還するので判別しやすくしておいて欲しい。

埋葬に際しては、下履きはそのままにして置く事、裸にする必要は無い」

遺体から鎧などを脱がせる光景を想像したら、さすがの私も気分が悪くなって来た。

出来れば、「良きに計らえ」の一言で済ませたいが、金銭が絡む大事な事なのでそうも行かない。


「かしこまりました。

それでもう一つの仕事とは何でしょうか」

(装備品の所有権については見落とした? それとも意図的に無視した?)


「今、そこのカロッサ村に偵察を出している。

ウノ族の傷病兵がいた場合、その世話、治療をお願いしたい。

治療に際して必要な物があれば、可能な限り調達しよう」

今度はアレクセイは微妙な表情を見せる。

(ウノ族への恨みは最後の突撃での殺戮で区切りを着けたのよ。だからもう殺戮は終わり)


「・・・かしこまりました。

先ずは、遺(・)品(・)回(・)収(・)から始めます。

それでは失礼致します」

アレクセイに続いて戦隊長達が退出した。


「シルディ様、アレクセイ殿を試されましたね」

エリーがいたずらに失敗した私をからかう様に言う。


「アレクセイ殿に易々(やすやす)と見破られましたな」

バルタザール殿も追い打ちを掛けてくる。


「本来、戦士者から回収した装備の所有権は回収した者の物。

それを無視して全てを私の物としたら、兵の不満はそれを命じた者に向かうでしょう」

私は空になったコーヒーカップを指に引っ掛け回しながら言う。


「それをどの様に制御するかで、アレクセイの力と意図を測ると」

と、バルタザール殿。


「どうせその後で、手間賃と称して金銭で手当を渡して、ご自分の評判を上げる目論見でしょう。

占領地懐柔策の初歩ですわ」

と、エリー。


「初歩だけどけに効果的よ。一石二鳥の良い手です」

カップを回していたのを「催促」と誤解したアンナが慌ててコーヒーを入れてくれる。

そんなアンナに『済まない、でも催促じゃ無いのよ』と謝る私。

(カップを回してお茶の催促なんて、下品過ぎる。後でアンナ達にキッチリ口止めしないと私の悪評が又増える)


「流石ですな(悪女ですな)」

「悪女ですね(流石ですね)」

二人で建前と本音をハモらないで欲しい。


「アレクセイだけを呼び出して命じたのであれば、彼だけに憎悪が向けられるでしょう。

しかし、部隊長も一緒に呼んだので、彼は憎悪の対象を私に向けて部族の結束を行う手もありますよ」

私は私の打った手を使った策士家が好みそうな策を提示してみる。

(アレクセイが装備回収について即答しなかったのは、アレクセイもその可能性を考えたからでしょう)


「確かに小策士や面従だけの降伏であればそうするでしょうな」

バルタザール殿の意見にエリーが頷く。


「ですがシルディ様は、身元の分かる遺品については遺族に返す意思を示されました。

さらに負傷者の手当と戦死者を弔(とむ)らった上で埋葬する事を命じられました。

これはシルディ様とクロスロードにはもう、ウノ族を恨む気持ちは無い事。

さらに属領の宗教を認める事を戦隊長達の前で示した事になります」

エリーの意見に今度はバルタザール殿が頷く。


「アレクセイには私の意図が正確に伝わった様に感じました。

だから彼は『先ずは遺品回収』から始めると言ったよ、装備回収では無くね」

エリーとバルタザール殿が「確かに」と頷く。


「それにしてもシルディ様。相当アレクセイ殿を気に入られましたね。

頼みますから姉妹で争うような事は止めて下さいね」

エリーがまた凄い爆弾を投げ込んで来た。


「それはない。

だけどヒルダが『乙女の命』を上げるほどの気に入った漢よ、興味が無い訳じゃ無い。

タカツ地方を収める族長で侯爵であれば嫁入り先としても問題ないと言うか、むしろ望ましい。

問題は、ヒルダにその自覚があるかと言う事ね」

私は自分の発言に頷く。


「多分ウノ族の風習を知らずにその場のノリで差し出したと思いますね。

さすがシルディ様の妹様、ヤラカシの血は争えませんね」

変な所に感心しながらエリーが言うと、バルタザール殿まで頷かれる。



旗色が悪い時は、話題を変える事

「属領の民に対する公平な扱いと宗教の保証。

これは国を安定させる上で最も重要な事であると私は考えます」

私は、アンナに入れ直してもらったカップをテーブルに置き、少し真面目な口調で言う。


「その通りですな。

帝国は属領への扱いはクロスロードにはともかく、それ以外の属領には公平では無かった。

宗教はともかく、法律に関しては全ての属領で同じ法を適用しようとした。

その押し付けがゲートリング大公国の離反を招き、帝国解体を招いたと言える」

帝国崩壊の理由に関してバルタザール殿は私と同意見なようね。


「シルディ様の考えている帝国では帝国法の様な物は作らないのですか」

そう言うエリーの表情は、私が考える帝国の本気度を測っているようだった。


「そうね、ある程度の共通な法は必要ね。

だけどその地方独特の法があるのであれば、可能な限り尊重させるべきだと思うわ。

もちろん宗教や風習についても私と大多数の貴族が許容出来る範囲で尊重されるべき。

そう言う意味では、私が作るのは法を取り締まる法、国の理念と言うべきかしら」

外敵には団結する事が必要だけど帝国内部の締め付けは緩い方が良いと私は思っている。


「法を取り締まる法ですか、それはさすがに私の想像以上ですな」

バルタザール殿をして地方領主の考えから抜け出すのは中々に難しいらしい。


「さすが、シルディ様、その発想は私にもありませんでした。

その法がどの様なものか想像もつきません。

ですが、名前が『帝国法』では恰好が付かないのは判ります。

アーレイみたいな適当過ぎる名前はダメですよ」

エリーがネームングセンスがほ(・)ん(・)の(・)少(・)し(・)苦(・)手(・)な私の痛い所を突いて来る。


「・・・当然です。

まだ発表出来ませんが、任せておいて下さい」

私の力強い言葉にバルタザール殿は、フムフムと納得されている。

エリーは懐疑に満ちた目で見ているのは何故? 付き合いの長さの影響?


「伝令ーーーー! 伝令ーーーーー! エルンスト様からの伝令です」

伝令が幕舎の入り口で跪く。


「伝令ご苦労。内容を述べよ」

又しても話の切り替えが欲しかった私が間髪入れず伝令に指示をだす。

エリーが『上手く、逃げた』を言う表情でコーヒーを飲む。


「はっ! 

カロッサ村にて傷病者約2000を保護、村の家屋と仮設テントに分散して収容中。

疫病の発生は無し、100件の家屋、10の井戸が使用可能。

そして、村の外に以前は無かった湯量豊かな温泉を発見。

以上です」


「カロッサ村に向かいます」

「急ぎましょう」

そう言うやいなや私は立ち上がると、エリーも同じタイミングで立ち上がる。


「カロッサ村にも温泉か。

やはりブルマイスターからウノシルディスまで温泉の脈でつながっている様じゃな」

一人バルタザール殿だけが落ち着いてお茶を飲んで居た。

アキム族の離反を受けてシルデイの軍勢は1万を軽く超えました。

更に捕虜となっていた領民5000とウノ族の傷病者を加えると2万を越えます。

ウノシルディスを出発した時は3000人程でしたから、約7倍ですよね。

これを収容する施設の建設や食料の確保など、エリーが過労で倒れないかが心配です。

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