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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ウノシルディス平定14

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「エリー、色々と思う所はあるだろうけど、私が突撃した後の事は貴方にしか任せられない」

エリーに声を掛ける。


エリーは私に跪き

「ご存分に戦い下さい。シルディア陛下」


「『陛下』の尊称は、まだ私が勝手に言っているだけで、公式には認められていないわよ」

(この事だけで、「悪女」決定ね。ウノシルディスの解放を口実にして帝国から離脱して新しい帝国を作ってしまう気なのだから)


エリーは首を横に振り

「私とここにいる騎士達が認めております。

シルディア様には皇帝陛下に成ってもらいます」

エリーは立ち上がり私を見つめる。


「騎士達が認めたか・・・・・そうか、宜しく頼む」


「かしこまりました」

万感の思いを込めてエリーが泣きそうな顔で答える。

私はこれ程に重みのある『かしこまりました』この言葉を聞いた事が無い。


エリーは従者から愛馬ホリゾントの手綱(たずな)と愛用のサーベルを受け取り私に手渡す。

代わりにあの白旗を叩き斬った指揮当をエリーの渡す。


「この指揮刀を貰えますか」


「今はダメ。預けるだけよ。

この戦に勝った後に貴方にあげる。

貴方には刃の無い指揮刀の方が相応しいと思うから」

エリーは自分が何を言ったのかに気が付いた様だ


「申し訳ございません。考え足らずでした。今はお預かり致します」

そう言って私の指揮刀を受け取るエリーを抱き締める。

エリーも強く私を抱きしめた。


「頼むわね」

私は一体何をエリーに頼んだのだろう。

だが、それはきっとどうでも良い事なのだろう。

私はエリーに『頼んだ』それでいい。


エリーを開放して騎乗、敵陣に向かって常波(なみあし)で進みだす。


バルタザール殿と『戦旗』を掲げたアンゼルムが後に続く。


「アンゼルム、お前が私(・)の(・)戦(・)旗(・)を掲げてくれるのか?」

私はアンゼルムを振り返る。

アンゼルムの後に私に忠誠を誓う帝国の騎士達が隊列を整えながら続く。


「はい! シルディア陛下。

アンゼルム・フォン・ウノシルデスが陛(・)下(・)の戦旗を掲げます」

晴れやかな自信に満ちた声でアンゼルムが答え、バルタザール殿がそれを見て微笑んでいる。


「そうか、任せる」

そういうと私はもう前だけを見て常波(なみあし)から速歩(はやあし)に速度を上げる。


「陛下が速度を上げられた! 遅れるな! 我がコンラート戦隊が陛下の先陣を守る」

コンラートに率いられた300騎程が前に出ようと私を追い抜く


「戦旗に遅れるな! 駈歩(かけあし)!  駈歩(かけあし)! 我らディートフリート戦隊は陛下の左翼を固める」


「出遅れた! 襲歩(しゅうほ)だ! 襲歩(しゅうほ)! エッカルト戦隊は右翼を守るぞ 」


「兜など脱ぎ捨てろ! クロスロードの騎士の覚悟を示せ!」


「「おおーーーう」」

自然に出来上がった突撃隊形で、各隊のリーダーが思い思いの言葉を叫びながら突撃を開始する。


◆   ◆   ◆   ◆


敵の使者が敵陣に戻ったタイミングで後方の本陣から突如歓声が上がり、1000騎ほどの騎馬隊が一匹の獣の様に凄まじい殺気を持って突進して来るのが見える。


「カタリナ隊長! 

始まりました、騎兵の突撃です。 

・・・・・先陣はシルディア殿下!

シルディア殿下と『戦旗』が並んで先陣を切っておられます。

・・・・

シルディア殿下の突撃です!」


私に命令を伝えてくれた後、後方を監視してくれていたマチアの声は震えていた。


   ◆    ◆    ◆    ◆


確かに先頭は愛馬ホリゾントを駈るシルディ様だ。


特別に白く彩られた馬具に身を包んだ大柄で黒鹿毛のホリゾントが親子2代に渡って愛する主(あるじ)を乗せて疾走する。


黒を基調とした士官候補生の騎馬の中で赤い乗馬服、そして翻る裏地が赤のマントがひと際目立つ。

兜を被っていないシルディ様の長い黒髪が風に舞う。


(ま(・)さ(・)か(・)とは思った、だけど絶(・)対(・)とも思った。やはりシルディ様は先陣に立って突撃される)


後続の騎士達が兜を次々と投げ捨て、決死の突撃の覚悟を戦場に示す。

雄たけびを上げる1000騎の勇者達が地鳴りを上げて突進する。


その光景は敵にも見えるのだろう。

決死の覚悟のクロスロードの騎兵の気迫の前に、捕虜を盾に取る蛮族がまともに対抗出来る訳が無い。


シルディ様の横を『戦旗』を掲げて駆ける小柄の者はアンゼルム殿か


『ウノシルデスの武勇、紅旗の勇、此処に有り!』


学園の講堂で私達に出陣の覚悟を決めさせた『戦旗』

ウノシルディス解放の時にフローラ様が掲げ、民衆の希望を集めた『戦旗』

その『戦旗』を今度は弟のアンゼルム殿が掲げて先陣を切る。


私は、戦慄に全身が震える。

私はクロスロードの歴史に参加し、刻まれて行くのを見ている。


   ◆    ◆    ◆    ◆


「作戦通り、突撃隊の進路上の敵を排除せよ! 

通常ボルト! 攻撃後は突撃隊の進路から退避、その後は戦隊毎に散開し全力攻撃。

全軍50メートルまで突撃! 総員続け!」

私の隊が突撃を開始すると、100メートル前方にいた突撃騎兵が二つに分かれ、敵を左右から周り込もうと動き出す。


先頭を切るクヌートとエルンストに率いられ、2匹の白銀の大蛇の様に動き、私達の進路を開ける。


50メートルまで接近すると、怯えた捕虜たちの顔、そして驚愕した敵の顔もはっきり判る。

(シルデイ様に率いられた決死の騎士の突撃の気迫に完全に戦意を失ったわね)


「伏せろ! 伏せろ! 死にたくない奴は伏せろ! 射撃用意! 各個に撃て!」

簡単なゲール語であれば、ウノ族も理解するだろうけれど構わない。


私だけでは無く、各戦隊長も身振りも合わせて「伏せろ! 伏せろ!」と叫ぶ。

敵の中にも意味が解ったらしく伏せる奴ないるが懸命な判断だ。

人質を放してくれるならどうでもいい。


200本程の通常ボルトが敵前衛の中央部隊に襲い掛かる。

頭に直撃を受けた者がスイカの様にはじけ飛ぶ。

腕や足に直撃を受けた者は肢体が千切れ飛ぶ。

ほとんど水平発射の通常ボルトは、50メートルと言う至近距離では、運が良ければ(悪ければ)二人位の胴体を貫いて3人目に突き刺さる。

(即死しなくても、あれは助からない。アーレイが無くてもめちゃめちゃ強いんじゃない)


「射撃を行ったら左右に展開、以下戦隊長の指揮で戦闘を継続」

事前の伝令のマチアから伝えられた作戦通りに射撃を行った戦隊から左右に展開する。


その時、300騎程の槍騎兵が6列の突撃隊形となって疾走する。

なんとかシルディ様を追いこして先陣を切る突撃部隊を形成出来た様だ。


「良くやった! カタリナ!」


シルディ様も疾走しながら大声で声を掛けてくれた。

何時もの淑女然としたシルディ様からは考えられない大声。


「ご武運を!」

私も大声でシルディ様に叫び返す。


「ご武運を!」


「ご武運を!」


「ご武運を!」

私隊の部下達も口々に叫ぶ。


シルディ様は剣を抜き放ち、その剣を前に振り抜き叫ばれる。

「勇者達よ!! つっこめ!!! 」

総司令官が先陣を切って突撃します。

これで奮い立たない騎士がいるとしたら、騎士失格でしょう。

数万の兵が動員されようとも戦の決着は総司令官の能力と部下達の士気に左右される戦争が人間対人間であり、戦場に騎士道や正義が存在していた幸せな時代をシルディ達は生きています。


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