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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ウノシルディス平定12

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


これ程不愉快な使者を迎えるのも珍しい。

白旗を上げた使者は、剣を預ける事も無く、バルタザール殿の前に跪(ひざまず)く事も無く憮然(ぶぜん)と立っている。

服装からすると、高位の武官である事は間違い無いが、族長クラスでは無さそうだ。


「シルディア殿下のお越しである」 

バルタザール殿が私の到着を使者に告げるも、使者に動きは無く立ったままである。

後ろに付いて来たエリーが士官候補生に手で私の前に立てと合図を送ると2名の士官候補生が私の前に盾となって立つ。


「バルタザール、使者の用向きは」

私はバルタザールに尋ねる。

この様な無礼な使者に最初から私に直答を許すつもりはない。


バルタザール殿も私の意を汲(くみ)み極めて平坦な口調で

「使者の用向きを述べられよ」

と使者に向かって大きく無いが良く響く声で尋ねる。


「我は、ウノ族を束ねる族長ウンガノの五男にして第一軍団の副司令官ウンガノ・リヒトである。

第一軍団の使者として、クロスロード大公国と戦の作法について協議を行いたい」

私は何も言わずバルタザール殿に顎を一瞬上げて話を進めさせる。


「戦(・)の(・)作(・)法(・)であるか?」

バルタザール殿には何の事か推測が付かなかったらしいが、私にはこいつが次に何を言い出すか分かる。


「その通り。『戦の作法』を改める為の使者である」


「貴殿の言う『戦の作法』とは」


「我々を攻撃しているあの炸裂兵器の使用を中止せよ。

あれは騎士道精神の欠片(かけら)もない女子供や卑怯者が使う武器である。

クロスロードの騎士道精神は朽ち果てたのか」

リヒトは私を見ながら小馬鹿にしたように言い、共の者が嗤(わら)う。


エリーが

「切っても宜しいでしょうか」


「まだ、ダメに決まっているでしょう」

アンゼムルがエリーを必死の抑える。


「貴殿が『戦の作法』について問答(もんどう)するのならば、なぜ女子供を盾にする」

私が馬鹿にされた事で、冷静なバルタザール殿が私以上に熱くなっている。


「先に卑怯な手段を神聖なる戦場に持ち込んだのは、そちらであろう。

そちらが我等の条件を受け容れれば捕虜を開放しても良い」


「開放する」と言わず、しても良いとする当たりが実に小賢しい貴族ぽいが、どうやらこいつの目的は私の挑発らしい。

(それに、あの武器の正体を掴んでいる?)


どちらかと言えば武断派のバルタザール殿にはそろそろ限界の様だ。

バルタザール殿以上に後ろにいる士官候補生が限界の様だが。

(挑発には成功したけど、猫と侮ったのが貴方の間違い、私達は猛虎よ)


私はバルタザール殿を手で制し一歩前に出る

「総司令官のシルディア・フォン・クロスロードである。

汝の直答を許す。

あの兵器の使用の中止を求めるならばそれも良し。

望み通りに是迄(これまで)の戦いとおなじ戦い方でお相手いたそう。

但し、その前に盾としている女子供を開放せよ」

私は全力で怒りを抑えて公女らしく貴族的に喋る。


「それは、出来ない。

捕虜を開放すれば、そちらはあの兵器を使うのに躊躇(ためらう)う理由が無くなるでは無いか」

(こいつは、使者としては論外の無能だ。騎士の誇りを言葉だけで何も判っていない)


剣に手を伸ばそうとするバルタザール殿とエリーをエルンストが必死に抑えている。

(普通、若者暴走して年長者が抑えるものでしょう)


「公女である私の約束が信用出来ないと」

私は、極力静かに言う。

私の絶対零度の言葉を聞いてバルタザール殿とエリーが凍り付き、剣の柄から手を放す。

大公国で私にここまで言わせたら、身を捨てて謝る以外、不敬として切り捨てられても文句は言えない。

(逆に切り捨てなければ、私の公女としての良識が疑われる)


「貴方があの悪魔の武器の開発と配備を行った責任者であるのが我々は知っている。

卑怯者の公女の言う事など信用出来ない」

使者がそう言った瞬間、私の意志に関係なく剣が一閃、敵が掲げていた白旗の棹(さお)を切り飛ばしていた。

(あちゃ~~早まった。何故アーレイの開発と配備について知っているのか問いただすべきなのに。私の中の大公家に血が勝手に剣を動かしちゃった。今更聞き直す訳にも行かないし、もう仕方ないか)


私の思いも知らず、青い空に舞い上がった白旗がゆっくりと地面に落ちる。


「私の約束を貴様ら蛮族の約束と一緒にするな。

交渉は決裂だ。

クロスロードの騎士の誇り、その身でとくと味合うが良い。

陣に戻り、貴(・)殿(・)の(・)最《・》後(・)の(・)戦(・)い(・)に備えよ」

私は白旗を叩き折った剣を地面に突き刺す。


「お考え直した方が宜しいのでは、5000人の命がどうなっても宜しいのですか」

私の剣が再び私の意志に関係なく一閃、使者の胸甲に傷を刻み込む。


「この状況でまだ口開く度胸だけは褒めてやる。

だが、ここは戦場、言いたいことがあるのなら、剣で語れ。

しかし、もやは貴殿と話す事は何もない。

これ以上、私に口を開けば背中の穴で息をする事になるぞ。

バルタザール! 使者殿のお帰りだ、陣の外まで護衛を付けて丁重にお見送りする様に」


「かしこまりました」


「ウンガノ・リヒト殿、総大将が白旗を倒された以上、これ以上の会談は不可能です。

安全な所までお見送り致します。速やかに陣にお戻り下さい」

バルタザール殿は使者達の言い分の一切を封じ込め使者達を敵陣に戻す手配をする。



この時点での残敵数は3万と思われていましたが、実は5000人はウノシルディスの住民でした。

従って、総数で2万5千人あまりとなります。

その内、人質を取っていた部隊は1万、残り1万5千が敵本体となります。

これに対し、シルデイ側は突撃騎兵、直衛騎兵が1500人、後は士官候補生が1000人程いますが、

この1000人が戦力となるかどうかは、まだ未知数です。


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