ウノシルディス平定6
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
火曜日と金曜日に更新を行います。
「シルディア殿下、私のその他軍監達(其の1から8)が大変な失礼を致しました」
クヌートが軍監達(其の1から8)が引き下げた後、私の前に片膝を付いて騎士の礼を取るアドリアン伯爵とバーデン伯爵。
「何、アドリアン伯爵、謝罪には及ばぬ。
あの帝国の軍監達が邪魔であったのであろう。
それはそうとして、バーデン伯爵お会いするのは初めてな気がするのだが」
「申し遅れました、シルディア・フォン・クロスロード大公国殿下。
カール・フォン・バーデンと申します。
出陣前に兄のエルンストが相続権を放棄致しましたので伯爵家を相続致しました。
私の母は、ここにおられるアドリアン・フォン・オベール伯爵の妹になります」
「エルンストとは、突撃騎兵副隊長のエルンストの事か」
エルンシトも黒髪であるが、兄の方には左の前髪に一房の銀髪が混じる。
「はい、弟がお世話になっております」
カールはその銀髪が少し額に掛かったのが気に成るのか、後ろに撫でつける。
「なるほど、してアドリアン殿は私の為人を見に来られたわけか」
良くアドリアン殿を見ると、やや茶色い黒髪にやはり左の前髪に一房の銀髪が混じっている。
(馬みたいにそういうのって人にも引き継がれるのね。でも私は黒髪なのにヒルダは綺麗な赤髪。二人とも両親に似ていないのね。やっぱり人は面白い)
「ご慧眼の至り。帝国はシルディア殿下の防衛戦失敗後にクロスロード大公国の完全併合とウノシルディスの奪還とウノ族、タカツ地方の武力侵攻を計画しております」
いきなり爆弾を投げ込んで来たけど話が早いわ。
ここは戦場、いつもの貴族の言葉遊びをしている程、暇ではないの。
「私が敗死した後にシュナウザー殿下と帝国皇女との婚姻を進めてクロスロードを併合するか」
その可能性は2年前の大敗の後にブルックやエリー、フローラとも何度も話し合った。
「やはり、既にお気づきでありましたか」
私は黙って頷く。
「具体的に動きが出て来たのね」
「帝国の第3皇女との婚姻を進めています。
婚姻と同時にウノシルディスへの帝国軍による出兵と占領を計画しています。
私にも帝国貴族との婚姻の話がありましたが、ブルックハルト殿とアドリアン殿が先手を打って私の相続と婚約を取り纏めました」
(ブルックが繋がっていたのか。しかし、アドリアン伯爵の帝国での立場がはっきりしない)
「そんな情報を人払いもせずにして良いの?」
彼からブルックの名前が出たので自然に私の口調も少し穏やかに成る。
「構いません。此処にいるのは、私も含めてシルディア殿下にお味方する者達だけです」
アドリアン伯爵の言葉にバーデン伯爵も頷く。
「理解った。アドリアン伯爵、バーデン伯爵、貴殿達からの忠告は心に留めておく」
「ありがとうございます。
最後に一言、ウノシルディスでの戦勝式でも誓わせて頂きましたが、バーデン伯爵家はシルディア殿下に絶対の忠誠を誓います。
こちらは、その証文に成ります。お納下さい」
と、懐から証文を取り出す。
バルタザール殿も頷いているので、きっと事前に了解を得ていたのであろう。
「理解った。バーデン伯爵家を軽く扱う事はしない」
「帝国でクロスロード大公国の併合を進めているのは、軍部と武断派、いわゆる旧来の帝国派です。
先の大敗を領土拡大と軍事力強化で挽回する計画です」
バーデン伯爵から書簡を受け取ると、再びアドリアン伯爵が帝国の状況を説明する。
「アドリアン伯爵は文官派であるか? しかし、バーデン伯爵家との血縁がある以上は帝国がウノシルディスの併合した場合の方が立場は強化されると考えるが?」
普通、帝国がウノシルディスを併合した場合、旧来からの領主であるバーデン伯爵家と血縁関係にある
アドリアン伯爵家の帝国での影響力は高まる。
それは自身の政治信条とは異なるとしても貴族として望ましい事ではないだろうか。
私に味方をしてくれる貴族は歓迎であるが、夢想癖や理想主義者の貴族では困る。
「強化はされるでしょうが、諸刃の剣で生贄にもなります。
併合でクロスロード大公国の騎士の不満が高まればシュナウザー殿下に向かう不満を和らげる為に、バーデン伯爵家が差し出される事になるでしょう。
それにバーデン伯爵家との婚儀を画策したのは、武断派の貴族です。
私としては、帝国の領土拡張政策を改め、同盟関係による均衡状態に戻したい」
なるほど、先も読めるし貴族的な野心もある。
これならば私も与しやすい。
「なるほど、アドリアン伯爵のお考えは理解した。
されど、今は戦闘の真っ最中である。
今後の事はこの戦闘が終わった後に改めて時間を設けたい。
今はそれでよろしいか?」
「畏まりました、それでは失礼致します。ご武運を」
「失礼致します。シルディア殿下に勝利の栄光を」
アドリアン伯爵は帝国式の敬礼を、バーデン伯爵は騎士の礼を行い観戦場所に向かう。
◆ ◆ ◆ ◆
軍監達との長い対面が終わり、すっかりぬるくなったコーヒーを飲んで一息を入れる。
「全く、戦争中に味方の裏切りの心配とか次の内戦の準備とか、本当にヒルダの提案に従って私が本隊に残って正解だったわ」
ふと気が付けばアーレイの爆音がかなり前からしていない事に気が付く。
エリーが望遠鏡で前線を見ている。
「シルディ様、敵陣から白旗を揚げた使者が向かっています」
多事多難はまだまだこれかららしい。
ウノ族がウノシルディスに侵攻した最大の原因は、クロスロード大公国の戦力の低下にあります。
この時代、軍事力を失い、防衛力を失う事は国として致命的なミスで、侵略されるのは当然です。
クロスロード大公国の軍は兵力の不足を原因としてウノシルディスの放棄を決めましたが、帝国は将来クロスロード大公国を併呑し、ウノシルディスとウノ族の侵略、タカツ地方の占領を計算に入れてウノシルディスの放棄を決めました。
ウノシルディスの占領が目的ですが、それ以上にシルディが育てた学園と学園都市の占領が重要で、これはシルディとグランド侯爵家に散々煮え湯を飲ませれて来た帝国の商業ギルドの要望でもあります。
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