ウノシルディス平定2
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
火曜日と金曜日に更新を行います。
一通りの乾杯が終わった所で一同を見回すが、みんな勿論上機嫌である。
「それで、さっきのカタリナの質問に戻るのだけど、敵の防御陣地を固めている兵は、ブルマイスターでヒルダの降伏した部族と同じ可能性が高い」
「ヒルダ様が敵の降伏を認めたのですか? それはシルディ様の命令に反した事にはなりませんか?」
エルンストはブルックの薫陶が行き届いている為か、命令違反には厳格に対応する。
それは実戦部隊の指揮官としては望ましい事である。
しかし、軍司令官としては少々困るので、今後とも教育して行く必要がある。
しかし、喜ばしい事に彼とクヌートにはそれを理解できるだけの才能がある。
「エルンスト、そしてクヌート貴方達にはこれから戦略的な思考も身に付けて欲しいと思います
二人は、この戦争というかウノ族をウノシルディスから駆逐した後、ウノ族とはどの様に付き合うのが良いと思いますか」
私の唐突な戦略的な質問にもクヌートとエルンストに怖気る気配は無い。
(この辺はやはり士官学校の教育のお陰かしら。ハイデやカタリナとは違う反応ね)
「有利な条件、出来れば賠償金の請求と進駐軍の駐留と領地の割譲ですが、約束の担保に王族の人質が欲しい所ですが、蛮族の姫程度では気休め程度でしょうね」
エルンストの意見は戦争に勝った者としての常識的意見だ。
私の意見を知っているエリーや説明したハイデ、カタリナ、アンゼルムは知らぬ顔で聞いている。
「領地の割譲では無く、属領化するべきです。
ウノ族の戦力は10万程度、つまり奴らはこの戦いに全戦力を投入しました。
その半数が失われた今、国内にはまともな戦力は残っていないはずです。
ただ、単純に力で属領化した場合、帝国の犯した過ちを繰り返す事になります。
出来れば、ウノ族の反主流派を味方に付け、彼らを属領間接統治の道具としたいと考えます」
依然に私が話した内容とほとんど同じ提案にエリーを始めとした幹部も驚く。
(道具と言う言葉には危うさがあるけど、概ね私と同じ考えね)
「さすがブルックが相当な無茶をして助けただけの逸材ね」
素直に私はクヌートを褒める。
(実際、大した戦略センスよ。私でもその答えを出すのにかなりの時間考え込んだもの)
「いえ、以前からブルック先輩に「帝国の統治の何が間違えていたのか」と言う問題に関して宿題をもらっておりましたので、その答えの一つです」
頭を掻きながらクヌートは正直に種明かしをする。
親友らしいエルンストは「言わなくてもいいのに」「バカ、ブルック先輩にバラされるに決まっている」「確かに」等と視線で会話しているが、そういうの男の会話は大抵女にはバレるのよ。
「解ったわ、戦闘中の戦闘指揮の時は別として、そうでない時は戦略的思想も絶やさない様にして下さい。それにしても二人とも悪い先輩に目を付けられたわね」
「「わかりました」」
(男同士の先輩後輩の関係というのは、割とドライなのかもね)
「さて、この情報と言うか可能性を考慮した上での作戦ですが、アンゼルムの策を基本とします。
ハイデ隊は横一線の隊形での防護柵200メートルまで接近、敵陣地に向けて満遍なく制圧攻撃を行います」
「畏まりました。完全に制圧を目的とした射撃を行うのですか?」
「敵の右翼については、制圧を目的に攻撃して下さい。
中央と左翼については牽制を目的とした散発的な攻撃に留める様に。
敵陣から兵が出て来た場合は、後退しつつ飛び出した兵は殲滅する事。
クヌート、ハイデ陣地の攻略に拘る必要はありません」
「「了解致しました」」
「カタリナ、エルンストは敵右翼を迂回して逃走しつつある敵主力の側背を攻撃する事。
こちらは殲滅を目的とします。降伏は認めません。徹底的に蹂躙しなさい。
尚、戦利品、略奪物資には近づかない事、輸送する方法もありませんし、火薬や油による火計の策が仕組まれている可能性があります。
部隊全員に徹底して下さい、違反者には厳罰を持って罰します」
「一つ懸念事項があります」
「懸念事項か、エルンスト言ってみろ」
私はエルンストに先を促す。
「敵の中にウノシルディス住民がいて保護を求めて来た場合、またはウノシルディスの住民を盾にしてきた場合は、どの様に対応しますか」
皆の様子を観察するに、その可能性にうちの幹部で気づいていたのは、エリーとアンゼルムだけの様ね。
「住民が保護を求めてきた場合は、南方に退避させる様に。
指示を無視して北方や西方に退避しようとする場合は、警告射撃。
それでも指示に従わない場合は殲滅せよ。
いずれにしても部隊への収容保護は戦闘終了までは認めない」
「敵が捕虜を盾にした場合は?」
「攻撃を一時停止、私の指示を待ちなさい」
「「了解致しました」」
「さて、それではこの陣の撤収を完了し、30分後には進撃開始。
これまで通りクヌートの突撃騎兵が露払い、中軍がハイデ、カタリナの部隊、本陣、後陣はエルンストの突撃騎兵。
敵の防護柵が見えたら戦闘単位に部隊を再編、本陣とエルンストの到着を待って戦闘開始です」
「「イエス! シルディア!!」」
この時代、戦争で得た平民の捕虜は財産として本国に持ち帰るのは普通です。
騎士同士の戦いでは、平民を盾にしても戦いの邪魔になるだけで、さして効果のある取引材料にはなりません、騎士の戦いでは敵を選んで戦う事が出来ますから。
更に100人程度の平民を人質にしたところで、騎士に取って平民の命など軽いものですから、攻撃を躊躇う事などありません。
しかし、範囲攻撃を主に行うシルディ軍には敵と捕虜を区別して攻撃する事は困難というか不可能ですので、敵が捕虜を盾とした場合、捕虜ごと敵を殲滅するか、見逃すかの二択となってしまいます。
捕虜に命乞いをされた場合、シルディは難しい選択を迫られる事になるでしょう。
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