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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ウノシルディス平定1

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「みなさん、お早う」


「「おはようございます! シルディア閣下」」

全員が綺麗に揃った敬礼で私を出迎える。

皆の軍服は折り目も正しく、ボタンや勲章は光輝く。

とても7日も遠征している軍とは思えない。


「さて、今日は・・・「伝令!伝令!」」

私の言葉を伝令が遮ったが、不敬と眉をひそめる者は一人もいない。


「役目ご苦労。報告せよ」

クヌートが伝令の労を労い、報告を促す。

フローラやブルックが不在の間はクヌートが仕切る事が普通になって来た。


「ウノ族残党、数およそ5万、15キロ前方を渡河退避中。北向きの馬防柵を張り巡らせた防御陣地を築城し、およそ1万が防衛線の構え。後方に家畜およそ20万、物資運搬用馬車およそ1万、捕獲物資算出不能。報告以上」


「報告了解。後方にて休息せよ」

クヌートが今の報告をテーブルになっている黒板に記入してゆく。


「シルディア殿下、ようやく本隊を追い詰めたようですね」

エルンストが黒板に周辺の地形情報を追記しながら言う。


「ウノシルディス城を出撃してから1万を壊滅させましたから、残存敵の数としては合っていますが、撤退のペースが遅すぎませんか」

カタリナが残敵の数を指さしながら言う。


「馬防柵の準備がある所からも敵はかなり以前からここで我々を迎え撃つ準備をしていた様です。

やはりシルディ様の言う通り家畜の輸送を優先していたのでしょう」

ハイデが残された家畜の数を指さす。


「そうね、半分は食糧にしたとしても、残された家畜の数が少ないわね・・・・」

私はぬるくなったコーヒーを飲みながら黒板の情報を見つめる。


「偵察の結果が正しいとすると守備についている兵の数が少ない様に思えます。

まあ少ない方が結構ですが、壕に籠った歩兵を掃討するには最低でも2日はかかります」


「そうね、我々は神速を誇る騎兵隊。

城攻めとか防御とかはあまり得意ではない。

クヌート、貴方の作戦は?」

従卒にぬるくなったコーヒーを入れ直させ、ついでに軽食を持ってこさせる。


「一隊をもって正面の防御陣地を攻撃、本体は第二防衛線通って北上し敵の側背を突きます」

クヌートの策は全員が考えていたのだろう、エルンストもハイデもカタリナも異議を唱えない。


「クヌート、その策を取る場合、想定される移動時間は?」

私は黒板上で迂回ルートをなぞり尋ねる。


「第二防衛線まで林の中を10キロ、敵の背後を取るのに20キロ、再度林の中を抜けるのに10キロなので全体で40キロ、我が軍の移動能力からすると1日ですね」


「クヌート殿、その計算は少々楽観的に過ぎませんか? 

敵は我々を迎え撃つ為に馬防柵をかなり前から準備していたのですから、側背を突かれるのは避けたかったはず。

当然林に対応策があると考えるのですが」

カタリナの意見に同意する様にエルンストが頷く。


「俺もカタリナ殿の意見がもっともだと思う。

俺なら林の中で火計を仕掛ける。

略奪品の中に油は大量にあるだろうし、馬の足止めの為に黒いロープを張り巡らし、油と連動させれば完璧な火計が出来ると思う」

火計と言う発想は無かったらしい、ハイデ殿もカタリナ殿も『その手があったか』という感じ。

帝国の士官学校の勉強も役に立つじゃない。


「第二防衛線を使用する迂回ルートでは無く、主戦場を迂回する程度の迂回で駄目なのでしょうか」

参謀として参加しているアンゼルムが打開策を出す。

(まだ貴族の口調が抜けないわね。もう少しシャキっと言って欲しいのだけど。まあ徐々にで良いけど)


「林の中に伏兵の可能性はあるが、林から500メートル離れていれば、伏兵への対応は可能か。

それに逃げ出そうとしている軍の目の前で側背を突かれると思わせるのは悪くない。

クヌート、エルンストどう考える」

私はこの出兵が始まって以来、ブルックが推薦して来たこの二人に結構戦術的な相談をする事が多い。

カタリナやハイデが相談相手にならないと言う事は無いが、彼女達は実技や遠征の訓練以外に純粋な軍事的教育を受けている訳ではない。

それは私も含めての事なので、帝国の士官学校を主席、次席の成績で卒業した彼らは職業軍人として大変重宝している。

(さすがブルック。いい人材を確保して育てていてくれたわ)


「敵の本隊である3万は、恐らく撤退しか考えていないでしょうから、側背を突かれて慌てて防御を固めたとしても高い士気を維持しているとは思えません」

そういうとクヌートは乾パンをコーヒーで流し込む。


「逃げれる手段が無いとなれば、降伏すると考えますが、その場合は如何対処致しますか」

エルンストも同様に乾パンをコーヒーで流し込む。


「逃げ出そうとしている3万の敵主力については、一切の降伏は認めない。

蹂躙、殺戮しつつタマ河に追い落とし地上から消滅させる。

繰り返し全軍に命じます、敵(・)主(・)力(・)の(・)降(・)伏(・)は(・)認(・)め(・)な(・)い(・)」

苛烈な私の命令に一同が立ち上がる。


「「「イエス! シルディア!!」」」


「シルディア様、敵主力は必ずや殲滅させてみせます。

ですが防衛陣地に籠る兵については扱いが異なるのですか?」

(さすが私との付き合いが長いカタリナは気が付いたみたいね)


「朝食の時間にわざわざ急いでこの軍議を召集した本当に目的を伝えます。

さあ皆さん、グラスを持って」

私が従卒に合図を送ると、朝食の時間であるにも関わらず赤ワインが入った銀製のグラスが配られる。


この状況で祝う事があるとすれば一つしかない。

一同の期待が私に集まる。


「ヒルダが、ブルマイスター要塞の解放に成功! 攻城軍6千を撃滅しました。10日前の情報です」


「ブルマイスターに乾杯」

私が乾杯の音頭を執る。


「「「乾杯!!」」

私の音頭で一同が笑顔で乾杯を唱和する。

いよいよシルディが卒いるウノシルディス解放軍の主力が出撃しました。

ハイデ、カタリナの弓騎兵400を中核とした20戦隊にウノシルディスの突撃騎兵1000、直衛騎兵600、司令部直属120名、総勢2200名が最終的な兵力です。

ただし、それ以外にブルックが指揮を執る補給部隊とバルタザールが指揮を執る士官候補生が1000人程存在します。



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