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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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シルディの騎士団13

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


もう聞くべき事は聞いたから、改めてシルディア殿下に聞くことなど無いが、折角の機会なので、俺のアピールに使わせてもらおう。

「それでは失礼いたします。最後に実弾射撃を行なった本当の狙いは何ですか?

あの後ブルック先輩が観客席にサクラを用意していなければ観客の貴族や民の中には軍に対する恐怖が刻まれてしまったと思いますが、ひょっとしてそれが目的ですか」

さりげなく、サクラの件に触れてブルック先輩を巻き込む。


「クヌート殿。ブルックの用意したサクラを含めての演出です。

ウノシルディスの貴族や民の中には、私の軍の実力を未だに信じていない者がいます。

これからウノ族の残党を討伐に向かうのに、それでは困ります。

私の軍を裏切らぎる可能性を潰せるのであれば、それが例え恐怖でも構いません。

その価値は訓練用ボルト2000本、金貨2万枚に相当します」

俺が予想した通りの答えを言うシルディア殿下の口調に迷いは無い。

表向きの理由としては十分、シルディア様とブルック先輩のじゃれ合いを見ていなければ、俺も信じただろう。


「ですが、シルディア殿下。

敢えて力を示す事で、『恐怖によってウノシルディスを支配した』と言う悪評を招くのではありませんか?」

シルディア殿下の答えに異議を唱える形でエルンストが続ける。


「エルンスト殿、その可能性は否定出来ません。

しかし、民や軍に無知な貴族達や民に、この後に伝聞で伝えられる私達の不確かな誇張や歪曲された情報で判断されるよりも、自らの目で見た真実を元に判断された方が良いと考えます」

さっきまでの可愛いと思えたシルディア殿下はもういない。

恐ろしく情報操作に長けた政治家がそこに居た。


さて、聞くべき事は聞いたし、満足出来る建前の答えも頂いた、後は先輩に貸した借金を取り戻すだけだ

「了解致しました。シルディア殿下、閣下のお考えが読めず失礼な質問を致しました。

ウノシルディスの槍騎兵の取りまとめは我らにお任せ下さい」


一瞬、シルディア殿下は、「おや?」と言う表情をされた

「そうですか、お二人とも今後も疑問に思った事は遠慮なく質問する様に。

それはそうと、お二人は最後の実弾射撃を最初どの様に考えたのか聞かせて頂けるかしら?

勿論この答も不敬罪には問いません」

シルディア殿下のこの言葉を聞いて、「あっヤベ」と言う顔をしたブルック先輩。

さー借金の取り立ての時間だ。


「それじゃ、質問も終わった様だし、俺はこれで失礼するね」

とブルック先輩は立ち去ろうとするが、ハイデとカタリナがシルディア殿下が送った僅かな視線の合図に反応して逃げ道を塞ぐ。

(さすがシルディア殿下の幹部、これもブルック先輩が見せたかった物か。計算外の結果のようだが)


「遠慮せずにまあ、ブルックも聞いて行って下さいな。

貴方が策を巡らし、戦死から逃した我が軍の中核となる今後大切なお二人の考えです」

(これは、帝国皇帝の前で謝罪したあの時よりも緊張する。全部を正直に言う訳には行かない。ただし、先輩から借金の取り立てはさせてもらう。俺達の上司はシルディア殿下だからだ)

俺は、エルンストをちらりと見ると、奴も目で頷いた。


「最初、実弾射撃の可能性をお伺いした所、「不都合な事が起きない限り大丈夫」とブルック先輩はおっしゃいました」

俺の暴露発言にエリー様は酷く楽しそうに聞いてらっしゃる。


「小声で(俺がここにいる事は言ってあるし)とも仰ってられました」

エルンストも俺に乗って来た。

ハイデ殿とカタリナ殿が女同士の恋バナでも聞くように乗って来る。


「そして、『失敗があれば、帳消しにする為にシルディアなら最後にドカンと必ずやる』と仰られました。

もし、こうしてシルディア殿下と直接お話する機会をブルック先輩が設けてくれなければ、自分達はシルディア殿下のお考えを誤解をしたままシルディア殿下の軍に参加していた所です。

本当にブルック先輩には感謝しかありません。

ありがとうございました」

俺とエルンストはブルック先輩に向かって深々とお辞儀をする。

エリー様はとうとう堪えきれなくなったらしく、後ろを向いて肩を震わせている。


お辞儀から頭を揚げると、天を仰ぐブルック先輩とそのブルック先輩の上着の裾を離さない般若の笑顔のシルディア殿下が立っていた。

「ブルック。

本当に楽しい部下をお持ちね。これからの活躍が楽しみだわ。

それはそうと、この後の昼食を二(・)人(・)でどうかしら。

大(・)丈(・)夫(・)、ナイフとホークは使わないサンドイッチと紅茶でピクニックだから。

その恰好のままで良いわよ、私もこの制服だし。

お互いドレスに着替えて新しい服を汚(・)す(・)必要はないわ」


「そうだね、君とのピクニックは久しぶりだ。場所はウノシルディス城の庭でいいよね。

クヌート、エルンスト、君たちも一緒にどうだい?」


「申し訳ございません。ウノシルディス解放軍の結成式の準備がありますので」

自分で仕掛けた罠に引っ掛かるエルンストではない。


「ハイデ殿、カタリナ殿、宜しけれが各戦隊指揮官の面々と少し擦り合わせがしたいのだが、昼食を取りながらではどうであろうか」

俺はハイデ殿やカタリナ殿をダシにしてその部下との親交をもう少し深めたい。


ハイデ殿やカタリナ殿は顔を見合わせ頷くと

「分りました、戦隊長を昼食に呼びますので、お二方にもご出席願います」

とカタリナ殿が微笑を浮かべ言われる。


「ああ、そのランチには私も出席します」

エリー様の申し出を断る理由は無く、と言うか味方に引き込みたいので、俺はその提案に異議は無い。

エルンストを見ると同意の様なので、

「光栄に存じます。宜しくお願い致します」

と俺は答えた。


「シルディア、エリー達が出るなら・・・・・「その必要はありません。中堅幹部同士の意見交換に最高幹部が出席すれば、本音の意見が出ません」・・・・・そうだね」

ブルック先輩の意見に被せる様に言われたシルディア殿下の意見にブルック先輩は従うしかない。


(出撃前に先輩に甘えたいシルディア殿下の願いを叶える事は、俺達の義務です。頑張って下さい)

俺達はシルディア殿下と先輩を残して指揮所を後にした。

最後の実弾射撃は本当は必要ありませんでした。

でも訓練の全てが上手く行くわけが無く、その結果シルディがどの様な行動をするかは、ブルックには解り切った事でした(エリーにも)

しかし、一般の観客にはその様な行き違いは分かりません。

故に表立ってはシルディがクヌートとエルンストに披露した建前が通じる訳です。

早い話が、「まあ、これ位の八つ当たりならブルックが何とかしてくれるし、許されるでしょう」と言うシルディのブルックへの我が儘です。

ブルック的には新しく配下に加わったクヌートとエルンストにシルディの為人を理解してもらう方法でもありましたが。


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