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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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シルディの騎士団6

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「ところで、アンゼルムは社交界デビューは終っているの」

私は監視員の邪魔にならない様にタマ河が流れている方を見ながら言った。


「はい、12歳になったお披露目会の時にデビュー致しました」

アンゼルムは私の横に並び、同じ様にタマ河の方を見ながら言う。


「そう、それは好都合、明日の舞踏会でセカンドダンスを行うハイデのパートナーをお願い出来ますか」

さりげない風を装ってアンゼルムの顔色を伺うが、特に変化は見られない、さすが侯爵家次期当主。


「シルディ様、私がセカンドダンスですか」

代わりにハイデが後ろから飛び込んで来た。

(ふ~~む、この辺りはまだまだ私の幹部としては教育が必要ね)


「当然です。明日は戦勝祝賀の舞踏会なのですよ。

この戦の戦功で貴方は子爵に叙勲されるパーティーの主役です。

当然セカンドダンスです」


「頑張ってねハイデ」

色々な事を頑張れと、あくまで傍観者として楽しもうとするカタリナ。


「カタリナ、何を言っているのですか貴方も子爵に成るのです。当然セカンドダンスです。

パートナーはバルタザール殿にお願いしておきます」


「はっっはーーい?」

(こっちはこっちで教える事がたくさんありそうね)


「ね、アンゼルム。面白いでしょう。

4万の敵を前にしてびくとも動じなかった勇者が、たかがセカンドダンスでこの有様よ。

これから上手くやって行ってね?」

パニックに陥ったお姉様達を見てもアンゼルムは平然としている。


「努力致します」

(12歳であれば、もう少し子供っぽい所があっても良いと思うけど、15歳のシュナイザー殿下よりも精神的に老成していないかしら)


「そう、それでいいわ。貴方達、そろそろこっちに帰ってきなさい。次に行くわよ」


   ◆    ◆    ◆    ◆


「シルディ様は庭には興味はあまり無いかと思いますが、一カ所だけご案内したい所があります」

(ヒルダとカチアが出陣した今、シルディ様の当分のオモチャはハイデとカタリナの二人に決まったのだろうか)


「別に興味が無い事はありませんよ。噴水とかは大好きです」

(シルデイ様、それは庭に興味があると言えるのですか)


「そう言う事でしたら好都合です。僕の自慢の温室があります」

(普通の女性が喜ぶ温室とはちょっと違うけど、シルデイ様なら楽しんで頂けるかもしれない)


「そう言う事でしたら案内して貰えるかしら。

ハイデ、カタリナ、私は温室を回ったら部屋に戻りますが、貴方達はどうしますか」


「護衛は必要ではありませんか?」

カタリナが尋ねてくる。


「此処は城内ですし、アンゼルムもいますし最後にはコレもあります」

そう言って私は、乗馬服の似た黒色の上着に同じく黒色のスカートと言う学園の制服の腰に下げたレイピアの握り手を叩く。


「私は今日は予定もありませんし、良ければアンゼルム様の温室を見たいと思います」

(ハイデ様の興味は温室だけなのだろうか。それにしてもセカンドダンスか。僕から装飾品を贈ったら付けてくれるかな。宝石だと重すぎるし、そうだ! 温室のバラを髪飾りにして贈ればいいのではないだろうか。ドレスは確か青だったはずだから、大きな青のバラと緑の葉の飾りにしよう)


「・・・私もいいですか?」

(カタリナ様、その許可は誰に求めていますか)


「・・・アンゼルム、構わない?」

(シルデイ様が許可を求められたけど、少し間があったのは、僕と同じ事を考えられていた様ですね)


「勿論です、喜んでご案内致します。こちらです」

僕が先頭になって歩き出すとシルデイ様達も続いて来られる。

廊下では侍女や騎士達ともすれ違うが、僕は道を譲った者達に軽く挨拶をして先に進む。

僕の後ろに続くシルデイ様達に気づいてガチガチなのが気の毒だが仕方がない。


「シルディ様は、学園でもその制服ですか」

無言で歩くのが帝国の貴族の作法らしいけど、シルデイ様はそんな作法は全く無視しておられたので、当たり障(さわ)りがなさそうな話題を振ってみる。


「そうね、正式な行事や舞踏会の時には勿論ドレスを着ます。

卒業はしているので制服を着る必要は無いのですが、学園で居る時にはこの制服が多いですね」

卒業している理事長が制服を着ている謎だけど、動き易そうだし、機能的だしフローラ姉様やエリー様も制服だから問題ないのかな。


「黒を基本に、赤い糸で彩られた縁飾りが素敵です。

特に編み上げの膝まであるロングブーツと制服との組み合わせが絶妙で、上品でありながら、メイドが着ているスカートよりも動き易そうです」

美しいとか綺麗では無く、動き易い所を褒めてみる。


「女性が学園に憧れを抱く様に考えてデザインしましたから」

何かのシルデイ様のスイッチが入ったらしい。


「やはり、それはシルディ様のデザインですか」

目に悪戯っぽい光が宿っている。あ~~まずい、引っ掛かった。


「いいえ、私と貴方のお姉様の共同のデザインよ。

普段着としても使えて、公式の場でも礼を失わず、そしていざと言う時には、乗(・)馬(・)も行えるというコンセプトです」

そこか! フローラお姉様、一体何をしてくれたのですか。これは男にはエグイ。しかし今からの回避は不可能。


「・・・スカートで乗馬ですか?」

正面から受け止めるしかないじゃないか。

にシルデイ様が白い太腿を見せて乗馬している姿を想像するなと言うのは無理な話。

ダメだ! 刺激が強すぎる。特に騎乗した後より、騎乗する動作が危険すぎる。


「そうですよ。今度お見せしましょう」

成程、容赦無く追い込みを掛けて来るのですね。


「・・・いえ、流石にそれはご遠慮致します。

しかし、その制服での乗馬姿はまるで地上に降りた戦乙女(ワルキューレ)の様ではありませんか」

せめて、一矢報いる事が出来たであろうか。


「ハイデ様もカタリナ様も普段はその制服ですか」

さっきから無言で着いて来ているハイデとカタリナに救援を求めて見る。

(カタリナ様には期待しないけど、ハイデ様なら助けてくれるかも)


「今度一緒に乗馬・・・

『アンゼルム殿、このスカートはスカートの様に見えますが、実はズボンなのです。

ですから、馬に乗っても太腿(ふともも)やそ(・)の(・)奥(・)が見える様な事はありません』」

カタリナ様は予想通りに追い込みを掛けてきたけど、ハイデ様が救援に来てくれた。

しかし、ハイデ様、その救援は沈没しかけの船の火事を大波で消す様なものです。

シルデイ様がが騎乗しようと足を振り上げている姿をより鮮明に想像してしまったではないですか。

自然に僕の顔が赤くなる。


「ハイデ様、どうかその件は無視して頂けると助かります」

たまりませんと、僕は降参した。


「ハイデ、そこはシルディ様の鉄板ネタだから、バラしてはダメなの」


「シルディ様、アンゼルム様、申し訳ありませんでした」

几帳面に謝罪するハイデ様、だけど・・・


「まったく、仕方無いわね。ハイデに悪気は無いので、アンゼルムも忘れてくれる?

ハイデは、スカートで乗馬をする様な破廉恥(はれんち)な事を私はしないと言いたかったのでしょうが、そのギリギリを攻めるのが私とフローラが仕組んだ悪巧(わるだく)みじゃないの」

シルデイ様、今悪巧みと言いましたね! 12歳の子供に大人気無(おとなげな)いじゃ無いですか! こうなったら反撃しますよ。


「はい、シルデイ様。この制服で馬に乗っても太腿(ふともも)やそ(・)の(・)奥(・)がまる見えには成らないと言う事は、すっかり忘れました」

どうでしょう、シルデイ様、少しは気晴らしになりましたでしょうか?

アンゼルム君は12歳ですが、かなりませています。

ま~シルディからすれば可愛い弟が頑張っているとしか見えないのですが。

ただし彼の発想力には関心しています。

しかし、それは大人や貴族のしがらみを実感として知らない子供であるが故の大胆な発想である事も当然わかっています。

ま~いわゆる怖い物知らずというやつですね。

この辺りのバランスを取りながら、彼をブルックと一緒に育てるつもりの様です。

ま~これも二人の子育ての予行演習の様な物ですね。


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