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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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シルディの騎士団1

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「そういえば、シルディ様。ヒルダ様との合流はブルマイスター要塞では無く、タカツ地域の北部辺りと言う話であったが、その理由は」

バルタザール殿がこの軍議が始まる前の行った私の発言に戻る。


「ええ、ウノ族の侵入が短期決戦によるウノシルディスの占領では無く、数年に渡る物資の略奪にあると言う事は、ご理解して頂いておりますでしょうか」


「ブルック殿よりその考えを聞かせれた時は半信半疑じゃったが、思えばこのウノシルディスを占領したとしてもそれはクロスロード大公国との紛争を抱え込むだけであり、確かに今のウノ族の能力から考えればあまり得策とは言えんじゃろうな」


「まあ、取りあえずその前提で話を進めると、ウノ族には略奪した物資や家畜を持ち帰らないと意味がありません。ウノシルディスの約半分の富ですから、荷馬車の十万や二十万の量ではありません」


「確かにその通りじゃな。さらに穀物やら家畜も百万や二百万じゃ無い上に、生きたまま運ぶのであれば、途中の餌もいるから運ぶのも大変じゃて」


「ところが、偵察からの報告では、ブルマイスター要塞の付近を荷馬車も家畜の通った形跡がありせん」


「ブルック殿、その偵察と言うのはシルディ機関の偵察じゃな」


「ええ、そうです。ようやくブルマイスター要塞までの偵察網が復活しましたが、大量の荷馬車が通過した形跡が何処にもありませんでした。

荷馬車の捜索を最優先に行っていましたが、轍の跡が全くないので、気づくのが遅れました。つまり最初から通っていなかったのです」


「成程、それは盲点じゃったな。しかし、現実に物資と家畜は無くなっている」


「はい。ブルマイスター地方を通らずに物資や家畜を運ぶとしたら、タマ河を越えるしか手がありません」


「舟か」


「それも一カ所とは限りません、大量の舟を使っての渡しです。それしかありません」


「2週間にかけてやつらはウノシルディスを占領はした。

だが、ここウノシルディス城の攻防で主力2万を含む4万の兵を失った。

残りの6万程は普通ならば、物資の運搬より自身の撤退を急ぐと思えるな」

さすがバルタザール殿、この僅かな情報だけで、私と同じ結論にたどり着いた。


「であれば、追撃を急ぐべきではありませんか。叙爵(じょしゃく)式やら舞踏会やらをやっている暇は有りません」

エリーは、侯爵家の令嬢だけあって、ケチと言う訳ではないが、兵站、物資についてはうるさい。


「それはそうなんだけど、私はただ勝てば良いとか物資欲しさにこの戦いを行っているのでは無いの。

最優先で最低限の目的は、民の救出とウノシルディス解放ですが、それだけの為にこの戦争を始めた訳ではありません。ですので性急には残敵掃討戦は行いません」

(私は2年前からこのウノ族の侵攻を予測していた。そして防げないのであれば、民の被害を最小限に抑え、更にこの侵攻を私の為に生かす方法を考えていた。

(この事一つで悪女確定ね)


「性急に()()()()のは、私達の隊に休息を取らせる為ですか」

部隊長であるハイデの質問は、戦術レベルとしては完全に正しい。


「それも理由の一つね。学園からウノシルディスまで強行軍で進軍して、その後初陣を飾ったのですもの

人も馬も最低2日の休みは必要よ。だから性急に動けない理由としては()()()()

この二日の休みの理由は万人を納得させるだろう。


「それにウノシルディスの騎士団との戦術的な擦り合わせも必要です。ブルマイスターの騎士団とは幸いにも上手く連携出来ましたが、いくつかの反省点はあります」

今度はカタリナの部隊長としての発言であるが、これもより大きな戦術レベルの解釈として正しい。


「おまけに今度私達の戦隊に組み入れるのは、ベルン殿が卒るブルマイスター騎士団の様に歴戦の槍騎兵ではありません。

バルタザール殿のお話によれば、同じウノシルディスの槍騎兵でもコレが初陣の新兵です」

ハイデもカタリナの意見に合わせて不利な条件を積み重ねる。


「それだけじゃないわ、今こっちに向かっている士官学校の士官も新兵よ」

なぜかエリーまで、カタリナに賛同する。

(貴方の仕事は戦術レベルの事を考える事ではないでしょう)


「儂から言うのもなんだが、初陣の普通の新兵はまともに動かないと考えた方が良い」

バルタザール殿が締めくくるのは、そろそろ結論を言えと言う事なのだろう。


「ですので、私達に犠牲を出さない為にもウノシルディスの槍騎兵と3日の調練を行います」

これで5日は稼ぎ出す事が出来た。


「そうじゃな、どう考えても調練には()()()()()()は必要じゃな」

バルタザール殿の発言に「普通なら」という声が混じった気がする。


「合わせて5日、敵のとの接触までの進軍速度を考えると、8日から9日後に戦闘になると思われます」


「シルディ様、その頃には士官候補生も合流していると思われますが、彼らにも2日の休息が必要だとすると、訓練を行なう時間がありませんが?」


「5日の猶予が万人に疑問を抱かせない限界です。

既に討伐戦は開始されているので、調練を時間として割いている時間が残念ながらありません。

彼らには実戦で戦いながら学んでもらうしかありませんが、彼らとて士官候補生、素人ではありません。

ひょっとしたら、若干の犠牲は出るかもしれませんが、そこは割り切ります」

これまで味方の犠牲をゼロに抑えて来た私の犠牲を容認する発言に一同の空気は固まった。


「これは戦争です。

私は戦争の責任から逃げません。

敵も味方も人の命を奪った責任は全て私にあります。

味方の損害を最小限に抑えるのは私の仕事ですが、その上で私は貴方達に命じます。

『敵を殲滅せよ』と

後で神とやらが私を罰すると言うのならば、バルハラにて神とやらと私が決着を付けます」


「フハハハハハ、それは楽しみじゃ。その時には儂もアルミンやベルント、ついでにルーべルトもさそってバルハラの神とやらと一戦交えようではないか」

豪快にバルタザール殿は、笑っていらっしゃるが、その目に冗談の光は全く無かった。

ハイデやカタリナ、アンゼルムは当然として、エリーやブルックまでも私とバルタザール殿の闇の深さに黙ってしまたので、私は一息入れる為にも最近では珍しく紅茶のお代わりを侍女達にお願いした。


綿密な騎兵の連携には、本来であれば3日とかの訓練で出来るものではありません。

しかし、シルディは促成で連携を行わせるつもりです。

つまり、戦術的な駆け引きは戦隊の中核である学園の弓騎兵が行い、槍騎兵は直衛部隊と突撃部隊に2分化させて、それぞれの任務は単純化させるつもりだからです。

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