舞踏会とドレス4
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
今回から又火曜日と金曜日に更新をに戻ります。
「それでシルデイア。服飾ギルドとの落とし所は」
ブルックの発言に教育の場となっていた会議が再び引き締まる。
「今回のウノ族の戦利品の売買に関してはあらゆるギルドの介入を許さない。
そして、その説得は服飾ギルドが行う」
「う~ん、バルタザール殿はどう思われますか?」
あれっと言う表情でブルックがバルタザール殿に意見を求める。
「誰が考えても軽いな。
だが、それで良しとしてシルディア殿を再び軽んじそれ以上の事をしなければ、それを喧伝して当初の計画通りにギルドを更に締め付けるつもりではないのかな。シルデイア殿は」
バルタザール殿は楽しそうだが、全ての計画を知っていて尚、ハイデとカタリナとアンゼルムの顔は完全に引き攣っている。
「商会の噂が広がるのには少し時間が掛かるが、その火消代と言うか最終的な落とし所は?」
ブルックが紅茶カップを置きながら言うが、チョット恰好を付け過ぎね
(それに貴方さっき『あれ、シルデイにしては軽すぎる』って思ったでしょう)
「服飾生地に対するギルド関税の撤廃」
ギルドの今の関税って100%なのよね、何もしていないのにもうけ過ぎ。
服飾生地の生産はほとんど学園で行っているから、一方的にギルドだけが儲けている。
「了解した。それならば商店や民衆も納得するだろう。上手く誘導してみる」
ブルックが言い切る以上、任せておいて大丈夫。
「質の良い学園の生地が関税無しで手に入ればウノシルディスの服飾産業は大いに潤う。
関税の撤廃は普通ならば、同等の利権を与えないと通るわけが無いが、それを和解の条件としてギルドから差し出させる様に仕組むとは、舞踏会一つでここまで仕組まれるとは、さすがですなシルデイア様。
クロスロード大公国の怪物の直伝の一番弟子なだけある」
バルタザール殿が合格点を出してくれるのは珍しい。
「たまたま、撒いた種の一つが上手く育っただけです」
私は褒められたのが恥ずかしくて、謙遜するが実は結構嬉しい。
それにルーペルト殿の一番弟子と言われる事も素直に嬉しい。
「これがシルディ様の駆け引き。犬の売買とはスケールが違う」
確かに牧羊犬の取引とは違うけど、ハイデ、貴方のお兄様の商売を卑下するのは間違いよ。
正直と誠実さに裏図けられた商売は強いの、今回服飾ギルドには誠実さが無かったのよ。
「ハイデ、貴方のお兄様の商売と比較する事は無いわ。
貴方のお兄様は正直で誠実な取引しかしないもの。
それは商人にとって何より重要な信用を勝ち取る事に繋がるわ。
今回、服飾ギルドは誠実さが無かったの、シルディ様を見る目が無かったの、それが敗因よ」
私の考えと全く同じ事をハイデに諭すカタリナ。
カタリナの発言にバルタザール殿やブルック、エリーも目を見張っている。
一番驚いたのは私だけれど、カタリナは物事の本質を見抜く良い素質を持っているわね。
「さすがにカタリナは随分ハーゲン家の事に詳しいのね」
私としては、何も考えていない単なる質問。
「うっ・・・ハイデからハイデの兄のタクト様との婚約を勧められて、考えております・・・シルディ様はご存じでしたか・・・そういえば、この話をしたのは、シルディ商会の経営するお店でした・・・・さすがです」
顔を少し赤くしながらもカタリナは私の顔を見てしっかりと婚約の意志を表明する。
大公国令嬢である私の前で、「考えている」と承諾の意思表明をした意味は大きい。
なぜなら、ここで私が許可を与えれば、両家に私を納得させるだけの理由がなければ反対する事は不敬に当たるから。
「カタリナ」
呼びかけた瞬間飛び上がりそうなカタリナ。
「この件とそのお店での話は別物です。
私は貴方達の情報を得る為にお店に働きかけたりはしていません。
私が貴方の婚約を知っていた訳ではありません。
ただたんに今までの話から『随分カタリナはハーゲン家の詳しい』と単純に思っただけです。
お店の名誉の為にこれはキチンと断言しておきます」
ここは、キチンと説明しておかないと、シルディ機関はとんでもない誤解を受けかねない。
「僕からも証言させてもらう。
シルディ機関は君たちのプライベートな会話を調べたりはしない。
ただ家と家の付き合いの調査はしているが、これは上級貴族の家ならばどの家もしている事だ」
珍しくブルックも私のフォローをしてくれる。
(何時もそうならいいのにと思うけど、YESマンじゃ物足りないし、やっぱり今のブルックが良いわ)
「わかりました。今私が話した内容からシルデイ様が推測されたのですね・・・それでもやはり流石としか言いようがありません」
誤解は解けた様だけど、カタリナとは時間を掛けてゆっくり話す必要がありそうね。
(『シルデイの勘と本能と思いつきは合理体に説明が付かない』『全くです。浮気なんか一瞬で見破られますよ。お兄様』『僕がそんな事するわけないじゃないか。怖くて』)
そこの兄妹、貴方たちともゆっくり話す必要がありそうね。
「ハイデ」
呼びかけた瞬間飛び上がりそうな今度はハイデ。
「ああ、座ったままでいい。貴方はこの結婚について兄のタクト殿と当主殿の許可は得てるの?」
「いえ、まだ私の思いつきです。
先にカタリナの意志を確認致しました。
兄と両親には手紙で連絡しただけでまだ返事は頂いておりません」
こんな家の大事を・・・・ハイデはしっかりしている様で詰めが甘い。
「ふ~~~ハイデ、この戦争が一段落したら、カタリナはこの戦争後は子爵に叙勲される。
その入り婿になる気は有るかをお兄様に改めて確認を取りなさい。
それまでこの話は保留としますが、私としては異存はありません。
カタリナもハイデもそれでいいかしら」
「「はい、シルディ様」」
ハイデとカタリナが揃って頭を下げる。
「ふ~~~。さて色々あったけど、最後に今後の作戦方針です」
シルディは学園創設前にその資金を調達する為に牧羊業にかなりの資本を投資して、その産業の育成に努めました。
勿論まだ8歳の子供であったシルディに全ての采配が出来る訳では無く実際の采配はブルックやエリーの祖父にあたるクロスロード大公国の怪物、曲者と言われるルーペルトが采配しました。
実際にはもともと牧羊に目を付けていたルーペルトがシルデイアの公王継承権返却の騒動に絡めて、帝国の服飾ギルドからその権益の一部をもぎ取ったと言う方が正しいです。
その影響で、シルディと帝国の影響が強い服飾ギルドの中はすこぶる険悪です。




