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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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舞踏会とドレス2

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

暫く連続更新致します。


「お待ち下さい。男爵に叙爵(じょしゃく)された学園の生徒を舞踏会に参加させるのですか? 

当然ウノシルディスの貴族も参加する訳ですよね」

私とバルタザール殿の会話にエリーが割り込んで来たけど、やっぱりエリーには気づいたかな。


「新たに男爵になった者達のお披露目だから、当然そうなるわね。

何か問題? 学園でもダンスは練習しているから全員踊れるでしょう?」

私は、コーヒーを一口飲んで一応(とぼ)けて見る。


「シルディ、そこじゃ無いと思う。エリーは生徒達のドレスの事が心配かい?」

ブルックは誤魔化し不可能と早々に白旗を揚げたる。さすが兄妹、見切りが速い。


「はい、お兄様。叙爵(じょしゃく)式ならば軍服の礼装で十分ですが、舞踏会、しかも自らが主役となる舞踏会ですよ。

軍装での出席など論外、他の貴族令嬢から甘く見られます」

あれは軍服では無く、一応礼装なんだけど、議論が違う方向に行きそうだから今は言わない。


かわりに、

「エリー、学園の卒業式の舞踏会で着るドレスは何処で作っているか知ってる?」

私の指摘にエリーは「あっ」と言う顔になる。


「卒業式の舞踏会で着用するドレスは毎年ウノシルディスの服飾ギルドに作成を依頼しています。

卒業式は毎年3月ですが、ドレスの納品は11月です。

急がせれば・・30着程度なら・・・・いえ、やっぱり無理です、準備に3日は掛かります」


「エリー。僕が何日前からウノシルディスに滞在していると思う?」

ブルックが慌てるなと言う風にこちらは貴族らしく紅茶を飲みながらエリーを落ち着かせる。


「ブルックにお願いして服飾ギルドに30着ほど前倒しをお願いしました。

『戦死した者達を(とむら)うドレスを用意して欲しい』と腕木通信でね」

私の言葉にブルックが両手の手の平を上に向ける。

これは『こんな事に使う為に整備したのでは無いはずだが』と言う所ね。

戦争や勝った負けたなんて事よりも『ドレスの製造を前倒し』という通信の方がいいじゃない。


   ◆    ◆    ◆    ◆


「ただし、キチンとギルドに連絡したけど君の予想通り無視したらしい。

本気になったのは、昨日に君たちが凱旋してからだ」

ブルックの報告を実は私はもう知っている。


「『戦死者を弔う為の用意』と言う大公国令嬢の正式の要請を無視とはいい度胸ね」

私はすっとぼけて紅茶をすする。


「昨日の凱旋の後、わざわざ確認の連絡を入れたのは君だろう」

と何故か私を半目で睨むブルック。


「したけど、それが何か問題?」

(貴族らしく高飛車に惚けて見せるけど、ブルックそんなに私を『()()()()()()()』と言う風に見るのはいけないと思うわ)


「ギルド長には最後通告に聞こえたらしい」

溜息混じりにわざとらしく言うブルック。


「ギルド長は間違えていないわ、その通り最後通告なのだから間違い無いわ

『注文のドレスは出来上がっていますか? 着る者に合わせての調整が急遽、必要になりました。

戦死者を弔うドレスのはずが、晴れの舞台で着る事になって嬉しいです。

戦勝祝賀舞踏会にはギルド長にも招待状を送りますね』

と連絡しました」

バルタザール殿は腕を組み深々と溜息を吐き、ブルックとエリーは「()()()()」と囁き天を仰ぐ。

アンゼルム君とハイデ、カタリナは下を向いて私に表情を見せない様にしているが、肩が震えているのは怯え? それとも笑い?


「それだけじゃないだろう。ギルドを通さずギルド所属の商会をわざわざ集めて、ドレスを直接発注しただろう」

(何、何、その『証拠は上がっているんだ!』的な追い打ちは)


「ええ、私も最初は叙爵(じょしゃく)式ならば軍服の礼装で十分と思っていたのだけど、やっぱりドレスが良いと思ったので、その時に着るドレスをお願いしました。

デザインは卒業式の舞踏会で着るドレスと同じでいいから明後日に間に合うようとお願いしたら。

『何に使うのですか』と尋ねるから、『今回の戦いの戦功で新たに貴族に叙爵(じょしゃく)した者の叙爵(じょしゃく)式で使います』と教えたら、『全てのお針子を動員して明日、つまり今日には仕上げます』と商人なのに無償で引き受けてくれたわよ。

それは皆の感謝の気持ちとして有難く頂きました。

まあ、それだけでは悪いので私のドレスを既成品の仕立て直しでいいから明後日に間に合う様に何着か注文しました」

私の生々しいイタズラを初めて聞く事となった、ハイデ、カタリナは完全に固まっている。

(嘘は言っていないわよ。ただ、服飾ギルドが私の命令に従うはずが無い事を知ってた上で注文しただけだし、でもやっぱりドレスは必要だから、直接商会に作成依頼をしただけですから)


「・・・分りました。バルタザール殿、そういう事なので申し訳ありませんが、明日、ギルド長を呼んで頂けますか」

婚約者の私のイタズラの後の始末はブルックの仕事。


「ふははは。わかりました、新しいギルド長が来るか知れませんが『ドレスのお礼を述べたい』と言う事でギルド長を呼んでおきます」

私と同様にギルドの存在を苦々しく思っているバルタザール殿は私のイタズラに満足なご様子。

バルタザール殿の笑いって、最近のフローラの笑いと似ているのね。


「今回の私は、そんなに悪くないわよ。ギルドが私に言われた通りにドレスを用意しておけば良かったのだから。だいたい、本当に戦死者を弔う事になっていたら、今頃ギルドは存在していないわよ」

学園や遠征の描写が多いので普段から制服を着ているイメージのシルディ殿下とその一党ですが、普段は勿論貴族の淑女らしくドレスを着ています。

卒業式でのドレスは統一デザインの制服の様なものなので、それほどの値段はしません。と言っても、この世界の工業製品は値段が高いので、制服ドレス1着が馬0.2頭程度、シルディの普段着と同じ位です。

当然、シルディ達が舞踏会で着るドレスは、公爵や侯爵令嬢として恥ずかしくないドレスですので、1着で馬1頭程度の値段になります。

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