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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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舞踏会とドレス1

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

暫く連続更新を行います。


「行ってしまいましたね」

まだ、ウノシルディスの街からはまだ見送りの大歓声が聞こえるが、ヒルダ率いるブルマイスター解放部隊を見送ってエリーがしみじみと言う。


「今度会えるのは恐らくブルマイスター要塞では無く、タマ河のタカツ地域の北部辺りでしょうね」

私の言葉にブルックを除く全員が振り向く。


私の言葉に真っ先に口を開きかけたバルタザール殿を制して

「この後直ぐに、もう一度軍議を開きます。その件の詳しい説明はその時に行います」

私はバルコニーから城内に一同を率いて引き上げた。


「ところでブルック、場外のウノ族の戦死者の回収の手配は?」

私は規則正しい歩調を変える事無く、少し後ろを歩くブルックに言う。

歩きながらの会話など、帝国の貴族的作法からは落第だそうだ。

帝国的な貴族的優雅さや、上品さに欠けるらしい。


しかし、尚武の国クロスロード大公国にそんな作法は無い。

私の学園では、「伝令は下馬の必要無し」を徹底してるのと同じ理由で効率を重視している。

もっとも、食事中の会話は禁止していない分、見苦しい行動はマナー違反として恥じを掻く事になるので、いっそ禁止にしてくれとの声が無くもないが。


「昨日の晩に商人、ウノシルディスの警備騎士を避難民の代表者を話し合いを行い調整がした。

今日の朝から作業に取り掛かっているとの報告を受けている」

私からの質問は想定していたのであろう、ブルックの回答に淀みはない。


「エリー、アーレイとロングの補給の予定は?」

本来会議室についてから行う会話であるが、私は敢えて幹部以外の者が居るこの廊下で辺り触りのない事について会話を行う。

これは、私自身が歩行中は会話を行わないと言う帝国的貴族作法を無視する事で、本来のクロスロード大公国の普通に戻させる為でもあるが、要は単純に私がせっかちなだけだとエリー辺りは言う。


「本日午後にはアーレイ2000本、ロング50本、あと消耗部品と学園の生徒の、叙爵(じょしゃく)の為の勲章と糧食が到着する予定です」

エリーは若干眠そうではあるが、キッチリと状況を把握している。

(会議が終わったらエリーもブルックにも夕方まで休ませないといけないわね)


再び朝の会議でも使った会議室に着いたので席に着くが、ヒルダにベルン、フローラにカチア達が居なくなったテーブルは広い。

今回から、ハイデやカタリナを呼ぶようにしたが、初めて幹部会議に召集された二人は、極力目立たない様に身を小さくしている。


「バルタザール殿、次回からはウノシルディスの騎士団をまとめる者も呼んで頂けますか」

筆頭秘書のカチアも遠征軍として出撃してしまったので、私の秘書も必要ですね。

エリーにさせる訳にもいかないし、侍女も含めてシルディ機関から出向させましょうか。

あとでブルックに相談ね、なのでブルックの休憩はその手配が終わるまで無し。


「そのウノシルディスの騎士団であるが、今は子爵以下の貴族の寄せ集めでしかない。

まとめる者といっても侯爵や伯爵が、空位か経験不足で直接儂が指揮をしないと使い物にならない。

子爵どころか男爵、公国騎士も若造ばかりで小競り合いを除けば今回が初陣の者ばかりだ」

ここでも2年前の大敗が()を落としている。

(まあその()を利用して、私は軍隊を作ろうとしていのだけどね。悪い女)


「そうですか、実質的に戦力として数えられるのは、今朝送り出したヒルダについていったウノシルディス騎士だけだったのですね」

私は朝食の時と同様にテーブルに用意された、乾パンとクッキーの中間位の戦闘食を摘まみながら言う。

(基本、私が会議等で席に着く時は、お茶かコーヒーと軽い食べ物を必ず用意させる。これは最高司令官の職権であり役得よ)


「面目の無い話じゃがその通りじゃ。加えて今回の掃討作戦では、これまでのクロスロード大公国の運用とは全く異なる槍騎兵の運用になるのじゃろう。その辺りも含めて取り決めを行わないと、要らぬ混乱が出るじゃろう」

さすがにバルタザール殿は良く判っていらっしゃる。私の懸念もそこなのよね。


「バルタザール殿は流石に良く判っていらっしゃる。倒した兵の戦利品の権利も含めて整理しておく必要があると思いますね」

バルタザール殿の言葉に頷きながらブルックが上手く会議を誘導してくれる。

(忘れていた訳ではないけど、戦利品の扱いは学園の子達と違って私の一存では決めれないわね)


「今日は、ウノシルディスの騎士団との顔合わせの時間とします。

殆どが男爵と公国騎士なのでしょうが、いくら当主であっても15歳以下の子供を実戦に動員するわけにはまいりません」


「そうじゃな、今必要なのは戦力であるから当然の判断じゃな」


「その上で当主以外の次男以下の募集を行います」


「その褒美には何を考えておる?」


「学園の子達と同じ男爵位又は公国騎士位の叙爵(じょしゃく)ですね。戦旗を掲げた大公国の血縁者の軍に加われるのは貴族に限られます。まあ、領地は与えられませんが毎年の報酬は得られます」

(爵位の大盤振る舞いの様に見えるけど、ウノシルディスの失陥はクロスロード大公国にとって、大公国がそのまま存続出来るか、帝国に飲み込まれるかの瀬戸際なのよ。だから出し惜しみはしない)


「領地を持たない男爵や公国騎士の大量の叙爵(じょしゃく)

その発想の根本はあの曲者ルーペルトの考えじゃな」

バルタザール殿昔懐かしい友の名前を出して来た。


「はい、その通りです。ルーペルト殿は、貴族を中心とした騎士団から、一代貴族を主力とした常備軍の創設を考えておられました。

私は一代貴族には拘りませんが、貴族の地位には責任を伴わせる考えには賛成です。

その責任さえ果たしたのであれば、男女に関係なく長子が当主となるのが良いと考えております」

ずっと私とバルタザール殿の会話になっているけれど、ハイデもカタリナもアンゼルム殿もじっと話を聞いている。

ブルックとエリーがルーペルト殿の名前が出た時に『ビクッ』っとなったのが目に入った。


「そうか長子相続か。

昔の大公国ではそれが普通であったし、女性でも戦える事は学園の生徒の活躍が証明しておる。

少しずつ実行に移せば混乱も少ないじゃろう。ルーペルトは急ぎ過ぎるのだけが欠点であった」

バルタザール殿はルーペルトとの論争の日々が懐かしいのか、言葉が急に丸くなった。


「はい、それで明日の午前中はウノシルディス騎士団の皆様に学園の戦法を見学して頂き、午後は新たに男爵と成った者学園の生徒の叙爵(じょしゃく)式、その後に彼女らを披露する舞踏会を行ない、ウノシルディス騎士団との友好を深めたいと思いますが如何でしょう」


「シルディア殿が舞踏会を開かれると言われますか。勿論大賛成ですぞ」

バルタザール殿が微笑みながら賛成して下さる。

ウノシルディスの騎士団は、ウノシルディス侯爵家やブルマイスター伯爵家の様に家人が主力の騎士団と

子爵以下の領地に根差した騎士団の二つで構成されています。

侯爵家や伯爵家などの上級貴族が筆頭の騎士団は主に公国騎士で構成され、騎士団長には子飼いの男爵が任命される事が多いです。

一般的にウノシルディスの騎士団と言うのはこちらの事を指します。

一方子爵以下の領地に根差した騎士団は、対外戦争よりも警察力としての色合いが濃く、余程の大戦で無い限り戦争に駆り出される事はありませんが、参加する場合は、当主が必ず率い、侯爵家や伯爵家の騎士団に合流する形で編成されます。

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