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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ヒルダの出陣3

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

暫く連日更新致します。


「シルディア殿下のご入来です」

護衛の兵士が木目の細かい美しいオーク材のニス塗で統一された30人は着席出来る大きなテーブルが鎮座する会議室の扉を開ける。


先に会議室に集まっていた一同が立ち上がる。

「「「おはようございます。シルディ様」」」


「おはよう。席について。あまり時間がありません。早速ですが今後の作戦を説明します」

私は大会議室のテーブルの上座に向かいながら一同の様子を見る。

私より少し早く会議室に入ったはずのヒルダはしきりに髪の毛を(いじ)っている。

・・・・多分寝ぐせ直しね。


給仕によって会議室のテーブルに並べられた軽い朝食は学園ではよくある光景であるが、バルタザール殿やフローラの弟にアンゼルム、ベルンやその部下のライナー、フィッシャー、リンケ、ロンゲン等は食事をしながら会議をすると言う貴族的には型破りな光景に唖然としている。


「私の学園では、朝食は必ず取る事にしているの。何故だか解る?ライナー殿」

いきなり名指しされてライナーは飛び上がらんばかりの勢いで姿勢を正す。


「それは、昼食や夕食を取る事が出来ない事があるからでしょうか」

さすがベルンの副官、一発で正解を射止める。


「その通り、我が軍は基本的に騎馬隊なので、夜間の行軍や夜襲は基本的には行いません。

ですが、必ず昼食や夕食が取れるとは限りません。

ですから、朝食だけは必ず取る、あと行軍中でも水はこまめに補給する。

これは今後の行軍の際の基本として下さい」

バルタザール殿やベルンの部下達も頷く。

エリーだけが「相変わらず説得力が抜群です」などと不遜な事を呟いている。


私は侍女達が朝食の用意を終え、退出した所で軍議を開始する。


「さて、早速であるが軍議を始めます。まず昨日の夜、重要な情報がもたらされました。

ブルックハルト、説明をお願いします」

私はそれだけを言うと、コーヒーに手を伸ばす。


「はい、昨日もたらされたのは、『ブルマイスター要塞は健在』・・・


ガタガタ、バンと騒がしい音と共に席を立つ音がする。

私は不機嫌と言う程ではないけど、少し顔をしかめるのを、ベルンに見られてしまった。

ブルックはその音に構わず説明を続ける。


・・・と言う情報です。

ご存じの様にブルマイスター要塞はウノ族の最初の襲撃を受け、籠城戦に入りました。

しかし、ウノ族は攻城よりも封じ込めを優先し、積極的な攻撃を行わなかったようです。

攻城軍は約6000人。4日前の情報になります」

一応ブルックの報告が終わるのを待って、ベルンの部下が勝手に発言しだす。


「直ちに救援に向かいましょう」

真っ先にベルンに食い付いたのはライナー。


「10日で残敵を掃討します」

「休息など不要。気力だけで戦えます」

「直ちに出撃を」

同じく立ち上がっていた、フィッシャー、リンケ、ロンゲンが野太い声で思いをぶちまける。


私はコーヒーカップを静かに置いて、ベルンの方を見る。

(本当に呆れるほど真っすぐなバカ騎士達ね。まあ私は嫌いじゃないけど)


「お前達、勝手に発言をするな。

それに朝食中に乱暴に立ち上がるんじゃない。

先ずは座れ、ブルマイスターの騎士がこの程度の事で醜態を晒すな。

既に昨日の晩の内にこの会議が終わったら直ちに救援の兵を出す事は決まっている」

ベルンが部下を冷静に抑える。


「部下がお見苦しい姿をお見せ致しました。

後でよく注意しておきますのでご容赦頂きたい」

ベルンが私に頭を下げ謝罪する。

その姿にベルンの部下も同様に私に頭を下げ着席する。


「ベルンと皆の謝罪を受け入れます。

ただ今後、軍議の場で発言したい事があれば許可を得てから行う様に。

特に幹部が焦っている姿を見せると部下が戸惑います。

貴族であるならば、何事(なにごと)をするにもその動作、言動が部下に常に見られている事を意識する様に、特に急を要する時こそハッタリで構わない、余裕を見せなさい、それが貴族です。

ただし、発言内容に付いての責任は問いません、どんな些細事でも自分で判断せずに話して欲しい。

一見バカバカしいと思える事の中に新しい考えの芽がある事を私達は良く知っています」

これまで落ち着いて話をする機会が無かったベルンを支える戦隊長クラスの者にも機会があれば、学園で学んだ経験や知識を伝授し、私の軍の幹部として育てて行きたい。

(ま~その前にブルマイスター家から引き抜かないといけないけど)


「「「了解致しました」」」

日頃からそれなりの薫陶を受けているベルンの部下はやはり優秀だ。

バルタザール殿やアンゼルム殿がしきりに頷いている。

特にアンゼルム殿が可愛い、まだ12歳だけどフローラと同じ黒髪で色白だし、結構背が高い。

(バルタザール殿がどの程度の領主教育をしているかだけど、ブルックに教育をお願いする位だから普通の12歳のレベルじゃないわね)


「それで、話を戻しますが、ブルマイスター要塞の救援と残敵掃討の2作戦を同時に進行させます。

それじゃヒルダ、説明をお願い」

私はこれからの話をヒルダに任せる。


今ならば、私もブルックも手助けをする事が出来る。

しかし、遠征に出発したらフローラとベルンしか相談できる相手は居なくなる。

私達が手助け出来るうちに指揮官としての振る舞いを少しでも学んでほしい。


ヒルダが責任を放棄する事はあり得ないが、責任を意識しすぎて視野狭窄(しやきょうさく)に陥る事は十分にあり得る。


本来ならば、この作戦の総指揮官はフローラに任せ、フローラの武功をより高める事でウノシルディスの騎士達との関係をより強固にした方が今後の事を考えると良かったのだけれど、私に代わってクロスロード大公国令嬢としての責任を果たすと言うヒルダの健気な心意気を生かしヒルダを育てる事を優先させた。

なのでフローラやベルンに総指揮官としての勉強をさせてもらって来なさい。

この時期にはまだ、細かい部隊編成は確立していません。

先のウノシルディス解放戦において、200人単位の斉射と交互射撃は非効率である事が判明しましたので弓騎兵10人を一団として運用し、その護衛に槍騎兵を配置する所までは決まっていますが、その適正な数については、試行錯誤中です。

さらに、残敵掃討や突撃を行う本来の槍騎兵の運用については、その命令権者を含めて、その都度その都度に決めているので、戦隊長と言ったり部隊長と言ったりまだまだ安定していません。

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