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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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60/70

ヒルダの出陣2

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

暫く毎日更新を行います。


「お早うございます、カチアです。シルディ様、ヒルダ様起きていらっしゃきますか」

シルディ様が一人でお休みの時に寝過ごすと言う事は無い。

しかし、今日はお一人でお休みで無いらしいので起こしに向かうと、何故かエリー様とブルック様が付いて来てしまった。

(まあブルック様は2ヶ月も放り出していた婚約者へのサービスと言うならわかりますが)


「シルディ様~~~早く起きて下さい。皆の出撃を見送ったら私は休みます。私の休みの時間もお考え下さ~~~~い」

恐らく徹夜の作業明けらしいエリーがそれはそれは低い声で扉の前で言う。

(ほとんど呪いの声に聞こえますが)


「シルディ。バルタザール殿を待たせるのは、良くない。

朝食は会議の時に用意させるから、身支度だけ良いから急いでくれ」

ブルック様、婚約者としてその内容はどうなのだろう?

(腹心としては申し分ないけど、婚約者としてはもう少しシルディ様に優しくしても良いのでは無いでしょうか)


「私がお二人を起こしてからまいりますので。ブルック様、エリー様は先に会議室でお待ちください」

侍女頭でもある私がシルデイ様の私室に入るのにシルディ様の許可を貰う必要は無い。

私が唯一遠慮をしなければならない原因(ブルック)は、今目の前にいるので、全く問題は無い。

そこは良いのだが、ヒルダの無防備な姿をブルック様に見せる事は出来ない。

(状況を察してエリー様を連れて、トットと行って下さい)


「わかった、僕は先に行って場を持たせるから、()()を宜しくたのむ」

大凡の見当がついたブルック様は巻き込まれると厄介とさっさと会議室に向かう。

(それで良し)


「シルディ様、ヒルダ様失礼しますね」

私とブルック様がお話をしてる間に私を差し置いてエリー様が私室に飛び込まれる。

(全く、この侯爵令嬢には油断も隙も無い)


部屋に踏み込んだ途端、広がる状況にエリー様はワザとらしく口を押えて驚いていらっしゃる。

(これ位で驚く玉ですか。どうせ塞ぐなら、目を塞いで下さい)


「二人の衣服が床に乱雑に置かれているのは何故かしら」

(そこは口に出さずに察して下さい)


「シルディ様の朝の食事の途中にヒルダ様が訪ねられて、そのまま二人でお休みになられた様ですね」

仕方がないので、状況を整理してみせる。

(これで察して下さい)


「と言う事は、二人は今は()()()()()()()()()訳ですね」

エリー様は二人の衣服の一番上に脱ぎ捨てられた黒い下着を見て呟く。

(何を冷静に分析しているのですか)


「ここはもう一度出直しましょう。()()()、事件性は無いようです。()()()

私は侍女頭として()()()()をエリー様に下す。

(事件の種になりそうな問題(エリー)は、今私の目の前で口を押えて部屋の様子をその並外れた記憶力で脳に焼き付けています)


「・・・っち・・そうね、それが我々にとって最善の策のようですね」

あとシーツ一枚をはぎ取れば、エリー様にとって史上最高の芸術作品が朝から拝めるのだろうけど、これ以上を許す訳には行かない。


「カチア、私は先に会議室に向かいます。()()()()()()

(私を恨めし気に見てもダメです。私の御主人様はシルデイ様ですから)


「かしこまりました。直ぐに向かいます」

廊下の角を曲がりエリー様が見えなくなったタイミングでもう一度私は扉に向き合う。

(ようやく、邪魔者は消え去りました)


そして、今度は大きな音がする様に扉を叩く。


   ◆    ◆    ◆    ◆


「お姉様! 寝坊しました!」

淑女らしからぬ取り乱し様でヒルダ様が騒いでいるのが分厚い扉をすり抜け廊下まで聞こえる。

(他の侍女を追い払っておいて良かった)


「ヒルダ、落ち着きなさい。それは私の・・。多分カチアよ。エリーやフローラには()()()()()わ」

不覚にもヒルダと共に寝落ちしてしまったシルディ様にもまだ冷静な判断力が戻っていない。


「お姉様、バレるも何も時間に遅れたら隠しようがないじゃないですか」

ですから、ヒルダ様声が大きすぎます。


「そっちじゃない、ヒルダ。二人で()()してた事の方よ」

ドタバタ、ドタバタ、本当に中にいるのは大公国令嬢の二人なのだろうか。

(公国の権威が崩れ行く気がする)


ここはシルディ様に冷静な判断力を回復してもらうしかない

「シルディ様、もう皆さま会議室にお集まりです。お早くお越しください」

と声を掛ける。


「分った、カチアありがとう。直ぐに向かう」

普段の公女の威厳が少し回復したシルディ様の声が聞こえた。


「急ぎでお願いします。あと来る時は別々に部屋に入って下さいね」

ドタンと何かが倒れる音がした。

(公国の権威が今、倒れた)


「・・・わかった、ありがとう」

シルディ様の声に変わりは無かったので、倒れたのはヒルダ様であろう。

(トドメを刺したのは、決して私では無い)

朝から会議がある予定なのに、早起きをしてシルディが部屋で朝食をガッツリ取っていたのは、会議でいくら朝食が用意されるからと言っても司会役が多いシルディには事前に燃料補給が必要だからです。

それと、クロスロード大公国の貴族の飲み物と言えば紅茶ですが、エリーに一服盛られて以降、シルディはコーヒーにハマっております。

最も銀と同じ値段なので、かなりの贅沢品ですが、シルディの貴族としての数少ない贅沢とゆう事でお目こぼしを頂いています。

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