ヒルダの出陣1
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
暫く連続投稿致します。
「シルディお姉様。起きていらっしゃいますか。おはようございます」
ウノシルディス家からお借りした侍女に案内されてヒルダが入って来る。
バルタザール殿が手配してくれた私の部屋は、侍女によると以前はフローラの父であり、バルタザール殿の息子であり、私の父アルミン大公の親友でもあったベルント殿の寝室の一つであったらしい。
執務室よりもかなり小さな部屋には同じく伯爵としては小さめの執務机と、応接セット、簡単なキャビネット以外は、天蓋付きのベッドしかない割とこじんまりとした部屋である。
落ち着いた茶系の壁紙の内装は、私の学園の寝室と似た感じで落ち着いた感じがする。
「おはようヒルダ、起きているけれど、集合にはかなり早いわよ。朝食は済ませたの」
そういう私は応接セットに腰かけ、絶賛朝食中。
やわらかい焼き立てのパンにおいしい厚切りのベーコンと目玉焼き、そして紅茶では無く、香りの良いコーヒー。
学園の子達には悪いけど、これぐらいの贅沢は許して欲しい。
「いえ。正直あれから、あまり寝れなくて」
一方、ヒルダの顔色は良くないが無理もない。
今日からヒルダは初めて総指揮官として敵と味方の命を預かる事になる。
15歳の女子には酷な話だけど、大公国公女としては耐えてもらうしかない。
「そう、それはいけないわね。時間が来たら起こしてあげるから、そこのベッドで仮眠しなさい。
朝食をありがとう。ごめんなさい、ちょっと妹と話をするので、席を外してもらえますか」
朝食を用意してくれた侍女にお礼を言うと、ニッコリ笑って部屋を出て行ってくれた。
侍女が部屋を出て行ったのを確認してヒルダの方をみると、天蓋付きの白いレースの掛かったキングサイズのベッドを前にして、何か「もじもじ」している。
因みに私が昨晩使ったままで、ベッドメーキングはしていないので、掛け布団などは私が起きた時のままなので、寝ていた時の人の形が判る抜け殻のままである。
「あの・・・・その・・・・」
何故か顔を赤くして何か言いにくそうなヒルダ。
私は「ああ」と気が付いた。
「昨日は一人で寝たから、変な男の臭いはしないはずよ」
私のぶっちゃけた言葉に「ドッカーン」と音が聞こえそうな感じで爆発して真っ赤になるヒルダ。
もう髪の毛に負けない位真っ赤で、前も後ろも見分けが付かないわよ。
「お姉様のバカ」
バカと言いながら服を脱ぎ始めるヒルダ。
って、仮眠なのに何故下着まで脱ぎ捨てるのかしら。
「お姉様は来て下さらないのですか」
ベッドに飛び込み、私の臭いを存分に堪能した後、亀みたいに顔だけを出すヒルダ。
(貴方の今の姿を見たら兵の士気に関わるわよ)
昨晩のヒルダとえらい落差があるが、私にはそれが可愛くて仕方がない。
「一刻程しかないけど、ちゃんと休むのよ」
仕方ないと私は朝食を中断し、今食べているベーコンをコーヒーで流し込んで、ベッドの横で服を脱いで、ベッドで待つヒルダに腕枕をする。
「ありがとうございます。これで安心して休めます」
何も着ていない私に同じく何も着ていないスベスベの体で抱き着き、足を絡ませてそう言うと寝息を立てて眠りだすヒルダ。
本当に、寝る為だけに押しかけて来たみたいね。
昨日は色々あり過ぎて日記を書くのに3日程かかりそうだし、今日からはブルマイスターまでの強行軍。
それに最高指揮官として初めて部下の命のやり取りをする事になる訳けだし、不安を感じて当然よね。
私はまだ15歳のヒルダに大きな責任を負わせ過ぎなのだろうか、そのヒルダが少しでも安心できるのなら、裸の私を抱き枕にして、私の朝食の邪魔をするぐらい安い物ね。
ヒルダに腕枕をして私にしがみ付く様に寝るヒルダの寝顔を見ながらヒルダの体温を肌で感じていると、私にも眠気が迫って来た。
・・・・どうせ、カチアが起こしにくるでしょう。
出撃前のこの忙しい時に無意味にヒルダと過ごせる何もしないこの時間が私には凄く貴重に思える。
結局、このどうでも良い何もしなくていい一時の幸せを得る為に、私達は毎日必死に努力しているのかも知れない。
私の必死の努力の結果が、何もしないで安心して過ごせるこの一瞬と言うのは、到底、納得出来ないけれど。
・・・こんな後ろ向きの事を考えるのは私も実は相当疲れているのかもしれない。
私もヒルダを抱き締めて癒されよう。
時は少し遡り、ヒルダが卒いるブルマイスター要塞解放軍が出発する前のお話です。
シルデイやフローラ、エリーに囲まれて何時もは少し背伸びしていますが、実際にはまだ15歳の少女でしかありません。
普段は姉のシルディの下で命令に従っていれば良いのですが、今回は初の総司令官です。
緊張して眠れなくて当たり前ですよね。
因みにこの世界での貴族は家で就寝する時は一般的に何も付けません。
又、子供でも兄妹で一緒に寝る事はご法度(個室でなければ問題ない)ですが、成人前の姉妹や親子(女子に限る)、友達同士が一緒にねる分には何の問題もありません。
成人している場合は、姉妹の場合は依存症、友達同士の場合は親密な間柄と看做されても仕方ありませんが、別段それが社会的ペナルティになる事は有りません。
これが男女の場合ですと、貴族の場合は婚約者以上の関係で無いと社会的制裁を受ける事が当然あります。




