ブルマイスター解放戦16
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
暫く連日更新致します。
要塞の中央部の最後の門をくぐると、クルト伯爵の横にフローラが並び、以下二人の兄とカチア、ベルンを中央にして100名程の城兵が整列している。
それと相対する様に、クリスに率いられた学園の生徒が200騎、その横にウノシルディス騎士団が500騎が騎乗のまま待機している。
「クルト伯爵はご顕在のようですが、御子息は負傷している様ね、命に別状は無さそうですが」
「ヒルデガルト・フォン・クロスロード殿下、入城!!」
門に立つ衛視が名乗りを上げる。
「総員、敬礼!」
クルト伯爵の号令に合わし、城兵は剣を地面に突き立てた騎士の礼で私を迎える。
3週間近く要塞を守り抜いた城兵の鎧は、少し汚れが目立ち、損傷したままになっている鎧もある。
つまり、印象としては普通の3週間の戦いを過ごした兵であるが、目から力は失われていない。
「総員、栄誉礼! 捧げ剣! 頭左!」
200騎の学園の生徒と500騎のウノシルディス騎士団は率いるクリスの号令に従い栄誉礼を行う。
学園の生徒、200騎の騎手は一糸乱れぬ所作で、サーベルを抜き、顔の正面で剣を上に向けて捧げ、顔を左に向けて私の方を見る。
騎乗している馬まで私の方を見るのは、学園での儀仗兵訓練の賜物ね。
艶やかな真っ赤な上着に金モールをあしらった第一種生徒騎乗礼装を完璧に着こなし、汚れ一つないサーベルを傾きかけた夕日を浴びてキラキラと光り輝かせる姿は完全な儀仗兵である。
しかし、彼女達はその姿で、朝から6千の敵兵を壊滅に追い込んだ騎士であり、彼女達がいま完全に着こなしている第一種生徒騎乗礼装は、まだ戦塵も落としていない生々しい実戦を戦い抜いた勇者の装束である。
栄誉礼一つ、眼差し一つで精強の何たるかを知らしめる。
(普通の少女達がお姉様と3年付き合うとヴァルキューレの乙女になってしまうのね)
と、自分達の事は棚に上げ、全てを姉のせいする。
一方ウノシルディス騎士団は同じ栄誉礼でも、動きにそこまでの統一性も緊張感も無い。
(まあ朝から戦っていたし。ま~これが普通の騎士団よね)
二つの騎士団と自軍の城兵を見比べる、クルト伯爵の二人の兄はその違いに驚愕している。
誇らしい笑顔を見せるカチアとクリス、少し悔しそうな笑いを浮かべるフローラ。
(う~~ん、ベルンの顔が誇らしいのは、あの秘策が成功したのね。しかし、政治的にはこの入城祭典は失敗ね。作戦上の要請とは言え、ブルマイスター騎士団が居ないのは不味い。クルト伯爵に歓迎式典を別にお願いしましょう。)
彼女達の横に整列しているウノシルディス騎士団も今のクロスロード大公国の中では最強の精鋭騎士団である。
しかし、私達の騎士団が敬礼と共に突然放ち出した圧力に負けて動揺する。
何より、人よりも素直な騎乗している馬が動揺して媚を売る様にソワソワしている。
因みに私が騎乗しているオンテスはこの遠征が始まって以来ずっと私が騎乗して世話をしているせいか、この所すこぶる機嫌が良い。
他の学園の馬が媚を売っても「フン」と横を向いて相手にしない。
さっきは、フローラの愛馬であり、結構な駿馬であるエルメンガルトがしきりにアタックをしていたが、全く相手にしなかった。
ただ、私が髪を切った直後は驚いた様で、お姉様がする様に私の髪の毛の香りを嗅ごうとして顔を擦り付けて来て困ったが。
そんな事を考えている内にクルト伯爵の前まで来たので、正面で向きを変え正対する。
「出迎え大儀。顔を上げよ、クルト・フォン・ブルマイスター伯爵。ヒルデガルト・フォン・クロスロードである」
「初めてご尊顔を拝し致します。クルト・フォン・ブルマイスターにございます」
「クルト伯爵。
我が姉シルディア・フォン・クロスロードの代理として貴殿の活躍を称賛します。
此度のブルマイスター防衛戦、誠に見事であった」
「勿体なきお言葉、有難き幸せにございます」
「現在、シルディア・フォン・クロスロードが率いる本隊がウノ族を殲滅しつつこちらに進軍しつつある。
又、ブルマイスター騎士団は攻城軍を現在追撃中であるが、日没には戻る。
蛮族を殲滅しウノシルディス全土の解放は近い。
皆の者、勝鬨をあげよ」
「「「クロスロード大公国万歳! ウノシルディス万歳! ブルマイスター万歳!」」」
会場が歓声につつまれたタイミングで、私はオンテスを降り、
「さてクルト伯爵。お互いに話したい事、聞きたい事が山程あるはずです。
詳しい話をさせて頂きたい。
ただし、今日は親子でゆっくり過ごして欲しい、出来ればベルンも交えて」
クルト伯爵の手を取り語りかける。
「かしこまりました、戦勝の祝宴は準備もありますので明日に致します。
それでは、皆さまは宿営地にお進み下さい」
「その祝宴なのだが、ブルマイスター騎士団を残敵掃討に差し向けてしまった。
本来であれば彼らが主役であるのに私の思慮不足だ申し訳ない。
だから、明日の祝宴では彼らを労う事から開始したい」
「謝罪など滅相もありません。
ブルマイスター要塞は、ヒルダ様の手で解放されたのです。
地理に明るい我が家の騎士が残敵掃討を行うは当然の事。
ブルマイスター家に仕える最後の仕事として頑張ってもらいましょう。明日の昼から、彼らの祝宴では彼らの叙爵を行いその流れで祝宴を開宴致します」
「済まないが、宜しく頼む。ちなみに掃討作戦は今日の日没までと命じてある」
「日没までですか」
「そうだ、日没には作戦を終了し、撤収する様に命令してある」
「掃討には学園の騎士の皆様も参加されているのですよね」
「そうだ、80騎程が参加している」
「分りました。あと半刻程で日没です。
彼らの出迎えは、ヒルデガルト様、フロレンティーナ様に私共で行い、騎士団の皆様には先に休息を取って頂きましょう。
軽い食事は用意させて頂いております、又ウノシルディス程ではありませんが風呂もございます」
「それは有難い。強行軍を重ね2回も戦った騎士達だ。早く休ませてやりたい」
「カチア、ベルン、クリス。この後の段取りは任せて良いか」
この後の段取りは何も聞かせれていないので、先に入城していた3人に丸投げする。
「はい、お任せ下さい。取りあえずはヒルダ様とフローラ様はクルト伯爵のエスコートに従ってください」
「わかった。クルト伯爵、宜しくお願いする」
「かしこまりました、どうぞこちらへ」
私とフローラは館にクルト伯爵にエスコートされて向かう。
残敵掃討に向かった騎士達が戻れば、ブルマイスター解放戦はひとまずは完了だ。
ヒルダ達が出迎えられたのは、学園がブルマイスター要塞の中にシルディが整備した練兵場です。学園の生徒が騎馬で演習する為に1000騎が自由に動ける様に400メートルトラックがある陸上競技場2面分の大きさがあります。




