ブルマイスター解放戦15
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
暫く毎日更新致します。
「あれが最後の門ですね」
ブルマイスター要塞のこの門は学園の遠征で何度も通っている。
確かに見覚えのある場所なのだが、籠城に備えて大きく設備が増築されていて、一目見ただけでは全く別の要塞になっている。
特に門の周りは贅沢に鉄と石材を使い完全に別の建物に強化されている。
「はい、ヒルダ様の入城は最後です。ウノシルディス騎士団の入城整列後になります」
フローラがウノシルディス騎士団に指示を行う。
私は、私の乗るオンテスをフローラの乗るエルメンガルトに寄せて門前に整列に向かうウノシルディス騎士団の敬礼に応える。
エルメンガルトが私のオンテスに何やらアピールしている様だが、オンテスは「フン」とすまして、全く相手にしていないのが面白い。
「そういえば、入城のあとの大騒ぎは何だったのでしょうか」
フローラはそんな愛馬の行為が面白くないのか、何気ない世間話を振って来る。
「あれでしょう、私がベルンに教えたウノシルディス解放の時の秘密兵器を使ったのでしょう」
私とお姉様が生み出した秘密兵器は、アーレイの悪魔的威力とその結果に怯えた者達を正気に戻す効果がある。(多分)
「あの秘密兵器ですか?カチアには使えないでしょう・・・ああ、それでベルンに教えた訳ですね」
秘密兵器の効果は抜群だが、使い手が限られている。
我が軍であれが使えるのは、お姉様とフローラ、可能性としてはベルンだけだ。
(つまり、天性の将、又は自己顕示欲過大、あるいは大馬鹿に成れる者しか使えない)
「そうね、フローラになら使えるけど、カチアには無理ね」
私はアレクセイの降伏を認めて以来、何だか楽しそうなフローラにトゲを含ませる。
この戦いに出征するまでは、私にはフローラに対して絶対に出来なかった事だ。
「ヒルダ様、・・・何か言葉にトゲがある様ですが、何か言いたいのですか」
フローラが急にテンションを下げて聞いて来る。
これが本気になったフローラ。
私は今、試されているのね。
1万の敵より怖い、背中に冷汗が流れる。
(まあお姉様なら10万だけど)
「ウノ族の男性に女性から髪の毛を送る意味は? 知っているんでしょう。ま~想像は付くけど」
私は冷静を極力装ってフローラに質問する。
(この動揺を知られたくない、でも無理ね、お姉様の腹心のフローラの眼力は絶対見抜く)
「多分その想像で合っていますよ」
やっぱし、軽く躱された。
「・・・そうですか、冷静になって考えれば、そうでしょうね・・・私は少し軽率だったかしら」
「少しではありませんが、政治的には問題無いでしょう。
ま~シルデイ様やエリーは頭を抱え込むでしょうが、それもまた一興。
恋愛的にはヒルダ様次第です」
何か微妙な言い回しのフローラ。
でもさっきと違って、何か応援してくれている様な感じがする。
「う~~ん、少なくとも同い年のシュナイザー殿下よりも頼りがいのある者であったと思います。
比較出来る者とすれは、ブルックハルト義理兄様位かしら、年も同じ位でしょうし」
私は真正面からに正直に答えを返す。
相手との実力が違い過ぎて裏が読めない時は、お姉様が良くやる正面突破よ。
「その件ですが彼、アキム・アレクセイですが、帝国の士官学校に在籍していた可能性があります」
ほらやっぱり、フローラは私の知らない切り札を持っていた。
「それは、どこからの情報ですか?」
そんな面白いネタの答えをフローラが素直に答える訳ないじゃない。私のバカ。
「情報ではなくて、以前ブルックハルト様から、一つ上の学年の首席も成績から言えばでウノ族から来た留学生だったと言う話を聞いた事があります。
ウノ族からの留学生なんてほとんどありませんし、同世代となるとかなり絞られるかと考えます」
あれ? 素直に種明かしをしてくれた、何か肩透かしを喰らった様な違和感。
「なるほどね、もしそうならば、彼の火薬等の最新の軍事知識については納得出来るわね。
しかし、戦場の実戦における指揮能力は彼自身の物です。
あの洞察力と発想力、そして壊滅状態の兵を従わさせる統率力はお姉様並みです。
特に戦場でのあのカリスマは天性の将の器ね」
あれ?素直に答えてくれたフローラに乗せられて、本音をしゃべり過ぎた?
「ヒルダ様。それを聞いている限り、シュナイザー殿下に勝ち目は無さそうですね。
政治的にも能力的にも恋愛的にも。ご安心下さい、私は応援しますから」
フローラが面白そうに微笑む。
や・ら・れ・た、フローラの餌に飛びついて、私の本心を素直に言い過ぎた。
まだまだ敵わないわね。
「フローラ、その程度の煽りで表情が崩れるのは、カチアやクリス位までですわよ」
おほほと貴族令嬢の冷やかな笑い。
それは、私の精一杯の負け惜しみ。
「これは失礼致しました」
と、口先だけの謝罪。
「まったく、口先だけなんですから」
完全に私の負け、流石はお姉様の腹心、会話に2段3段の裏がある。
「さて、そろそろ私の入城の時間です。私はウノシルディス騎士団を率いて先に行きますね」
「はいはい、私は最後に入城しますから、宜しくお願いしますね」
「もう2回目ですし、今日の主役は入城済みですから、何もハプニングは起きませんよ」
本当かしらと首をかしげる私を置いて、まだオンテスに未練がありそうなエルメンガルトに気合を入れて、フローラはウノシルディス騎士団の率いてさっさと入城してしまった。
ブルマイスター要塞は守りの要塞では無く、クロスロード大公国の主力である騎兵の出撃拠点です。
しかし、火砲が存在せず大型の攻城兵器に乏しいウノ族相手であれば、平地に築城された多重空堀と土塁防御だけでも攻略は困難です。
要塞を守る城兵の数さえ十分であれば。




