ブルマイスター解放戦13
「梶 ゆう」の初回投稿です。
書きながら色々勉強して行きたいと思っています。
この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。
皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。
暫くの間毎日更新を行います。
学園の生徒、いやクロスロード騎士団の最精鋭部隊を整列させたカチアが此方に向かって進んで来る。
目に映っているのはカチアに間違いないのだが、全く別人にしか思えない。
エトムントやフリッツも妹のあまりの変わり様に何も言えないが無理もあるまい。
今年の初めに会った時にはこんな凄まじい圧力は感じなかった。
後ろから付いてくるベルンハルトよりも遥かに濃密な圧力を感じる。
殺気では無い、覇気? ベルント様やバルタザール様に感じる以上の力を感じる。
髪の毛は報告にあった様に司祭婦の様に短くなっているが、背中から翼が広がった。
後から思えば『神の加護』『英雄の御帰還』思わずそんな言葉が頭の浮かんだ気がする。
俺は馬を飛び降り片膝を付く騎士の礼を自然に取った。
実の娘であるカチアに対して。
「父上! 父上!」
カチアは跪いた俺を見て、慌てて馬から飛び降り儂に駆け寄って来る。
エトムントとフリッツも馬から飛び降り近づいて来る。
「兄上!」
俺に抱き着くと思わせておきながら、俺を放り出してエトムントとフリッツに抱き着くカチア。
俺は跪いたまま顔を上げ
「良くぞこのブルマイスターを救って頂きました。領民を代表して感謝致します」
深々とカチアに頭を下げる。
動作にも言葉にも一切の滞りは無く自然に言葉が出る。
もし、あのままカチアに抱き着かれていたら、俺はきっと何も喋れなかっただろう。
(ある意味、良かった)
実の娘に対して、遥か上位の実力者に対するのと同じ尊敬を俺はこの時抱いた。
理由は解らない、目の前にいるのは間違いなくカチア。
しかし、俺の心は伝説の英雄に対する憧れの気持ちで実の娘のカチアを見ていた。
深々とカチアに頭を下げた俺を見て、エトムントとフリッツが固まり戸惑っている。
もっとも一番戸惑っているのはカチアであったが。
「おやめください父上!
実の娘にそう気安く跪いたり、頭の下げるものではありません。
お兄様も城兵達も戸惑っているでは無いですか。
お願いです、お立ち下さい」
カチアはそう言うが、俺は立ち上がれなかった。
「「父上、カチアもこう申しております。お立ち下さい」」
エトムントとフリッツが俺に声を掛けるが、俺は二人のバカ息子に怒りがこみ上げて来た。
「お前達には、カチアの成長が判らぬのか!
我が家から英雄が生まれたのだ!
父としてこれ程嬉しい事はない!
儂の人生最高の時間の邪魔をするな」
俺の激しい怒気に二人の息子と一人の娘が『どうしよう』と黙り込む。
「父上、大変申し訳ございません。
ヒルデガルド様とフロレンティーナ様をお待たせいたしております。
後ほどたっぷりと家族だけの時間を頂きますので、今はお立ちください」
仕方ないと、カチアが俺の手を取り、立ち上がらせようと力を入れる。
俺に比べれば小さくて細い綺麗な手だ。
だがその手から感じる不思議な力に俺は抗う事は出来なかった。
「そうだな、お前の言う通りだ。語らう時間はタップリある。
みんな、生き残ったのだからな」
自然と武骨な俺の顔が微笑みが浮かんだらしい。
一度は死を覚悟したが、まだまだ死ぬのは嫌だとこの時俺は思った。
(全く騎士の風上にも置けない。しかし、あと少しでいい、英雄達が成す事を俺は見てから死にたい)
「そうです、お父様。
時間はタップリあります」
カチアから先ほどまでの圧力は消えて、俺の前で優しく微笑んでいた。
先の話でカチアはベルンの求婚を受け入れたのに、ベルンはカチアの結婚道具っておかしですよね。
でも矛盾しないのです。
何故ば、お父様の頭の中では、カチアの本当の結婚相手はシルディだからです。
カチアが本当に惚れて一生付いて行くのは、シルディなので、ベルンもブルマイスター騎士団もその為の結婚道具に成るわけです。




