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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ブルマイスター解放戦7

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「作戦を決めました」

皆が私の方を向く。


「敵の戦利品については、ブルマイスター解放まで監視に留めます。罠や毒入りの可能性を考えて放置します」


「「了解致しました」」

全員が同意する。


「ブルマイスター攻城軍への攻撃ですが、完全な包囲殲滅は行いません。川にそって上流方向に退却口を設けます」

ヒルダ様は川の上流に向けての退却口を指し示めす。


「シルディ様の戦略方針とは異なりますが、妥当な線だと思います。ベルンはどう考えます?」

フローラ様がヒルダ様に同意される。


「下手に包囲して降伏でもされた方が面倒です。とっとと逃げ出して貰いましょう」

フローラから意見を求められたベルンも同意する。


「あら、退路は設けるとは言いましたが、逃がすとは言っていませんよ。上げて落とします」

私は意地の悪い笑いを浮かべると、ドン引きするフローラとベルン達一同。


「淑女らしからぬ酷い顔です。つまり希望を見せて日没まで追いまくると言う訳ですね」

俺達には言えない怖い事をサラリと含ませてフローラが言う。


「追撃は日没までですね」

ベルンが顔を引きつらせて、追撃の部分についてのみ、私に同意する。


「酷い顔ってフローラ、あなたそれは不敬案件よ。せめて『淑女らしからぬ』で止めて下さい」

そういって私はコーヒーのお代わりをポットから注ぐ。


「攻城軍が撤退を開始すれば、先の戦いの残存軍も撤退すると思いますが、やはり戦利品は放置ですか」

不敬案件など何の事と言わんばかりにフローラが聞く。


「ベルン、ベルンなら撤退に際して戦利品をどう使います?」

私は一口コーヒーを飲んでベルンに問う。


ベルンもコーヒーを一口飲んで答える

「持って帰れないのであれば、火を掛けます。

もし火を掛けなければ、つまり取り返してもらいたい物、つまり罠です。

伝染病の死体やら毒やらを仕掛けておきます」


「フローラはどう思う」


「私もベルン殿の意見に賛成です」

フローラも同じ様にコーヒーを飲みながら言う。


「私も二人と同感よ。

さすがにさっきみたいに伏兵を潜ませる様な事は無いでしょうが、疑ってかかるべきね。

と言う事で最初に決めた通り、遺棄された戦利品は明日の朝まで放棄しておきます」


「かしこまりました。ブルマイスター要塞に立てこもっている者達にも徹底いたします」

ベルンの意見に私もフローラも頷いた。


「それで、攻城軍への陣構えですが、南方向は退路として敵に残します。

我が軍は北方向に向かって、やや深めの鶴翼陣。イメージ的には『U形陣』で臨みます」

私は地図の上に戦駒を並べる。


「6個戦隊が中央で左右に2個戦隊ですか。逃げ支度をしている者達は無視するのですね」

ベルンが戦駒の数字を確認しながら言う。


「ヒルダ様、カチア隊とクリス隊を中央にしたのは、解放の栄誉を二人に与えると言う事ですね」

フローラが私を見ながら中央の戦駒を指さす。


「ブルマイスター騎士団長としてベルンの考えは?」


「彼女達は、ブルマイスターからの避難民の前でブルマイスターの奪還を神に誓いました。

貴族の()()()()()()を神への供物としてです。

貴族として、騎士として、これ程重い誓いはありません」

私もフローラもベルンの言葉に納得する。


婚約者であるカチアと妹のクリスは婚約者と兄から真っ正面な推薦を受けて下を向いている。

同じブルマイスターの出身であるライナーとフィッシャーは、武骨な顔の瞳に涙を浮かべている。


「天晴れなり、ブルマイスターの騎士、さすが武門の誉。

自らの功績を立てるよりも、乙女の誓いを重視するベルンハルト総騎士団長を私は好ましく思います」

騎士道精神大好きなフローラは、素直に褒めているだけだけれど、表現が際どすぎる。

(無意識でやっている所が恐ろしい。その天然の人たらしは、お姉様といい勝負よ。見なさい、ベルンが返答に困ってるじゃない)


「フローラ、褒めるにしても表現を考えて下さい。カチアもベルンもお姉様の()()()()です」

私の「大切な人」に今度は何故かカチアが反応して真っ赤になる。

そのカチアを今度はクリスが疑念の籠った眼差しで見つめる。


突然出現した、婚約者と妹、それぞれの上官を巻き込んだ多角関係の愛憎のカオスに

「お二方ともその辺りでご容赦ください。身がもちません」

とうとうベルンが無条件降伏。


「わかりました。真面目にやりましょう」

と、一番最初に爆薬を仕掛けたフローラがしれっと言う怖さ。


「お願い致します」

と、どうでもいいからこの場を収めたいベルン。


「それで、両翼の指揮は右翼をライナーと左翼をフィッシャーに任せようと思います」

と、今までの事を見なかった事にして軍議を進行させる私。


「私では無くですか?」

やっと、作戦会議に戻って取りあえずほっとしているベルン。


「ベルンハルト総騎士団長には、本陣から全軍の指揮を執ってもらいます。

少なくとも、先ほどの様に『()()()()()()()()()()』を切る等と言うのは、非常の時の対応です。

いつも総騎士団長が先陣を切って突撃されては困ります」


「わかりました」

藪蛇だったと、頭をかきながらベルンは納得する。


「今いるブルマイスター騎士団は2分してライナーとフィッシャーの指揮下に組み込み、追撃戦に加わってもらいます」


「「かしこまりました」」

ライナーとフィッシャーが頷く。


「私からは以上です。日没まで5時間程。残敵は3500人程度。何か質問はありますか?」

私は一同を見回し立ち上がると、皆も立ち上がる。


「無ければ作戦開始です。最後の仕上げです。皆、油断の無いように」


「「「イエス! ヒルダ!」」」

綺麗に全員が右手で左胸を叩いた。

(我が軍の敬礼は結局それに決まったのね)

ブルマイスター要塞健在なり この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。 6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。


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