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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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ブルマイスター解放戦5

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「ベルン総騎士団長。見事な勝利。おめでとうございます」

ヒルダ様とフローラ様が敵の(むくろ)もそのままの最前線にもう来られた。


「ありがとうございます。全てヒルダ様のご采配の賜物です。

しかし、こんな前線に来られるとは、まだ掃討作戦は終了していませんが」

一応注意を促すが、笑顔で首を横に振られた。


「大丈夫です。敵に伏兵を仕掛ける余裕はもう無いでしょう。

あのロングボウ兵が敵の切り札、決戦戦力で間違いありません」

汗を拭きながらフローラ様が確認される。


「はい、あのロングボウ兵は攻城軍だからこそ配備されていた兵種です。

決戦部隊と考えて間違いありません。

あの意表を突いた策が破れた以上、敵の作戦は失敗です」

俺は確信を持ってフローラ様に答えた。


「敵の指揮官が無能で無ければ、後は一目散に撤退するはずです。

そしてこれまでの敵の動きから見るに敵の指揮官は有能です」

ヒルダ様は敵の指揮官を有能だと言い切る。

悔しいが俺はそれを認めて頷く。

その俺を見て、ヒルダ様が少し微笑んだ様に見えた。

(伏兵には注意していたが、地面の中とは考えが及ばなかった)


「ヒルダ様が気付き、引き鐘を鳴らさなかったら、弓騎兵に相当な損害が出ていました」

俺はヒルダ様に微笑まれた事で「まだまだ」と言われた様な気がした。

そのせいで、無意識で貴族的にヒルダ様のご機嫌を取ろうとしたのかもしれない。


「ふふふ・・・ベルン、私があの伏兵に気づいたから引き鐘を鳴らしたと思う?」

ヒルダ様は貴族の微笑みから、悪女の黒い微笑みに変わる。

それはもう鮮やかに。


「・・・違うのですか?」

ヒルダ様に見つめられる俺は、完全に蛇に睨まれた蛙。


「全く、ヒルダ様も黙っていれば良いものを。

ベルン殿、あの引き鐘は、単純にヒルダ様が臆病風に吹かれただけです。

つまり、私達の中であの敵の伏兵に気づいた者は誰もいません」

フローラ様が両手を胸の横で上に向けて「お手上げ」のポーズ。


「私達は今回は運が良かった、そして敵にはあと少しの運が無かった。

だから敵将の有能さを素直に認めて学ぶ事は恥でも何でも無いことよ。()()()殿()

ヒルダ様は俺の中の敵将への僻みもご機嫌取りもお見通しだったらしい。

(さすが、シルデイア殿下の妹でいらっしゃる)


「参りました。今後、注意致します」

冷汗がタラーリと背中を流れるのが分かった。


「それと、私達の騎士団は軍隊ではありませんが、これまでの騎士団でもありません。ですので、作戦の評価に司令官に対する謙譲は不要。

戦果についてもそれを成した者を評価し、その上官に対する評価とは別に考えます」


「それはつまり、どういう事ですか」

(部下の戦果はそれを指揮した上官の物ではないか)


「先ほどのベルン殿は私の勝利の祝福に対して、「私の采配のお陰」と言いましたね。そう言う貴族的な謙譲は不要と言う事です」


「まったく、意識しておりませんでした」


「我が騎士団でも意識改革を行っている最中です。

例えば、先ほどの件でしたら、

『撤退命令を無視して突撃した護衛騎士の判断と、全ての命令を忠実に実行した弓騎兵のお陰です』

と言う答えが返されるのを今後は期待いたします」


「中々に直ぐには難しいですが、努力致します」

(今まで常識であった考えを直ぐに改めるのは流石に難しい)


「ええ、今までの常識を直ぐに改めるのは難しいですが、努力して下さい。

さて、ブルマイスター騎士団も合流したので、追撃しながら全部隊の陣形を整えて貰いたい」

水筒の水を飲みながらヒルダ様が言う。


「かしこまりました。敵を全軍で追撃しながら陣形を整えます。どの位追撃致しますか」

撤退した敵はもう1キロ位離れている。

歩兵にしては、かなり逃げ足が速い。


「ブルマイスター要塞が肉眼で見える所まで追撃。

敵に新たな動きが無ければ、そこで30分の休息を取ります。

怪我人の応急手当は行なっていますが、本格的な手当はその時になります」

ヒルダ様も逃げ足の速い敵軍を目で追いながら言う。


「負傷兵の護衛に回す余裕がありません。今は痛み止めを行っただけです」

フローラ様につられて俺も怪我人の方を見ると、既に応急手当は終わったらしく、彼女達が野営で使用していた簡易ベッドに寝かせれている。

全員が死んでいなければ寝ているらしく、苦痛の声をあげる者はいない。


「痛み止めがあるだけでも僥倖でしょう、それでは全軍で追撃に移ります。

敵の血の臭いのするここは怪我人には毒です」

怪我人の手当が後回しになる事に罪悪感を感じているらしい、フローラ様に助け舟を出す。


「ベルン、怪我人の移動と護衛に各戦隊の弓騎兵の直衛隊を使います。フローラ、対応を頼む」


「わかりました」

フローラ様は怪我人の移動の手配に向かわれる。


「ベルン、各戦隊の戦隊長を集めて欲しい」


「かしこまりました。伝令! カチア隊長、クリス隊長、ライナー隊長と各戦隊長を呼んで来てくれ」

(行ったり来たりカチアとクリスには怒られるかもしれんな)


   ◆    ◆    ◆    ◆


「全員集まった所で、この後の作戦をベルン総騎士団長より説明する」

ぐるりと各隊長を見回すが、疲れや不満を隠しているような者はいない。

ヒルダ様が俺の方を見て頷く。


「これより追撃戦を開始する。

基本的には今までと同じ各戦隊毎の行動となるが、弓騎兵の()()()()()()()()()()()()()()()()させる事。

敵が反撃の構えを見せた時は槍騎兵は後退、弓騎兵の攻撃で敵を崩した後に進軍する事。

この辺の駆け引きは、司令部からは指示しない、各戦隊単位で行う事。

ライナー隊長、各隊弓騎兵の直衛隊は怪我人の移動に使うので、ブルマイスター騎士団から40騎を割いて直衛に回す。残りのブルマイスター騎士団は司令部の直属とする」

俺は、さっきカチアとクリスにしたのと同じ様な説明を改めて行う。

先ほどの戦訓を生かし、弓騎兵の先導に槍騎兵を置く事を特に強調した。

(さっき敵の伏兵に後れを取ったのは、俺の用兵ミスだからな)


「質問宜しいでしょうか」

ライナーが一歩前に出て言う。


「構わんぞ、ライナー」


「追撃戦からそのままの流れでブルマイスター砦の攻城軍を()()するのでしょうか」

ライナーの奴、目をキラキラさせて「()()」とか怖い事を言いやがる。

俺はヒルダ様は首を横に振っておられる。


「いや、ブルマイスター要塞が肉眼で確認できる所まで追撃、そこで暫しの休息を取る。

朝からの連戦でお前達は構わないが()が休みたがっている、()は大事にしてやらんとな」

俺の言葉に笑いが起こる。

(彼女達の戦場で笑うこの余裕を今まで俺は本当の戦場を知らない故と思っていたが、自分たちの持つ技量と指揮官への絶対の信頼から来る、本当の勇者の余裕だったんだな)


「他に質問は?・・・・なければ行動開始」


「「イエス! ベルン!!」」

セリフは全員揃っているが、

右手の拳を左胸に当てる者、

右手の親指を立てる者、

右手を額に当てる者、

右手を斜め上に突き出す者と見事に動作がバラバラだ。

ヒルダ様かクスクス笑っておられる。


「おい! おまえら、ブルマイスターを奪還するまでに、頼むから敬礼の動作を決めろ。バラバラだと恰好が着かん」

俺は心底、嘆いた。

ブルマイスター要塞健在なり この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。 6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。


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