表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/47

進撃9

「梶 ゆう」の初回投稿です。

書きながら色々勉強して行きたいと思っています。

この物語のメインテーマは、『格好のいい男前なお嬢様』の物語。

皆が応援したく成る『お姉様』を書きたいと思います。

GW前なので、水、木、金に更新致します。


「ここからは、ブルマイスター要塞までは平坦な牧草地が20キロですか」

目視では平坦な斜面が続くだけで、要塞も町も見えない。

視界を遮る物が何も無いので、敵の動きもこちらの動きも丸わかりである。

かなり遠くに敵らしき影は動いているが、肉眼では牛や羊の群れだと言われればそうとも思える。

もっとも侵攻から20日あまり、放牧されていた牛も羊も、とうの昔に捕縛されて、群れがあるはずもない。


「敵は約4千弱。4隊のファランクスを組んで進軍中、距離10キロ。2時間後に会敵します」

フローラが望遠鏡から目を離し、自身の観察結果と偵察隊からの情報を整理して報告してくれる。


「ファランクス陣形で2時間で10キロの進軍ですか。結構早い進軍速度ですわね。それなりに訓練された軍でしょうか」

私も望遠鏡で敵軍を観察しながら感想をつぶやく。


「練度では有りません。ファランクスにしては小規模な事と装備が皮製で軽い為です」

うちの偵察部隊は超優秀である。

敵の装備から兵の練度までキッチリ偵察してくる。

これ程整理された客観的な偵察を戦場という異常な世界で行える偵察部隊は帝国にもないであろう。

それもそのはず、全員が学園の卒業生で、学園の教官を勤めている事を考えれば当然である。

普通の軍であれば全員が部隊長であろう、何とも贅沢な偵察部隊である。


「軽装備のファランクスですか。・・・・兵の命も軽いのですね」

軽装のファランクスなんて張り子の虎以外の何物でもない。

重装歩兵で構成してこそファランクス陣形は真価を発揮する。


「取りあえず全軍森を抜けたら戦隊単位に部隊を再編成して、1時間の休憩・・・・でいいわよね」

私は意識を敵に集中していた為、普段通りの貴族調の口調で呟いてしまった。


「それは命令ですか?相談ですか?」

フローラは教官モードで私を諭す。

口調は厳しいが、目は妹を見る優しい姉のような目をしている。

その目が「大丈夫、自信を持って命令しなさい」と語っている。


「命令! 全軍森を抜けたら戦隊単位に編成変更、その後1時間の休憩を取れ」

今度は、フローラに向かってキッチリと命令を下した。


「了解致しました。伝令!」

フローラは私かお姉様以外であれば、即死レベルの蕩ける優しい微笑みを浮かべ、伝令隊に命令を伝える。


伝令隊の敬礼に応えるフローラの答礼は、女性の私から見ても妖艶で、風に舞う長い黒髪と相まって一編の絵画となって新しく本部に伝令として配属された男性騎士達を暫し石化させる。

(絶対に意識してやってるわよね。結婚の申し込みで大変な事になる気がするけど、まあ、全員玉砕でしょうが、さすがお姉様と双璧を成す罪な女ね)


「・・・本陣をベルンの所まで前進させます」

私は本陣の者達を率いベルン達と合流する為に駆け出した。


   ◆    ◆    ◆    ◆


ベルンと合流するとカチアとクリスもいる。

「カチア、クリス、戦隊への指示はもう完了ですか」


「はい、ヒルダ様、混乱もなく、戦隊への編成は完了致しました。

今後、戦隊指揮は戦隊毎の指揮官が行ないます」


「今後は私達は個々の戦隊の直接指揮は行いません。

戦場全体を睨みつつ、ベルンハルト総騎士団長と共に数個戦隊の指揮をおこないます」

実の兄を『フルネーム + 肩書』で呼ぶクリスにベルンも苦笑い。


「戦隊と言っても弓騎兵20騎に槍騎兵が60人もいる戦隊ですから、蛮族の歩兵相手なら500人位は余裕で殲滅出来ます」

アーレイの威力と弓騎兵の練度を良く知るベルンの言葉には自信がみなぎっている。

しかし、その言い様に私は、少しカチンと来た。


「当然です、お姉様が夢の実現の中核とする為に育てた者達です。

蛮族相手に遅れなど取るものですか。

そして彼女達は、お姉様の掛替えの無い大切な宝物です。

ベルンハルト総騎士団長、それだけは忘れないで下さい」

私は、ベルンの彼女らの戦力としてだけの評価に苦言を呈する。


「承知いたしております。ヒルダ様」

ベルンが礼をもって答える。


「少し言い過ぎました。しかし、彼女達の真価は戦力ではない事を知っていて欲しいと思います。

・・・・それで敵の動きに変化はありましたか?」

そう言いながら私は地図が広げられ戦駒が置かれた席に座る。


「こんな戦場で使いつぶす事など出来ない『シルデイア様の宝物』である事は、肝に命じております。

それで敵動きですが、四群のファランクス陣形のまま前進中です。接敵まで半時という所です」

私が腰掛けたのを見て、フローラやカチア、クリスも腰掛けるが、ベルンは立ったままで説明を行う。


「わかりました。作戦にも変更はありません」


「はい、第1から第3戦隊を敵左翼に当たらせます。その方面の指揮はカチアに任せます」

ベルンは1から3の数字が振られた戦駒を敵左翼側面に移動させる。


「了解です」

カチアは地図とベルンの両方を見て了解する。


「第8から第10戦隊は敵右翼、こちらはクリスに任せます」

ベルンは8から10の戦駒を敵右翼側面に移動させる。


「任さました」

クリスは右手の親指を立てるブルマイスター式の了解の合図を返してくる。

(この合図はこういう狭い場所でも使えるのが便利ね。是非広めましょう)


「敵の中央軍には私が直接指揮で第4から第7戦隊で対応致します」

ベルンは敵軍の中央軍と後衛軍を示し、自軍の4から7戦駒を指で丸く囲む。


「まず左翼と右翼が先行し、正面からではなく機動力を生かして側面から攻撃、敵を中央に方向に圧迫、挟撃の体制に持ち込みます」

ベルンは自分の胸の前で、両の掌を合わせる様な動きをする。


「騎兵の機動力であれば、側面を突くのに問題はないでしょう」

私は敵の左翼と右翼の側面に移動させられた戦駒を指さして言う。


「ええ、そしてファランクスはその側面からの攻撃に速やかには対応出来ません」

ベルンが敵の左翼と右翼の駒を取り除く。


「ですが、ここから先は敵の出方次第です」

ベルンは左翼と右翼の駒を少し前進させる。


「前進してくれば、第4から第7戦隊で引きながら、左翼、右翼はそのまま左右から挟み込んで敵を殲滅ですね」

私は敵の中央軍と後衛軍を前進させてみる。


「逆に、後退すれば、全軍で追撃戦ですね」

ベルンは敵の中央軍と後衛軍を後退させ、味方の駒全体を前進させる。


「そういう事ですね。それでは、カチア、クリス各隊の指揮を頼む。本陣の信号旗が緑から赤になったら作戦開始だ」


「「了解です」」

カチアとクリスがそれぞれの部隊に向かった。



ブルマイスター要塞健在なり この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。 6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ