マリア様 業務改革と魔法計算機そして獣よけを作る3
城の中庭の方まで歩いてくると、そこにはお茶をしているフラールと見かけないお嬢様がいた。いったいどういう方なのかと私は思った。
中庭に視線をやっていた私を見て陛下は、ああと言った後に微笑む。
「あれは、私の妹のエルルです」
「可愛い方ですね」
「いや、まだとんだおてんばです」
私と陛下の姿を見たフラールとエルル様は私たちの方へ駆け寄ってくる。
「マリアお姉様、陛下」
フラールはそう言うと陛下に向かってスカートを少し持ち上げ挨拶をする。そしてエルル様は私を見てカーテシーをする。
「お初にお目に掛かります、陛下の妹のエルルと申します」
「私の方こそお初でございます。エルル様」
私はそう言うとスカートを少し持ち上げ挨拶をする。そんな私とエルル様を見ながら陛下はにこやかに微笑んだ。
「そう言えば今まで紹介できていませんでしたね」
「ええ、陛下に妹君がいたとは知りませんでしたわ」
そんな陛下と私の会話を聞いていたフラールが口を挟む。
「ちょうど中庭でお花を見ようと思って立ち寄ったところ、エルル様とお会いしたんですの」
「私の好きな花を見ていらっしゃったので、説明と共にお茶にお誘いしたんですの」
綺麗な銀髪の髪にはウェーブが掛かっている。身長は私と同じぐらいだ。藍色を基調としたドレスにはフリルが飾られていて、そんなドレスには何層ものチュールが折り重なっている。
「今はお幾つ?」
「14歳です」
「それではフラールは12歳なのでいいお友達になれそうですね」
「ありがとうございます。それにしても、ほうーマリア様はお噂に違わずお美しい方でございます」
「あらエルル様ったらお上手でございますわね」
「いえ、冗談抜きで申しておりますわ。ねえ陛下」
そんな風にエルル様に会話を振られた陛下は一つ咳払いをして、私の顔を見る。なぜだろう陛下に見られると心の中がドキドキとする。陛下はそんな私に向かって真面目な表情で言った。
「マリア様は大変お美しい方だと私も思っています」
「まあ、陛下ったら」
「マリア様、私は冗談で言っているのではありませんよ」
私はそんな度直球な陛下の言葉に顔が赤面する。この場から逃げ出したくなるのをなんとかこらえているとフラールが聞いてきた。
「ところで陛下とお姉様はどこかへ出かけられるのですか?」
私はフラールの言葉に、コホンと態とらしい咳をすると陛下を見上げるようにして見る。陛下は身長が高い。頭一つ分は違うので、立ってお話をするとこうして見上げる形になる。
「民の報告書の中に城の近くの農産物が害獣に荒らされているという報告があったのですわ。そこで私と陛下が現状を視察しにいくところですわ。そうですわね陛下」
「うむ」
そんな私と陛下を見ていたエルル様はうっとりとした表情を浮かべながら私に言う。
「そうしておられるとデートをされているようにも見えますわ。どう思いましてフラール様」
「確かにそうでございますわね」
私はその言葉に顔がまた赤面する。陛下もどこを見ていいか困ったかのような反応を見せている。頼みますから大人をからかうのはやめてください。
「大人をからかうのはやめなさい」
私の心の言葉に呼応するかのようにして陛下がエルル様とフラールに注意する。私も赤面のまま頷く。そんな私を見ながらフラールはニヤニヤと笑みを浮かべた。
「お姉様って案外ウブなんですの」
「そ、そんなことはありませんわ。これでも元は王妃でしてよ」
「王妃とウブは関係ないような……」
私の言い訳にエルル様は率直な意見をぶつけてくる。
これ以上この場に耐えられなくなった私は陛下に進言する。
「そ、そろそろ行かないと時間的にまずいですわ。それでは陛下行きましょう」
「あ、ああ」
陛下も美しい顔に困惑顔を貼り付けてそう言った。その場から立ち去る陛下と私の背中にフラールとエルル様の言葉が聞こえる。
「お似合いですのに」
「本当」
と。私と陛下はその言葉は聞かなかったことにして足早にこの場を去るのであった。




