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涙の流星群  作者: 最上優矢
第七章 最後の夏、キセキを起こせ、涙の流星群

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奈蔵川河川敷広場

 それから数十分後。


 奈蔵川河川敷付近のコインパーキングに車をとめたぼくらは、複数のレジャーシートを手で持ち、いざ河川敷へ。


 途中、夜空を見上げると、そこには流星がいくつも流れていて、思わずぼくは足を止めた。


 あぁ、とてもきれいだ。


 けれど、同時にとても切なくなる。

 それはなぜだ?


 ぼくは夜空を見上げるのをやめた。


「……分からない」


 こんなにも流星が観測できるのは、たぶん人生で一度きりだろう。

 そう、一度きりなのだ。


 だったら、愚かなぼくはこの日を絶対に忘れないようにしなくてはいけない。

 たとえ、ぼくらの仲間であるはずの「彼女」を完全に忘れる日だとしても、「彼女」が消える日だとしても……ぼくらの夏が終わる日だとしても、絶対に忘れてはならない。

 忘れることが運命で絶対だとしたら、そんな決められた運命なんか抗ってやる。


 ぼくができる唯一の抵抗は、まさにそれだった。


 やがて、ぼくらは奈蔵川河川敷広場へとたどり着いた。

 河川敷広場だが、ペルセウス座流星群を観測しようという人でいっぱいだった。


 ぼくらはふさわしい場所を見つけ出し、持ってきた星空のレジャーシートを地面に広げ、そこに荷物を置き、各々虫除けスプレーを体にかける。


 準備完了。


 さて、どうする。

 願い事、三回唱えてもいいのだろうか?


 するとそのとき、遙香さんが「せっかくだから、流星群を見上げようよ」と提案してきた。


 ナイス、遙香さん。


 しばらくのあいだ、ぼくらはレジャーシートに寝転び、夜空を見上げていた。


 それで分かったのだが、やはり夜空にはたくさんの流星があちらこちらと姿を見せていて、けれどそれはすぐに消えていった。

 右上から左下、または左上から右下の斜めにかけて吸い込まれるように流れ、そしてそれはすぐに消えていった。

 それはどこを見ても観測できたし、なんなら一秒に五個以上は観測できた。


 当然ながら、ぼくらは流星雨と化したペルセウス座流星群に見とれ、会話という無粋なものなんて一切しなかった。


 それから三十分以上は経っただろうか。

 腕時計を見遣ると、午後九時を少し過ぎたところだった。


 徐々に、けれど確実に……流星の数が増えていったのだ。

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