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涙の流星群  作者: 最上優矢
第六章 ピンチはチャンス、信じるのはペルセウス座流星群

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忘却

 それから二週間後、八月十日の火曜日。


 忘れた。

 いや、忘れそうだ。


 しかし、それは忘れたといってもいいくらい、ほとんど忘れていた。

 だからこれは“忘れた”なのだ。


 ぼくらは夏奈さんのことを……完全に忘れそうになっていた。


 夏奈さん?

 夏奈、さん?

 カナ、さん?

 かな、さん?


 …………。

 あれ、誰だっけ……?


 穏やかで優しげな顔をしているくせに、憎たらしげな「彼女」の名前……ぼくはほとんど忘れてしまった。


 確かに「彼女」はぼくらの仲間だ。

 仲間……そう、仲間だ。


 …………。

 ……そう、仲間だ。


 ならば、なぜぼくらは「彼女」にウソなんてついているのだろうか。


 ウソ?

 ウソ……ウソ。


 …………。

 あれ? なんでぼくらはウソなんてついているんだろう。


 本当に「彼女」はぼくらの仲間か? 仲間なら、ウソなんてつかないんじゃないのか?


 本当の仲間なら、「彼女」のことを忘れないはず。

 思い出せるはず……!


 でも、ぼくらは「彼女」のことを忘れたままだった。

 決して思い出せない。

 なぜなら、「彼女」はぼくらの仲間ではないからだ。


「そんなはずはない!」


 そんな苦悩の日々が三日間も続いた。


 ぼくらは苦しかった。

「彼女」も苦しそうだった。


 確かにぼくらは「彼女」のことを忘れてしまったが、“あのこと”は決して忘れずに覚えていた。

 八月十二日、木曜日の夜に起こるであろう、キセキを。

 奈蔵川河川敷まで行き、流星雨となったペルセウス座流星群を見上げ、「彼女」を助けるというキセキを、哀れなぼくらは忘れていなかった。


 感動のキセキを起こすまで、ぼくらの夏はまだ終わらない。


 …………。

 絶対に終わらせるものか。

 何がなんでも、絶対。

 ぼくらの夏を終わらせるものか。

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