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涙の流星群  作者: 最上優矢
第六章 ピンチはチャンス、信じるのはペルセウス座流星群

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焦りと苛立ち

 一度目の思い出作りは失敗に終わった。

 それは明白だった。


 ぼくらは旅行から帰ってくるなり、居残りメンバーも交え、テレビ電話を行った。


 案の定、と言っていいのか分からないが、居残りメンバーの報告によると、学校では夏奈さんのことを思い出した教職員や生徒はいないらしい。

 それを聞いた龍司さんは「二度目の思い出作り、すぐに始めるぞ」とぼくらに力強く言ってから、こちらの返事を待たずにテレビ電話を切った。


 おそらく、二度目の思い出作りのプランを立てるためだろう。

 ぼくはといえば、龍司さんが思い出作りのサポーターをやめなかったことに対し、安堵せずにはいられなかった。


 それから二日後のこと――二度目の思い出作りが始まった。

 今回は環奈や茜、詩織さんや勇人が旅行メンバーだ。

 二度目なら、きっとうまくいく。

 どうか頼む、生で死を打ち消せ、打ち消すんだ。


 そうぼくは願いながら、学校で授業を受けた。

 けれど、二度目の思い出作りが終わっても、学校の教職員や生徒は夏奈さんのことを思い出さなかった。


 ぼくらは焦った。

 ぼくらは苛立った。


 しかし、ぼくらが焦れば焦るほど、苛立てば苛立つほど、夏奈さんは心を閉ざしていき、ついには思い出作りのための旅行も中止となってしまった。


 じれったい、じれったい……ええい、じれったい。


 徐々に心が蝕まれる。

 それでも時は休まずに進んでいき、空間は絶えず変化していく。

 けれど、ぼくらが無力なことには変わりはなく、その事実はぼくらを追い詰め、さらには疲弊させていった。


 なんとかしなくちゃいけない。

 なんとか、なんとか……なんとかしなければ。

 なんとしてでも、生で死を打ち消さなければ……夏奈さんは消える。


 それは嫌だ。

 嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 愉快な友達を……かけがえのない仲間を失うなんて、あまりに残酷だ。

 絶対に嫌だ。


「馬鹿野郎! それなら……それなら少しは妙案を思い付けよ、大浦翔」


 もう一人のぼくが頭の中で叫ぶけれど、それでも妙案は思い付かない。

 そんなもどかしい日々が何日も続く。


 気付けば、日付は七月二十六日の月曜日となっていた。

 いつの間にか、高校は夏休みを迎えていた。


 海堂さんによると、あすは夏奈さんの両親が夏奈さんを忘れる日であり、それは世界で一番残酷な日だった。

 なので本日から、夏奈さんは遙香さんの家に居候している。


 そんなときだ。

 夜、遙香さんから「翔くんと二人きりで話がしたい。家には夏奈がいるから、『カレス』まで来て」とメールが届いたのは、そんなときだった。


 その日は大雨であり、外に出るとなると、少し億劫……いや、そんな甘えたことは言ってられない。


 雨が激しく降る中、ぼくは徒歩で傘を差し、カフェレストラン「カレス」に向かった。

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