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第三十八話 スキル相性


 ボイスの情報に誤りがあった。

 音を拾い、声を聞き、情報を収集するが、隠し事には打つ手がない。


「誰にも言ってないんだぜ? 桑山以外にはな」


 視界が歪み、透明な刃が迫る。


「あいつ裏切ったくせに義理堅いよな。お陰でお前はのこのこ俺の間合いに入ったって訳だ」


 飛来する攻撃を反射的に躱し続け、止まることなく走り続けた。


「べらべらとよく喋る奴だな」


 攻撃を躱しながら奴の攻略法を考える。

 事前に幾つかプランを用意していたものの、それらは一対一を想定していない。

 いきなり仲間が全滅するとは夢にも思っていなかった。

 でも、それでもやるしかない。

 みんなを元に戻せるのは俺しかいないんだ。


「ここだ」


 攻撃の隙間を縫い、帯電刀の鋒を向けて雷撃を放つ。

 駆けた閃光は透明な刃と正面から激突し、火花を散らして互いに消滅した。


「相殺できるならッ」


 身に迫る透明の刃に向けて帯電刀を振るう。

 稲妻を帯びた刃は立たれることなく、透明の刃を逆に断ち切って見せる。

 代償として帯びていた稲妻が消失したが、本体の刀は無事。

 再びスキルで帯電させれば透明な刃も怖くない。


「やるじゃん。なら、これならどうだ?」


 展開されるのは数えることも難しいほどの無数の透明の刃。

 それが一斉に放たれるが、それらはすべて天から落ちた雷撃に撃ち落とされる。


「おおっと?」


 更に攻撃が加えられるが、それも雷撃で撃ち落とす。


「タネが割れれば大したことない」


 木船に向けて歩みを進める。


「そんなスキルを持っていて、なんで殺人鬼にこき使われてるのかよくわかったよ」


 攻撃しても燃やし尽くされてしまうからだ。


「……はぁ、そうかよ。わかった、降参だ」


 わざとらしくため息を付いて、木船は両手を挙げる。


「今ので勝ち目がないってよくわかった。だから大人しく」


 踵を返してこちらに背を向け、木船は駆けだした。


「逃げることにするぜ! あばよ!」

「お前っ。逃がすか!」


 仲間もなにもかもを置いて、自分一人で逃げようとする木船。

 逃げ出した背中を追い掛けると、その前にふらりと真央が現れる。


「邪魔だ!」


 木船は真央に透明の刃を放つ。


「真央!」


 叫んだ時には遅く、真央は透明の刃に斬り裂かれてしまう。


「はっ! ざまぁ!」


 上半身と下半身が別れて真央が倒れていく。

 だが、地面に伏すその瞬間、真央は無数の蝶々となって舞い上がった。


「なぁ!?」


 驚く木船を取り囲む蝶々。

 何度も透明の刃が振るわれるが、蝶々はそのたびに分裂して効果がない。

 真央のスキルは木船のスキルを完全に攻略していた。


「ナイス!」


 真央が足止めをしてくれているうちに近づき、手を伸ばして木船の喉を掴む。

 しっかりと手に力を込めると、周囲の蝶々が一斉にその場から離れた。

 これで憂いなく、木船に稲妻を流し込める。


「ま、待った!」

「いいや待たない。眠ってろ」


 左手から稲妻を流し、木船の意識を刈り取った。

 力なく倒れる木船を支えてゆっくりと地面に寝かせる。

 それから立ち上がって周囲を見たが、切断されたみんなは戻っていない。

 スキルホルダーを気絶させても解除されないなら、やっぱりスキルを移すしかないか。


「やりましたねー」


 そう考えていると、目の前で蝶々が集まり真央になる。


「あぁ、お陰で助かったよ」

「どう致しまして―。ふふー、私のスキルは相性がよかったみたいですねー」


 無事なのは俺と真央だけか。


「とりあえずスキルを移してっと」


 短剣に木船のスキルを移す。


「さて、誰に渡せばいいんだ?」

「そ、それなら僕にっ」


 声がしたほうを向くと、ラジオを肩から提げた少年が駆けてきていた。


「はぁ……はぁ……」


 肩で息をする少年の代わりにラジオからノイズ混じりの声がする。


「やあ、エレクトロ。今回はすまなかった。僕のミスだ」

「あぁ、お陰で全滅するところだったよ。まぁ、上手くいったからいいけどさ」

「まだ僕を信用してくれるかい?」

「そうするしか加西先生を止められない」

「……そうだね、これまで以上に情報収集に力を入れることにするよ」

「そうしてくれ。じゃあ、スキルは」

「あぁ、そこの田角たずみに渡してくれ。彼がみんなを元に戻す」

「わかった」


 短剣を彼に当て、スキルが移る。


「これがスキル……みんなを戻します」


 その直後、崩れた建物が元の形にへと復元される。

 切断されていた咲希や志保、筆崎も元通りとなった。

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