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第三十七話 作戦開始


 狩り場の殲滅作業を無事に終え、所定の位置で待機する。

 時刻はすでに木船が狩りを行う直前。

 俺は真央と手を繋ぐことで分身の蝶と視覚を共有して狩り場の様子を窺っていた。


「来た」


 折れ曲がった街頭の先に蝶が止まり、狩り場を見渡す。

 木船と数名が現れると直ぐに檻がなくなっていることに気付く。


「クソッ! 持って行きやがったな」


 近くのゴミを蹴飛ばし、木船は怒りを露わにする。


「どうする? これじゃ今日、食う分も怪しいぞ」

「わかってる。多少、危険だが狩りに行く。お前たちも付いてこい」

「えぇ? ここまで来るのだって怖いのにマジかよ」

「お前らが戦う訳じゃねぇーだろ。大人しく荷物運びくらいやれ」

「チッ、わかったよ。行こう」


 話がつき、集団が歩き出す。


「あぁ、クソ。桑山の奴はどこに行きやがったんだ」


 木船が悪態をつき、更に石ころを蹴る。


「桑山?」

「イミテーションのことだ」

「あぁ」


 食糧庫に来ていたし、彼らの話から考えて桑山は調達係だったか。

 偽物を大量に作り出せば荷物運びも余裕か。

 適任だったけど、もうそのスキルはこちらのものだ。


「もうすぐ狩り場から出ますよー」

「よし、相坂に連絡する」


 筆崎が無線機越しに相坂へと指示を送る。

 すると数秒後に魔物の偽物たちが彼らの前に現れた。


「いたぞ!」

「あぁ、わかってるよ。遅れるな!」


 逃げる偽物を追い掛けて、彼らは駆ける。


「連れ出し成功だ」

「誘導も上手く行っているみたいですねー」

「よし、なら準備しよう」


 真央と繋いでいた手を解いて視覚を元に戻す。

 それから彼らの到達地点に立ち、待ち構えた。

 そして彼らがのこのこやってくる。


「あぁ?」


 立ちはだかる俺と筆崎、そして側で大人しくする偽物の魔物。

 それを見て木船は怪訝そうに顔をしかめた。


「どういうことだ? これは?」


 木船が一人、こちらへと歩み出る。


「その魔物は偽物だな? よう、桑山! 俺たちを裏切ってそいつらと連んでるのか?」


 大きな声を出すも返事が返ってくることはない。


「あぁ、そうかい、わかったよ。で? 俺たちを釣り出してなにが目的だ?」

「これが目的よ」


 彼の背後で固まっていた幾人かを詩穂と咲希が捕らえる。

 血液の結晶で足下を固め、一人にナイフを突きつけた。

 周囲の屋根には凜々と真央、相坂がいる。


「大人しくしていれば危害は加えない」

「はっ、マジかよ。お前ら、桑山から俺のスキルを聞いてないのか?」


 木船は追い詰められていると思えないほど余裕そうに振る舞う。


「切断と復元だろ」


 筆崎がそう答える。

 ボイスから事前に聞いていた木船のスキルはそれだった。

 あらゆるモノを切断し、そして元通りに戻すことが可能なスキル。

 ボイス風にいうなら木船はカットだ。


「あぁー、そうそう。でも、射程までは聞いてないみたいだなぁ!」


 瞬間、木船の周囲が歪む。

 それが透明な刃だと気がついた時にはすでに目と鼻の先まで飛んできていた。

 稲妻を纏い、反射的にそれを回避する。

 間一髪で避けた透明な刃は背後にある民家を建てに裂いて過ぎていった。


「すげー、避けやがった。でも、形勢逆転って奴だ」


 足下に腕が転がっていた。

 その先はなく、切断されている。

 周りに目を向けるとすぐに本体が見付けられた。

 筆崎が胴体の半ばから真っ二つに切断されている。


「安心しろ。死にはしないし、元にも戻せる」


 木船に目を向けると、その背後に倒れた咲希と詩穂を見る。

 人質もまとめて切断されていた。


「俺がその気になりさえすればな! ははっ!」


 周囲の建物も切り刻まれていて、ほかの皆を確認できない。

 いまこの場で動けるのは、俺だけだった。


「お前がどんな気になるかは関係ない」

「あ?」


 どの道、短剣でスキルを移せば全員元に戻る。


「必ず、全員を元に戻す」


 刀を引き抜き、帯電させた。


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新作を始めたので、下から読んでいただけるとありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] だんだん首を傾げる回数が増えた気がする
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