第14話 2人の悪魔
ガチャガチャッ
「んッ、このぉッ!」
ガチャガチャッ
「あンッ!? やったなぁッ!?」
俺達は『ゲーム』をやっている。アイテムぶつけたりして妨害しまくるレースゲーム。決してイケないゲームではない。妹とそんな事する訳ない。
「いけぇッ! 緑コーラッ!」
「あッ! 汚ぇッ!?」
「やったー! 1位~♪」
「ぐっ! 兄としての威厳が……」
「兄? 姉でしょ? アユ姉?」
「わ、悪い。か、噛んだだけだ」
危ねぇー。家族と言えどもこればっかりは打ち明けられねぇ。信じて貰える訳もねぇしな?
「アユ姉、罰ゲーム」
「あー、はいはいお風呂掃除ね?」
俺達は今のレースで賭けをしていたんだ。大した事ではないんだが、まぁそういう事だ。
「じゃ、やってくるわ」
「ほいほーい」
つーかマジで妹だわ。なんでこんなに反応が違うんだ? 前は絡みなんて全く無かったんだぞ? なんか今のままでいい気がしてきたわ。
いや、今のままだと将来怖ぇわ。俺、女なんだぞ?女の身体になっちまったんだぞ? もし戻らなかったら……しゅ、出産とかしちゃう感じ? つーかその前の『行為』……
「アユ姉?」
「ぅわあぁぁぁぁぁッ!? ち、違うからッ!? 想像とかしてないからなッ!?」
「なんでそんなに顔真っ赤なワケぇ?」
「べべべべべべ、別にィぃ? 凸とか凹とか……ちちち、違うッ‼ おおお、お風呂掃除しないとッ‼ あははははッ!」
「んぅ? まぁいっか。頑張ってねぇ~?」
うーーーーーーわぁっ。恥っずぅ! もうこんな想像はしない方がいいな! やめトコ。
……『ト』つとぼ『コ』で……
ぅニャーーーーーーーーーッ!?
俺の頭の中はもう駄目になってた。だからちゃんと掃除出来たか分からない。
俺はヤバい女なのかもしれない。あ、女じゃねぇんだった。はぁー、俺もう駄目かもしんねぇな。男だってのに。
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「ミライ? 母さんはいつ帰ってくるんだ? 買い物にしては遅くねぇか? もう6時になるぞ?」
「んぅ? 来月だよ? 聞いてないの?」
「はぁッ!? 来月ぅ!?」
ウソだろぉッ!? 妹は大丈夫だとしても悪魔1号もいるんだぞ? 俺の身が持たねぇよ。
「なんか商店街の福引で世界一周旅行が当たったんだってぇ。私は外国怖いからパスしたけど。あ、生活費はヒカ姉が持ってるよ?」
ヒカリ姉さんが今のこの家の支配者か。
そうか、そうかそうか。(シュッ、シュッ)
なるほど? そっかぁー。(ジーッ、パンッパンッ)
「アユ姉? なんで荷造りしてんの?」
「いやーぁ、生活費節約しないといけねぇだろ? ホラ、あれだ! 部活の合宿があるんだよ」
「……部活してないじゃん」
「い、いやぁ~」
ガチャッ
「ハッ!? 今の音はッ!?」
ま、まさか、アレが帰って来たのか?
「あ、ヒカ姉だ! ヒカ姉ぇーッ! アユ姉帰って来てるよー?」
ガチャン(カチャッ、ガチャガチャガチャッ)
ドタドタドタッ
チェックメェーーーーィトッ!? やべぇッ‼ 魔王クラスの悪魔がここに来るぞッ!?
つーかさっき多重ロックしたよな? チェーンやら色々掛けた音したよな?
……逃がさないつもりか?
「アユミッ‼ 帰ったのッ!?」
「お、おぅ。おかえり? ただいまか?」
相変わらず見た目だけはいいよな、ヒカ姉は。今は大学2年目だっけか?
(ちなみにどんな見た目かって? 黒髪ロングのパッと見優しそうな顔。以上。実際はヤンキーだと思ってる、俺は。蹴るわ、横腹ど突くは視界に入ったら最後。家では目を合わせない様にしないといけない。これ常識。)
……ヤベェなぁ。俺の身が多分ヤベェ。もう少し早く行動を起こすべきだったか。つーか気付かねぇよ、母さん達が旅行に行ってるなんて。
「会いたかったぁ! アユミィッ‼」
「ぅわッ!? ひ、ヒカ姉ッ!? んぶぅっ!?」
あ、あれ? ヒトミさんみたいに抱き着いてきたんだが? やっぱ男だった時と反応違うよな? 認識が違うだけでこんなに変わんのかよ。
つーか胸が顔に当たってんだよなぁ。
姉とはいえ、また会ったな? 双子山よ? あー、いいわ、最高だ。
「このまま眠りにつけたらどれほど幸せな事か……」
「そ、そう?」
「ん?」
「ん? どうしたの? アユミ?」
んぅ? まぁ、いっか。じゃあな、双子山。またいつか会おうぜ?
「じゃ、俺はそろそろ」
「お風呂? じゃあ一緒に入ろっか?」
「あ、ズルいよぉ? 私もアユ姉と入りたいのに!」
は? いやいやいや。お前ら何言ってんだよ? 兄弟で一緒に入るかっての。ミライでも流石にギリギリアウトだぞ?
つーかお風呂じゃねぇよ!
「俺はリヒトの家に泊まる」
「不許可。未成年の異性との同衾は認められません」
「同じく」
なんでそんな真顔で否定すんだよ? なんか俺が悪い事しようとしてるみたいじゃねぇか。
「リヒトの母はいつでも家に来ていいって言ってくれたんだぞ?」
「はぁッ!? ……今後一切の立ち入りを禁ずる」
「同じく」
なんでお前らに決められなきゃならねぇんだよ? リヒト母が悪いみたいじゃねぇか。
「分かったよ、今日はもういいよ。夜中に行くのも悪いしな」
「そうしなさい。さて……」(ガシッ)
「お風呂っ、お風呂っ♪」(ガシッ)
「おい、待て。なんだこの手は? まさか3人で入るとは言わない、よな?」
「「…………」」
「なんとか言えぇッ!?」
俺は強制連行された。
やっぱり悪魔だコイツ等。
~~~~~~~~~~~~
そして結局。
一緒に、入ってしまった……
姉妹の全てを見てしまった……
ヒカ姉の身体、ヤバかったな……
思ってたより胸デカかったんだが?
ミライの身体、成長していたな……
思ってたより大きくなってたんだな?
……ティッシュ詰めとこ。
「アユミの身体、羨ましいわ」
「アユ姉の肌綺麗過ぎじゃない?」
2人は仲良くドライヤーしながら話してた。いやー、今のままでいて欲しいもんだ。静かにしてたら絵になるんだよな、コイツ等。多分モデルとかなろうと思えばなれんじゃねぇかな。内面が出なければ、な?
つーか俺の身体の事よりお前らの方がヤベぇよ。男のままだったら俺はトイレに籠ってた自信があるぞ? 流石に身内ネタは気が引けるんだがな。
「アユミ胸が弱いみたいよね?」
「えー? 足の方が弱いよぉ?」
……は? お前ら何の話してんだ? つーかなんでずっと俺の事話してんだよ?
「アユミ敏感だから可愛かったわよねぇ?」
「なんかもっとシテ欲しそうな顔するよねぇ?」
「ちょちょちょッ!? お、お前ら何話してんだよッ!?」
「え? アユミの可愛い所よ?」
「ふぇ? アユ姉の可愛いトコだよ?」
「いやッ‼ 絶対違うッ‼」
俺が敏感なワケねぇだろぉッ!? 何がシテ欲しそうな顔だよぉッ!?
「またまた~えいッ」(ツンッ)
「にゃぁッ!?」
「ほらほら~ねッ?」(さわさわ)
「ヒィんッ!?」
「「……か、可愛いぃ」」
「ッ!? さ、触んなッ‼ 馬鹿野郎共ッ‼」
やっぱり悪魔だコイツ等。物理的暴力は無くなったが精神的暴力が増してんじゃねぇか‼
はぁ、ある意味では幸せかもしれねぇが……
俺は不幸だ……
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「ミライ? 明日も早いんだ、もう寝るぞ?」
「んー、そだね~? じゃ、一緒に寝てくれる?」
「はぁ? 仕方ねぇな、今日だけだからな?」
時刻は夜の9時。俺とミライはダラダラとテレビを見ていたんだがそろそろ寝ないと明日の学校に響きそうだと思って声を掛けた。明日も俺の優等生ライフがあるんだ。体力は多いに越したことはない。
「ミライ? さっきからヒカ姉の姿が見えないんだが?」
「ん~? 布団用意してるんじゃないかな?」
「え? マジ? ヒカ姉が?」
やってんの今まで見た事ねぇんだけど? 母さん達がいないからか? ……明日の天気大丈夫か? 槍でも降るんじゃねぇか?
「ふぁ~っ」
「あ、悪ぃ、行こうか」
俺達は寝る為に姉妹の部屋へと向かった。ちなみに間取りは俺の部屋、姉妹の部屋、両親の部屋と3部屋だ。あとはリビングとかで3LDK。
俺は男だから1人部屋を貰えた訳だが、当時は妹が荒れたモンだ。リビングの片隅に正座で寝ればいいだろって……ひどい話だよな? な? なぁ?
その妹が今やこの有り様だ。あんだけ俺の事嫌いだった筈なのにな? どう認識が変わったらこうなるんだろうな? 意味分かんねぇよ。
「ヒカ姉? 布団ありが、ん?」
どうやら既に寝ている様だった。電気は点いたままで横になっている。
「ミライ、ヒカ姉はもう寝てるみたいだ。俺が外側で寝るから先に」
「やー。アユ姉が真ん中」
「仕方ねぇな。じゃあ先に入るわ」
つーか兄弟で寝るの久々だな。いつぶりだっけか? 覚えてねぇけどまぁ、どうでもいいか。
「ミライ、悪いけど電気消して」
「んー」(パチッ)
ゴソゴソ
ミライもちゃんと布団に入った様だな? はぁ、一時はどうなる事かと思ったがどうにかなりそうだな。
後はいつ俺の身体を元に戻せるか、だな。歳を取ったらそれこそ生き遅れてしまう。シオリと結婚、したいんだけどな。まだそんな関係じゃねぇんだけどさ? 俺は、俺が好きになった、キッカケ、は……
こうして俺は不安だった帰省を無事に過ごせた。
花の様な夢心地を感じながら……




