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第15話 過去の夢のち双子山



 ************



「ざっけんなッ‼」



(あ? なんだ? 誰だ? ここ、どこなんだ? ……俺、寝たんじゃなかったっけか?)


 視界には昼時の道路が見えている。それに目の前にはランドセルを担いでいる少年が2人見える。だが、少年達は俺よりも高く見えていた。よく分からないが、感覚的には喧嘩をしている様だ。どうなっているのか全く理解できない。



「見た目だけで決めつけてんじゃねぇよッ!!!!」


「3年生のクセに俺達に歯向かってんじゃねぇよッ!」(ドンッ)


「ぅわッ!?」(ズシャァッ)



(……これって昔の? なんだ? 夢、か? 嫌な記憶を思い出しちまったな。たしかに俺の見た目は昔から悪かったからな。)



「……クッソぉ!」


「ンだよ? やんのか?」(グッ)


「やめたほうがいいんじゃない? 先生にチクられたらお父さんに怒られちゃうかもだし」



(コレは学校の帰り道で上級生に絡まれた時の奴か? たしか、コレは俺が原因じゃなかったな? そういえばアイツとちゃんと関わった日、だっけか?)



「もう、いいよ、グスッ、日比埜くん。これは、もともと僕の問題だ、ズズッ。君は、関係ない」


「はぁ? ……いいや、関係あるねっ! 高橋は俺の友達だッ‼ イジメてんの見過ごせるかよッ‼」



(あー、そんな感じだったな? で、アイツは斜め上の事を言ってたっけ?)



「グスッ、は、はぁ? 僕は君とは友達では無いし、イジメられてなんかいないッ‼」



(そうそう、空気読めよって思ったよ。今も昔も変わってねぇよな、アイツ)



「もう行こうよ? 僕、帰ってゲームしたいんだけど?」


「あー、そだなー。お前らもう調子乗んなよ? 上級生への口の利き方ってのを……」


「もういいから。じゃあね? 後輩クン?」



(そういえば上級生の奴らいなくなってたな。そんな事言ってたっけ? 覚えてねぇんだけど? 俺達はそれどころじゃなかったからな)



「同じクラスだから友達だろッ!?」


「はぁ? 少なくても僕は君を友達だと思わないね?」


「な、なんでだよッ!?」


「君、ウザいから」


「はぁぁッ!?」



(結局そのままアイツと喧嘩したっけ? つーかこれ、アイツとの友達のキッカケか? ロクな出会いじゃないよな? こっからなんで俺達親友になったんだっけ?)



「ふざけんなッ‼」


「なッ!? やめろッ!?」


「あ? ……なんでお前、()()()()()()()?」



(あぁ? なんだこれ? こんな場面覚えてない、っつーか違うだろ? なんでアイツの胸が大きくなってんだよッ!?)



「や、柔らかいッ……」



『……ンっ』



「な、なんだこれ?」



『……アっ、ダメッ』



(ほ、本当になんだこれ? 俺にも感触が!? や、ヤベェッ‼)



 モミモミ、モミモミ……

 クリクリ、クリクリ……


『ア、アユミ、ダメだからッ!』



(ん? アユミ? ……アユミ?)




 ************




 目覚めた俺の目の前には白い双子山があった。そして俺の右手は禁忌の頂上を登り歓喜に満ちていた。



 なにがどうなってか俺の右手はパジャマの中に突っ込んでいたんだ。そして豊満な山の頂をダイレクトアタックしている。となれば、と恐る恐る大陸の正体を確認。


 というか、豊満な胸の持ち主など限られている。


「ヒ、ヒカ、姉……おはよう、ございます」



 相手は俺にとっての悪魔王だった。口を押えてピクピクしているみたいだが。



 さて、どうしたものか? 悪魔王はピクピク怒りを溜めてらっしゃる様だ。とりあえず手元は見ない様に保険は掛けておこう。見てたら確信犯だからな。


 そもそもなんで下着を付けていないのだろうか? 俺の問題じゃない気がするんだが? いや、しかし相手は理不尽悪魔王。筋が通る相手ではないと思われる。


 この右手の()()()()()べきか? しかし今や安全装置のような役割を果たしている様な気がしないまでもないかもしれない。


 ……難しい問題だ。


 手離して、しれっと知らない(てい)を作り出すべきか? しかしもう遅い。おはようと言ってしまった。


 かえって開き直るか? 男の本能を解放するか?

  

 つーかなんで朝から【デッドorアライブ】してんだよ?


「ぅンッ‼」(ボソボソ)


「へっ!?」



 あ、離してもうた。

 あ、目が合ってもうたわ。



 アカン、……オワタ。




「……もう、お姉ちゃんだからって甘え過ぎよ?」


 え? ……もしかして、そんだけ? いつもだったら、裸で外に出されるレベルだぞ? 最低でも顔面の成型が崩れるレベルだろ?


「あー、えっと、お、おはよう、アユミ。横にミライがいるんだから駄目よ?」

(2人だけで寝たらイケるかも? いや、次はアユミに……)ぶつぶつ。


 ヒカ姉は怒りを抑えてくれているからか顔を真っ赤にさせて、しまいにはぶつぶつ言いだした。俺は本当に助かったのだろうか? 悪寒がするんだが?


「わ、悪ぃッ‼ ヒカ姉! ね、寝ぼけて、てッ……えぇッ!?」


 せめて罪を軽くしようと謝ろうとしたんだが、半身起こしたヒカ姉の胸はパジャマは着ているものの、当然ながら無防備だった。下着を着けて無いのもそうだが、なんでボタン1個もしてねぇんだよ。



 今更ながら流石に恥ずかしくなってきて、俺は急いで背中を向けた。


 

「そ、そんな無防備な姿は好きな奴の前だけにしろよな? 家族でも、その、ダメだろ? 姉ならちゃんとしろよ?」


 俺だって嫌々女を意識させられてんだぞ? ずっと女やってんならちゃんとしろってのッ‼


「ん~? 姉妹同士で意識する必要ある? ……アユミが大好きなお姉ちゃんらしくぎゅーしてあげよっか? ちゅーでもいいけど?」(ペロリ)


「こ、断る。まだ早ぇけどメシ作るわ。ヒカ姉はさっさと着替えて顔洗って来いよ?」


 あっぶねぇ。そういえばそうか、姉妹なら意識しないもんか。心は男だからそこら辺が未だに分かんねぇんだよな。


 つーか、なんか狂うなぁ? 本当に認識変わっただけか? あんな女っぽいヒカ姉は見た事ねぇんだけど?


 それならなんで俺にだけあんな狂暴だったんだよ? 分っかんねー。



 俺は首を傾げながらそのままキッチンへと向かった。




  ~~~~~~~~~~~~




「じゃあ早ぇけど先に行ってくるわ」


「いっふぇらっふぁーい」(モグモグ)

「気を付けてね? あと、……朝のお礼はキッチリと」


「行ってきまーーーーーーーすッ‼」


 おっかねぇ。あれ以上は耳に毒だ。きっと聞いてしまったら今日は恐怖に震える1日になっただろう。

 

 はぁ、こんなんで元に戻れんのかよ?

 

 俺は肩を落としてマンションの階段を下りた。





 ~学校~


 

 時刻は昼……


 キーンコーン、カーンコーン 


 戦いは、始まる。



 ガタッ!


 ダダッ!


「なっ!?」


「甘い、甘いよ? 日比埜さぁん?」


「やぁ、日比埜っち? 相変わらずだねぇ♪」

「逃げられませんよぅ? 日比埜さん?」


 俺の2学期2日目。奴らとの戦い、『逃がしま戦』は教室で始まり、教室で終わった。


 チクショウ、廊下まで行けなかった。


「か、加賀見さん? お、おトイレに行きたいなぁ~?」


 せめて廊下にさえ出れば解放の兆しはある。そう思って言ったのだが。


「えぇ、構いませんよ? さ、行きましょ?」(ガシッ)


「いろいろ聞きたいなっ☆」(ペロッ)

「キュンキュンですぅ」(わきわき)


 逃がすつもりは毛頭無いらしい。


 つーか、おい?言ってる事とやってる事違う奴らがいるんだが? トイレでそれは……ガチでヤバくないか?


「安心してね? ボディチェックはしないから」(コキッ)


「信用出来ないよッ!?」



「ホントだってば。冗談冗談、ふふふ」(ペロリ)


「ははは」(わきわき)

「へへへ、あれ?んぐぐ」(グググッ)



「新しいパターンにしないでよッ!? 意味深にしか聞こえないからッ‼ え、えっと……大丈夫?」


 三女は無理して首の骨を鳴らそうとしていた。頭を手で押さえつけてるんだが、大丈夫なんだろうか? 小さくて健気? で可愛らしい気はするが無理するとこか?

 


「大丈夫?」

「ミナ、無理すんなよ? 大丈夫か?」


「首が、痛いですぅ」



 ほら、言わんこっちゃない。ったく、無理するから。



「保健室、行く? えーと……ミナさん?」


 たしかサニーが言ってたよな? ミナって。クラスメイトの名前くらいは憶えとかなきゃなぁ。全然知らねぇけど。


「え? 保健室、ですかぁ? それに名前……」


「早くしないと昼ごはん食べれないよ?」


 まだ昼からも授業あるんだぞ?食わねぇと()たねぇよ。


「ほら、加賀見さん達も!」


「そうね、仕方ないけどそうしましょう」(ニコッ)

「仕方ないね。ミナの為にも行こうか」(ニコッ)


「ありがとうございますぅ、日比埜さん」(ニコッ)



 ……俺、騙されてねぇよな?




 昼休み始動3分、何故か俺達は保健室に向かう事になった。

 何も無ければいいけど。


 




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