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災厄彼女2

微笑みながらもどこか厳かな様子で少女教室全体に目を向ける。少女を知らない級友達は初めての教室で緊張しているんだなとか考えているのだろう。大きな勘違いだと梶原は断言する。このおとなしそうな女の子は可愛く頬を染め恥じらいながら自己紹介をするんだろうなとも考えているのだろう。致命的な勘違いだと梶原は断言する。

少女は小ぶりな唇を開いた。




「笹原涼と言います。最初に言っておきます。私のことを可哀想だとか見下してくるくだらない偽善者は近付いて来ないで下さい。迷惑ですから」




微笑みを絶やさず、緊張した様子もなく、確かな口調で涼は言う。ほらねと梶原は呟く。これは自己紹介ではない。涼の先制パンチだった。


教室がさっきと違う意味でしん、となる。


「もし、近付いて来た場合は…」


涼はその白魚のような指で梶原を指差す。射抜かれそうだと梶原は怯んだ。


「そこにいる梶原観晴を見せしめに一発ずつ殴りますから。まあそういうことでまた入院するまでよろしくお願いします。これでいいですか?先生」


「おう。じゃ本人の希望だから笹原の席は梶原の隣な」



ー彼のー



涼は圧倒されている級友達の机をすたすたと歩いて何故だか空いていた梶原の隣の席に座る。



ー地獄の日々がー



「これからもよろしくね。ぱし、…いや観晴」



ー始まるのだったー



可憐に微笑む涼の隣で、彼女が言いかけた言葉を腹に刻みつつ梶原は人知れず涙を流す。


平和な日常、さようなら。


梶原の言葉は隣の涼にも聴こえないほどか細いものだった。

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