↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
決戦!魔王城!!
68/77

【03】

「イブルカルフ様!!」

「……なんだ?」

 跪いていた一人の魔族は、イブルカルフに今の状況を報告しに来るのであったが、あの時魔王城に電磁波の衝撃が走って時点で、イブルカルフには何が起きたのか既に勘付いていた。



 それと同時に、とうぜんながら魔王も察知していたのである。

「来たぁ……」

 玉座に座り顔を隠してはいたが、その言葉は少しだけ待ち人が来た事を喜ぶ。そんな印象をイブルカルフは感じとっていたが、側近としてイブルカルフは魔王に進言していくのである。


「魔王様、恐らくですがリュウイが来たと思われます」

「……」

「私は、現れた場所に向かいます。魔族四天王には後方で待機するよう指示を出したいと思います」

「でも……最終的に、ここまで来るよ?」

「存じております。それでも、少しでも余力を削りたいと思います」

「ふぅ〜ん。まぁ、イブルカルフに任せるよ」

「はっ!!」


 イブルカルフは頭を下げ魔王の元から、静かにその姿を消し広場へと現れたのである。




 最早、魔王様の恩恵で生き延びる事が出来た、転生ハイヒューマンの力はとてつもなく凄い。と言う話しは周知の事実として語り継がれていた。


 洞窟の街ドリームゼロにある、最高難易度を誇る洞窟をたった二人で制覇したとか……

 闘技場の街ムーンフェイズで三年に一度開かれる、武闘大会に圧倒的な力を示し優勝したとか……

 魔法都市フェィオンでは、魔法の発展に力を貸し己自身も更に魔力を向上かせたとか……

 物価の街サンライズ。年に一度開かれる大規模露店に出店し最高額の売り上げを叩き出したとか……


 そんな噂を、半年ぐらい前から魔王は耳にしていたのである。そして、新たな力を手にし再び魔王に挑もうとして来ている、転生ハイヒューマン。


「……強くなったなぁ〜」


 地面に着かない短い足をブラブラとさせながら、この場に早く来て欲しいな。と魔王は心を躍らせて今か今かと待ち望んでいるのであった。




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



「久しいな……リュウイ」

「イブルカルフ……」


 イブルカルフとは、俺がクリスタルから解放され三年経ったある日、突如マイホームに空から来訪と言う形で再会していた。

 あの時は突然の来襲に俺は驚き、その場から逃げ出しそうになっていた。

 だが、イブルカルフの目的は俺と戦う事ではなかった。

 俺たちと戦った後も、イブルカルフはライオネットワイバーンに変身し冒険者たちから魔力を吸収し続けていたそうだ。だが、魔王後継者候補止まりで、どうしてもイブルカルフは後継者にはなれなかったらしい。

 魔王に『なぜ!?』と問い詰めた所、己自身で足りない物を埋めろと突き放されてしまったのだった。


 周りの魔族たちに聞いても、跪かれるだけで結局なに一つ分からなかったイブルカルフは、思い立ったかのように唯一跪かない俺の元へと来たそうだ。


『俺の元に来られても返答に困る!!』


 そう答えたのにも関わらずイブルカルフは、無理矢理俺とドラゴの元で生活する事になってしまったのだ。


 嫌だと断ったのだけどな。


 共に過ごすようになってわかった事と言えば、思っていたよりもイブルカルフは悪い奴じゃなかった。

 ギロリと睨まれてしまえば腰は引けていたが、それも最初だけだった。

 彼は、自分の考えをうまく表現出来ないように俺には思えた。


 だから、どう考えてもそれは間違っていると思った時に、『それは違うと思うぞ。イブルカルフ』と理由を付け加えながら話すと、イブルカルフは受け入れてくれた。その結果、もうライオネットワイバーンに変身する事をやめ、別な方法を使って魔王に認めさせると言っていた。


 イブルカルフが無理矢理俺たちと生活するようになって、一年ぐらい過ぎた時……つまり今から約一年半ぐらい前に事態は急変した。

 魔王が突然、魔王と言う名の座を廃位したのだ。

 理由をイブルカルフは知っているように俺には感じ取れたが、魔族ではない俺に教える事はどうしても出来ないと申し訳なさそうに話ししていた。


 イブルカルフは次の魔王後継者として魔王城に戻らなくてはならなず、最後の願いとして彼は俺との対決を申し出て来たのだ。


 手加減したつもりはなかったが、結局決着は付かず時間切れとなりイブルカルフは魔王城へと戻って行きそれ以来、会う事はなかった。そして、新しい魔王誕生は当然俺の耳にも入り、その名を見知っているだけに俺には信じられなかった。


『馬鹿な……直接行って確認する!!』

 と飛び出しそうな所を、ドラゴに制止された。


 今更、確認する為だけに行ってどうなるっ……と。


 結局イブルカルフは魔王にはなれなかったが、その力を認められ魔族四天王と並ぶ側近として魔王城に留まる事になったのである。



 そして今、俺は久しぶりにイブルカルフと再会を果たした。

 互い敵同士としての認識の上で……




「一応聞いておくが、リュウイ。お前、何しにここに来た?」

「……魔王を倒しに来た」

「理由は?」

「……」

「新しい魔王様になってから、お前は何不自由なく生活をしていた筈だ? むしろ前より住みやすいぐらいだろ? なのに何故、今更魔王様を倒すとなるんだ?」

「……詳しい事は言えない。だが、転生ハイヒューマンとして俺に残された時間は少ない。だから魔王は倒す!」

「……俺や魔族四天王を倒してでもか?」

「あぁ……」




「わかった。では俺も手加減せずに、魔王様を守る者としてお前を倒す!!」


 長い沈黙の後イブルカルフから感じられる魔力は、あの頃よりも更に強く感じとれていた。

 だが、俺は負けるわけにはいかない。


 イブルカルフに負けない魔力を杖へと集中させて行く。


「フレアバースト!!」

「アイシクルキャノン!!」

 同時に放った魔法は中央で激突。

 互いに引かぬ状態の魔法は行き場をなくし、その場で弾け飛び四散した時だった。

 イブルカルフの拳が俺の目の前に迫って来たのは。

「くっ……!」

 すかさず身体を捻りながら避け、次の魔法を解き放つ。


「ライトニング・バーストっ!!」

 雷撃がイブルカルフに直撃。

「ぐおっ!!」

 そのまま倒れこんだイブルカルフは、煙を上げたまま動かなくなっていくのである。

「……」

 たった一発の魔法で俺は、イブルカルフを完全に無効化する事が出来た。

 あの頃とは違う、これが今の俺の実力だ。


「はぁはぁ……リュウイ……よ。……魔王様と戦うって事はお前……」

 戦意を失わせるのには充分な一撃ではあったが、どうやら意識を失わさせるまでにはいかなかったようだ。地面に倒れたまま動けないイブルカルフは、悲しそうな顔をしながら見上げていた。


「……言われなくても、わかっているさ」



 MPポットを取り出し、一気に飲み干した俺はイブルカルフの側から立ち去り取り囲んでいた魔族たちを見据える。イブルカルフを一撃で倒した事は、魔族にたちにとって驚異に思えたのだろう。道は流石に開けなかったが、ジリジリと後退して行くのが見て取れていた。


「ドラゴ……後は頼んだぞ」

「うむ。お主、死ぬでないぞ……」

「あぁ……ドラゴもな……」

「我は危なくなったら空中に逃げとるわい、後はお主が魔王を倒してくれるのを待っておるだけじゃ。待っておって良いのじゃろ?」

「あぁ……」


 ドラゴは、大きく息を吸い込み吐き出す。

 それは、火炎の息をではなく無数のごく小さな水滴を空気中に浮かび上がらせ霧を発生させるブレスだった。霧の中に包まれる魔族たち。その隙に俺は魔王がいる内部へと侵入を果たすのであった。



 霧の能力はこの五年間で手にいれた、五個ある『竜貴石』の一つの能力だ。既になんとか五個集め切ったドラゴが本気を出せば、この世界は僅か数時間で火の海か氷の世界に成り果てる事だろう。でもドラゴは魔王がいる限り本気を出せないらしい。


 話が逸れてしまったが、霧は一時的な物であった。

 直ぐに霧は晴れ、魔族たちはドラゴしか残っていない事に気づき、その後を追いかけようとする者やイブルカルフの元に近づいて行く者などがいる中、ドラゴは内部に侵入する唯一の入り口に立ち塞がりその姿を変化させて行く。

「なっ……ドラゴン!?」

「生きていたのか!?」

「魔族共よ……我を倒そうとするか?」

 ドラゴの言葉に魔族たちは、どうするべきか悩んでいた。

 強力なブレス、強靭な肉体を持つドラゴンである。戦いになれば時間はかかるが数の上で有利な事を踏まえ、魔族たちは内部に入って行った俺を追いかける為にもドラゴと戦う事を決意したのである。

「俺たちは魔王様を、守らなくてはならない」

「ふむ……我はリュウイが魔王と再会を果たすまでの間、お前たちをこの中に入れるわけには行かぬな」

 平行線の主張に、ドラゴと魔族たちの戦いは始まった。




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



 魔王城は本来入り組んだ迷路のような構造をしており、魔王の元に行くには中々面倒な作りをしている。

 普通に攻略をしようのしても、三日かかると言われていた。

 三日もかけのらりくらりと攻略していたのでは、それだけでタイムリミットを迎えてしまう。

 先程のイブルカルフとの戦闘で半分程消費した魔力ではあったが、それは既にMPポットで回復済みだ。

 魔力全開になった俺は、杖をアイテムボックスの中に入れ新たに剣を取り出す。

 魔王がいるのは一番奥にある塔のテラス。

 地図で場所を確認しながら俺と魔王がいる塔のテラスが、一直線になる位置を探し出していく。



「ふぅ……ここだな」


 心を落ちつかせるように、呼吸を整えて俺がアイテムボックスから取り出したのは真・聖王剣。

 杖と同じように真・聖王剣にも魔力を送り込むと、神々しくも剣刀は光り輝いていく……



 真・聖王剣はディナィトから引き継いだ聖王剣を更に進化させた物だ。

 ディナィトから聖王剣を受け取った時、俺は伝説の武器を手に入れた喜びと同時に、魔力全開で【ラグナロク(神々の黄昏)II(ツゥ)】を発動した場合、果たして耐え切れるのだろうか? と疑問が浮かび上がった。試し斬りするわけにも行かなかったが、多分耐えきれないだろうな……と俺は結論をだしていた。


 ならば、錬金が出来る今、俺なりに改良するのはどうだろうか? と考えたのである。

 再び聖王樹の麓にいるベーレの元に赴き、相談を持ちかけるとベーレは更なる材料を教えてくれた。


 それは今は亡き、ドラゴンを素材としていた材料だったのだ。


「頼むよ、ドラゴ!!」

「嫌じゃ!!」

 ……と、嫌がるドラゴから鱗数枚と生き血を手に入れ、出来上がった聖王剣は改良する事に成功。

 聖王剣は、全く違った物へと生まれ変わっていた。攻撃力は、申し分のないぐらい高く素晴らしくドラゴに感謝していたのだが、耐久度を見た瞬間俺は途方に暮れてしまった。


 それは、耐久度がたったの【1】だったのだ。


 これでは一発攻撃を与えた時点で、砕け散ってしまうと言う事は明白で幾ら何でも実践向きではなかった。どうにかして、この耐久度.1を何とかしなければとてもじゃないが使い物にはならなかった。


 アイテムボックスを眺めながら、使える物はないかと更に探しているとドリームゼロの洞窟で見つけた様々な宝石に目を向けていく。

 これを使って何とかならないかな? と思考を巡らせていた。


 耐久度+100を誇る、耐久の宝石.X。

 これを3つ付加すれば+301になる事から耐久度は、抜群に跳ね上がるのだが、何か耐久度だけを付加するのは勿体無いと思い始めていた。


 どうせなら……


 と言う思いから、俺は宝石も加工し始めた。

 ドラゴから無理矢理貰った残りの材料を使っていくと、ゲーム時代には存在しなかった新たなアイテムが生まれた。


 それが、魔力変換.EX。

 魔力変換は魔力吸収の進化版で、魔力吸収は敵の魔力を自分の魔力へと吸収する物なのだが、俺が作り出した魔力変換.EXは一味違う。


 俺の魔力を吸収させ耐久の宝石.Xに流し込み変換させていく。こうする事によって、欠点だった耐久度は俺の魔力が尽きない限り壊れる事はなくなったのだ。

 更に攻撃力.Xを進化させ魔力を流し込めば流し込む程、剣の威力は増えていく破壊力の宝石.EX。


 この三つの宝石の能力によって、聖王剣は最強の剣に生まれ変わり俺は真・聖王剣の名付けた。



 そして、神々しくも光り輝いていた真・聖王を頭上に掲げた時、天井も突き破る大きな光の柱へと変化していく。

「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 力任せに振り下ろすと、迷路だった魔王城は俺を魔王の元へと導く一筋の道を導き出してくれた。


「ふぅ……」

 最大限まで高めると真・聖王剣は申し分のないぐらい威力は最高なのだが、唯一の欠点はMP消費量が半端ないって事だな。

 残り少なくなるまで消費した魔力を再びMPポットで回復させ、俺は魔王目指して一直線に突き進んで行く。




 残りの2日と5時間……






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。