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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
出会いとそして、再出発
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【09】

「……なぁリュウイさん」

「なんだ?」


 地下牢に来たロジェは俺たちをこの場所から出し、冒険者ギルド本部の二階の一室。

 ロジェの部屋? と思わしき場所に案内してくれたのであった。


「お互いに聞きたい事は沢山あるとは思うんだ」

「あぁ、確かにそうだな」

「でも……その前にどうしても気になっている事があるんだけど?」

「と言うと?」

 ロジェは俺の隣に静かに座っているドラゴを、見つめているのであった。

「この人、リュウイさんの知り合い?」

「んっあぁ、ここに来る前に仲間になった」


 ロジェとは初対面だったな。

 確かに不思議には思うよな。


「始めまして、ドラゴと言います。以後お見知りおきを……」

 ドラゴはそう言って、頭をペコリと下げた後にロジェに満面の笑みを浮かべるのであった。


 っておいっ! ドラゴっ!!

 お前、俺との時と随分と態度が全然違うじゃねぇか!?


 片目をパチンッ!! とつぶりアイコンタクトを送ってくるドラゴに、女らしさは任せろ! とそう言う事なのか……と勝手に解釈する事にした。


 ロジェはドラゴの一連の動作を見ながら見る見る内に赤面し、プイと目線を逸らしていくのである。

「よっよろしく……」

 と言っていた姿は、あの頃のロジェとなんら変わりはないんだな。と言う印象を受けた。


「リッリュウイさん、そっ……そうじゃなくて」

「?」

「俺が言いたいのは、ドラゴさんがリュウイさんの事をどこまで知っているかって事だよ」

「……」


 そもそも、ロジェとドラゴは今が初対面の魔族だ。

 ロジェの疑問もわかる気がするし、どうやらロジェはドラゴに何処まで話ししていいのか、線引きをしたいようにも俺には見えた。


 俺にとってロジェは、今も変わらず数少ない信頼出来る魔族の一人だと思っているのだが、ロジェはそうではないのだろうか?


 別にここで話しした内容をドラゴは言いふらさないだろし、俺だってやらない。

 何が、ロジェをそこまで迷わせているのか……


 理解出来なかった。


 だが、理解出来ないからと言ってここで何も言わなければ、ロジェは口を開かないだろうし、話しは進む事はないだろう。

 それでは、俺がここに来た意味はなくなってしまう。


 俺はドラゴに相槌を送った後、口を開くのであった。


「大体の事は理解してくれているよ」

「……と言うと? どこまでなの?」


 はっきりと口にしないとならないのだろうか? ロジェならば、理解してくれると俺は思っていたのだが。

 だから、俺はロジェの質問に敢えて別な言葉を発する事にした。


 それはまるで今、俺たちの仲を確認するかのようなそんな質問だった。


「なぁロジェ……俺たちは、腹の探り合いをするような仲だったのだろうか?」

 察してくれよ。と言葉を付け加えると、ロジェは目を丸くし一瞬口元を釣り上げた後にヤレヤレ。失敗か。みたいな顔をしていた。

「……ふぅ〜わかったよ。俺が悪かった。確かにそうだね。腹の探り合いはやめよう」

「私、席外した方がいいかしら?」

「いや、ドラコさん。俺が悪かった。もし良ければ一緒に話しを聞いてくれるかな?」

 ロジェの言葉に俺はコクンと頷き、ドラゴはそのまま話しを聞く事にしたのである。


 しっかし、ロジェはの秘密主義も相変わらず変わらないものだ。

 先に優位な情報を手に入れなければ、こちら側の質問には一切応じる事はない。

 だが、俺が先ほど言った言葉に少しは、変化して話ししてくれるようになればいいのだが……


 先ずは、俺がロジェにと対面した時に抱いた違和感から聞いてみる事にするかな。


「なぁ、この数日間の間に何があったんだロジェ? 随分と雰囲気が変わったような気がするんだけど。なんと言うか……貫禄? があるな」

「そうかい? ……まぁ色々あったしね」


 そうロジェは見た目自身は、対して変わっていない。

 フォス族自体の背丈は三歳児より成長する事なくそのままを維持するのであって、俺が抱いている疑問はと言うと……

 上手く言えないのだが、以前のロジェは強く。そして、ウォルガフよりも博識でもありその一方ではどことなくお茶目な部分もあったと俺は認識していたのだが……

 今、俺の目の前にいるロジェはお茶目な部分が消えてしまい、責任感に満ち溢れている。

 そんな雰囲気を醸し出しているのだ。



「……ってリュウイさん数日間って、なにそれ?」

「ん? 魔王城で別れてからそんなに日にちは経っていないだろ? 精々三日か五日ぐらいだろ?」

「……どうやら、まず先にリュウイさんの時間の認識を改める必要があるようだね」

「??」


 ロジェの言葉は、衝撃的だった。

 俺は確かにあの時、魔王の手によってクリスタルに封印された。

 これは揺るぎない事実。

 だが、問題はそこからだった。


 俺は、クリスタルに封印されすぐに解放(タフリール)を使用したつもりだったのだが、実はそうではなく……


「リュウイさんがクリスタルに封印されてから、もう十年は経っているよ」

「なっ!!」


 ロジェの言葉を聞いた瞬間、空いた口は塞がらなかった。


「あら? 私、言っていなかったかしら?」

 とサラッと流すかのように、ドラゴは俺に言ってくるのである。


「……」


 聞いてねぇょっ!!

 聞かなかった俺も悪いが知っていたのならドラゴ。そう言う重要な話しは、頼むから先に言おうね!


「てへっ♩」

 悪びれずに俺の教えた通りに誤魔化しているドラゴを見ながら嬉しいような、ムカつくようなそんな憤りを感じ、素直にドラゴの態度を喜べないでいた。


 ……だが、十年か。

 確かに納得は出来るよな。

 マイホームは既に誇りだらけだった。

 あれは、三日や五日ぐらいの日数であそこまで酷くはならない。

 それに、冒険者パーティが解散されていたのも納得出来る。

 十年も時間が経てば、解散もするよな。

 いや、俺がクリスタルに封印された時点で解散したのかもしれない。


 漸く一つのピースが心の疑問にはまり解決出来た。

 ロジェのこの貫禄がある態度。変わりすぎだ。と言えばそこまでだが、十年と言う年月にロジェは成長を遂げたんだな。

 となると……ウォルガフもきっと変わっている筈だ。

 一体どのように変わったのかな。

 いや……ウォルガフの事だ。

 もしかしたら、何一人変わっていないかもしれないな。


 うん……再開が楽しみだ。



「リュウイさん?」

「あぁ、悪い。十年経っていると言うのは衝撃的だったが、色々と納得出来る部分も見えてきた」

「そうか。それは良かった」

「ロジェが貫禄を見せる程の成長を遂げたんだ。ウォルガフも成長したと俺は思っているんだけど、ロジェ。ウォルガフは今どこに居るんだ?」

「……そっちのストレートな言い方の方がリュウイさんらしな」


 ……茶化すなよなぁ。

 本当っ貫禄は出たけど、ここら辺は何一つ変わっていなんだな。


「で? どうなんだ?」

「……悪いんだけど、ウォルガフをリュウイさんに会わす事は出来ない」

「なっ!? どう言う事だよ?」

「……」


 沈黙が俺たちのいる部屋を支配していく中、ロジェは俺の目を逸らす事なく真っ直ぐ見据えていた。

 それはまるで、一度しか言わない。嘘、偽りのない言葉と言っているような気がした。


 ここまで来て会えないって納得出来る筈がない。


 しぃ〜んと静まり返る沈黙に耐えきれず、先に俺が口を開いていくのである。


「まさか……死んだのか?」

「勝手に殺すなよ。ウォルガフが聞いたら怒るよ」

「じゃ、不治の病とかか?」

「元気にピンピンしているよ」


「じゃなんなんだよっ!!」

 堪らずソファから立ち上がり、大声を上げロジェに怒鳴り散らしていた。


 わかってはいた事だが、秘密主義すぎるっ!!


 見下ろしている俺を見ながら、ロジェは本日二度目となる衝撃な言葉を口にするのであった。


「リュウイさんとウォルガフを会わせられない理由。それはただ一つ……」


 ズズズズズッ…… と空気を読めないドラゴがお茶を飲む音に、イラっとしながらも俺はロジェから目線を外さなかった。



「ウォルガフは魔族四天王の一人、フォス族の種族王となったからだよ」

「!!」


 そっ……それは予想外の展開だっ!?


「なっ……なっ……」


 まじっですか!?


 力が抜けたかのように、再びソファにストンっと座り込んだ俺は呆然と天井を見上げていた。


 落ち着け、冷静に整理するんだ……

 まっまず、ウォルガフは種族王になる事を拒んでいた。

 これは間違いない。ならば何故!? 種族王に……?

 確かミクロスさんがいたよな?

 出会った当初から引退して、ウォルガフに跡を継がせるような事を言ってはいたが、ウォルガフはそれを拒否し続けていたぞ?


 ……十年という月日の間にウォルガフも色々と合ったって事なんだろうな。

 今更、俺がひょっこり現れて以前のように変わらず旅をしたい。冒険をしたい。だから、種族王を破棄しろなんて事、言いたいけど言ったらダメなんだろうな。

 種族王になるって事はウォルガフお前……この先どうなるのかわかっているんだよな……?


 俺は……俺はお前と言葉を交わさなければならないな。




「……と言う事なのでリュウイさんには悪いんだけど、ウォルガフに会うのは諦めて帰ってくれると俺の立場的にも、仕事が減って楽なんだけどな」

「立場的……?」

「ウォルガフを護衛するのは当然だろ? なんてったって俺は連隊長はだしな。まぁNo.2って奴だ」

「なっなっ……?」


 はぃぃぃぃ!!??


 衝撃的な事実第三弾だな。

 やばい、頭がこんがらがって来た。


「ちょっと大丈夫? 顔色真っ青よ?」

「あっあぁ。大丈夫……色々な事があって少し混乱気味かも」

「なら、落ち着いて整理して見なさい」


 ドラゴの言う通りだな。

 うん、少し整理してみよう。


 まず、第一にクリスタルに俺が封印されている間に時は流れ、十年後の世界になってしまったらしい。

 現実世界でも、俺は十歳歳をとっているのかな? いや、もっと老けているかも……それはなんか嫌だな。


 第二に、俺と離れ離れになったウォルガフは、フォス族の種族王になってしまった。

 そして、ロジェは連隊長となりフォス族ではNo.2との事。


 まとめると簡単だな。

 簡単だが、濃い内容だな。


「ふぅ……ロジェ」

「なんだい?」

「結論から言えば、俺は十年間クリスタルに封印されていた。そして、その間にウォルガフはミクロスさんから世代交代を果たし、フォス族の種族王へとなった。そして、ロジェは連隊長に……そう言う認識でいいんだな?」

「そそ。頭の回転が速くて助かるよ」

「でもさ、疑問に思う部分もある」

「そこら変は、相変わらずだね〜」


 ほっといてくれ!

 ウォルガフに合わずに『はい、そうですか』と言って帰るわけには行かないんだよ。


「納得するまで諦めてくれないようだし、答えられる物は答えるよ」

「……きっかけがあった筈だよな?」

「……」

「ウォルガフがなぜ種族王になったのか? それを聞かない限り俺は、納得する事は出来ない」


 俺の言葉にロジェは、あからさまに空気を入れ替えていく。

 ドラゴも、お茶を飲みながらある程度寛いではいたが、ロジェの次の行動に対して警戒心を強めていく。

 そして、俺も緊張しながらも口を開いていくのであった。


「俺の予想では、あの時……魔王城での出来事がきっかけだと思っているんだけど」

「……」

「どうなんだ?」


 俺の一言にロジェは、考えこみ始める。

 そして、先ほどの張り詰めた空気を一転させ、まっいっか。と楽天的な顔をしながら俺を見つめてくるのであった。


「今更リュウイさんが、あの時の事を理解したとしても今の魔王様には、何も支障はでないだろうし。リュウイさんにも興味ないようだからね。教えてもいいかな」

「??」


 理解不能の言葉に困惑していると、ロジェは俺の頭をデコピン一発。


 今、この場で戦闘行為はないだろうと言う安心もあったが、デコピンに反応出来なかった事に俺は後悔していた。

 これが戦闘だったら……

 今ので俺は殺られていたのでは?


「ロッロジェ……?」


 視界がグルグルと回る中、ロジェの腕を俺は掴む事しか出来ず言葉に耳を傾けていた。


「リュウイさんは、何があったのか知りたいんだろ? 口で説明するより、直接見て聞いてきた方が早いからね」

「なっ……何を……言って……?」


 と言った瞬間、フッと意識を失い目を閉じていた。




 そして、次の瞬間空中を漂いながら俺の意識は魔王城を見下ろしていた。

 庭には、大勢の魔族たちがテラスを見上げており、そのテラスには魔王がその姿を現している。


 なっ何これっ!? これはまるで……クリスタルに封印される前……

 あの時、俺が最後に見ていた光景にそっくりじゃないか……


 ロジェの言っていた、直接見て聞いて来いってこう言う事かよ。

 それならそうとちゃんと言って欲しい物だ。


 まぁいい……あの時何があったのか、これでわかる。






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