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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
出会いとそして、再出発
58/77

【05】

 どれくらい刻が、過ぎ去ったのかわからなかった。

 だが、俺の思考が戻って来たのと同時に深い闇の中でフワフワと身体は宙に浮き、動かしたいと言う俺の意思とは裏腹で手も足も動かす事も出来ず、ただ心臓だけが、動いている。


 そんな感覚だった。




 あぁ……俺は魔王城に行き、イブルカルフに見つかった。

 その結果、魔王の元に連れて行かれなす術なくクリスタルに封印された。


 と言う事だけは、言葉に出来ずとも頭の中で理解する事が出来た。




 ……何も出来なかった。


 Level.50になった俺は何処か調子に乗っていたんだろうな。

 俺が魔王にチラ見したいと言わなければ、こんな事にならなかっただろうに……

 なんてバカで無謀な事を……




 そう言えばウォルガフやロジェ、グゥはどうなったんだろう?

 あの場には、いなかったような気がするけど。

 牢屋に閉じ込められているのだろうか?

 三人には悪い事をしてしまったな。

 俺に関わったばかりに、辛い目に合っていないだろうか?


 ウォルガフ……泣いていないかな?


 はぁ……

 俺は無力だ。

 もっと力が欲しい。

 魔王に負けない力が……


 何が『強くてニューゲーム』だ。

 何も出来なかったじゃないか?


 運営ちょっと出てこいよなぁっ!


 ……

 ………




 ちぇっ、やはり何も言ってこないのかよ。



 あっそうだ。

 俺もクリスタルに封印されてたって事は、ここには封印されている他のヒューマンたちがいるのかな? この場にいる可能性はおおいにあるよな。


 最早手遅れかもしれないが、最後の悪あがきに発動しみるか。


 口は動かず、指先も動かず……

 そんな中、俺は脳内でシステムメニューを呼び出し、スキル欄を表示させる。


 そして、クリスタルに封印されたヒューマンたちを解放する為に必要なスキル、解放(タフリール)を発動させるのであった。


 ……

 …………


 しかし、ブブーと言うエラーが表示されなかったのに、何も起こる事はなかったのであった。


 なんだよ……もう手遅れって事かよ。


 と半分諦めかけていると脳内でシステムメッセージが、突如鳴り響き始めたのである。


解放(タフリール)が発動しました。これにより、9999人のヒューマンはクリスタルより解放されました。ヒューマンの誇りはLevel.9にLevelアップしました』



 なっ!?

 遅れて反応とか鈍すぎだろ?

 どれだけ、ここの運営は仕事をする気がないんだ?!


 だが、俺の予想通りここにはヒューマンが集められていたらしいなっ。


『解放されたヒューマンはゲームクリアとなり二百秒後に現実世界へ強制送還されます。転生ハイヒューマンのゲームクリア条件は魔王討伐です』


「……ったく、無茶苦茶言うぜ」



 あっ言葉を発する事が出来たのと同時に、五感が戻ってきた。

 風は冷たく俺の身体を包み込み、草木の匂いが鼻を指してきている。


 どうやら、俺も解放(タフリール)の対象となっていたらしい。

 マジでクリスタルに封印されていたようだ。


 ゆっくりと目を見開くと目の前には解放されたヒューマンたちが、ゆっくりと透明へと変化していくのであった。


 どうやら、本当に現実世界に戻る事が出来るらしい。


 消えいく9999人の中には、フレンド登録していた戦士や魔法使いなどもおりクリスタルから解放された事に、皆は喜びあっていた。

 俺よりも長い年月クリスタルに封印さていた彼らが、どのような体験をしていたのか? それを聞く暇はどうやら残されてはいないようだ。


『後百秒後に、現実世界へ強制送還します』

 システムメッセージは待ったなしに、刻を刻んでいるのである。


 消え行くヒューマンをこの場に立ち見守るのも良かったが、俺にはそれは出来なかった。

 消え去る前にどうしても俺はハグと再会を果たしたかった。


 解放されたヒューマンの間を駆け抜ける中、俺はハグを探していた。


 ハグ!

 どこだ?

 どこにいるんだ!?

 責めて一目だけでも……!!



「おいっ!」

 ハグを探している俺を呼び止めたのは、ゲーム時代では最強と呼ばれていたディナィトだった。

 彼は半透明になりながらも、俺を見据えいた。


「ディナイト……さん?」

「……お前だけが他の者と違って半透明になっていない。と言う事はここに残るんだろ?」

「……」

 俺がディナィトの質問に黙って頷くと、彼は着ている鎧を脱ぎ捨て俺に渡してきたのである。

「これは……?」

「……俺にはもうこれを着る機会がないようだからな。最も今となってこの装備一式が役に立つかわからん。だが、お前に託す事にした。なにかの役には立つだろう?」


 ディナィトの着ている鎧は、ゲーム時代に一つしかないと言われる最強の『聖王シリーズ』一式だった。

 だが、ディナイトの言う通り改良しなければ、使い物になる事はまずないだろう。

 しかし改良さえ成功すれば、その性能は充分に発揮する事が出来る筈だ。


「この場にいるって事はお前も一度はクリスタルに封印されたって事だよな?」

「…うん」

「俺が言うのもおこがましいがいいか……もう二度と誰にも負けるんじゃねぇぞ」

「……わかった」

 ディナイトは俺の返事に満足したのか、その場から去って行き他の仲間たちと話しを始めている。

 俺は、ディナイトから授かった『聖王シリーズ』一式をアイテムボックスに入れ、再び早足でハグを探し出すのであった。


『残り三十秒。三十秒後に、現実世界へ強制送還します』


 まだ、時間内だと言うのにヒューマンたちは更に薄く透明へと変化していく。

 タイムアップと共に、その姿は消えてしまうのだろう。

 急いでハグを探し出さないとっ。


 せめて一目だけでも俺は……


 ハグに会いたい!


 好きと告白したい訳でもない。

 現在進行形で付き合っているわけでもない。

 でも、それでも俺は……


「ハグ!!」


『残り10秒を切りました。カウントダウンを開始します。10……』


 くそっ、運営めっ!

 少しぐらい待ってくれよ!

 まだ見つけていないんだ……


「ハグぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 お腹に力を込め出せる声を振り絞ってハグの名が響きわたるのである。


『……9』


 くそぉおおおおお!!


 諦めずに別な場所を探そうと踵を返した時だった……


「リュウイ……」

「……ハッ……ハグ」

『8…』


 別な場所を探そうとしている俺を、呼び止めてくれたのはハグだった。


「あっぁ………」

『7………6』

 言葉にならず、頭の中で後悔だけが俺を押し寄せてきた。


 魔王を倒しに俺が行こうって言わなければ……

 死んだら復活する事はないって事を事前に知っていれば……

 ハグが、一番最初にクリスタルに封印される事もなかったはず。

 俺があの時、無謀な事を言わなければハグはクリスタルに何年も一人で、閉じ込められる事はなかったんだ……

 全て俺が招いた結果なんだ……


『……5』

「ごめん。ハグ……ごめん」


 幾ら謝った所で、ハグに許してもらえるとは思わなかった。

 でもハグは、目の前でうなだれている俺をそっと抱きしめてきたのである。

「待っているわ。リュウイ」

「!?」

 それだけ言ってハグは俺の手の中から消えて行くのであった。


『解放されたヒューマンは現実世界に戻りました』


 俺の気持ちも知らずに、システムメッセージは残酷にそう告げてきたのであった。




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



「……」


 手のぬくもりがほのかに残っている中、俺は立てずに座り込んでしまっていた。

 本当にヒューマンたちはクリスタルから解放され、俺を残し全てのプレイヤーは現実世界に戻る事が出来たらしい。

 俺だけが取り残されていた。


「俺は……? どうすればいいんだっけ……?」


 あぁそうだ。

 えっと、なんだっけ?


『転生ハイヒューマンのゲームクリア条件は魔王討伐です』


 だったな。


 魔王は確かに凄い魔力の持ち主だった。

 今の俺に倒せるとはとてもではないが、思えない。

 でもハグは『待っいてくれる』と言ってくれた。


「……ふぅ」


 ウジウジとこの場で悩んでいたとしても、魔王を倒せる筈もない。

 気持ちを切りかえた俺は、魔王を倒し現実世界に戻る。

 そして、ハグにきちんと謝ろう。

 そう決意したのである。



「あっそういえば、ヒューマンの誇りがLevel.9になったんだよな。どんな能力だっけかな」


 確か……転生者II(ツゥ)併用付加。だった事は覚えている。


 システムメニューを開き、よくある質問の中にある『強くてニューゲームについて』。この中から、ヒューマンの誇りについて調べる事にしたのである。



 [ヒューマンの誇り]

 ヒューマンの誇りとは、クリスタルに封印されているプレイヤーを解放(タフリール)と言うスキルを使う事により解放する事が出来ます。

 解放する事によって、ボーナスパッシブスキルは解放されていき更なるステータス強化をする事が出来ます。

 Levelを1上げる為には、封印されているヒューマンを千人解放する必要があります。

 具体的なLevelアップ時のステータス変化は以下の通りです。


 Level.1 ボーナスパッシブ各ステータスアップ①(現在のステータス+100)

 Level.2 装備ボーナスアップ(現在のステータス+)

 Level.3 帰還の葉制限解放。

 Level.4 現在地を地図で表示 ※ゲーム時代の地理は()で表示。

 Level.5 ボーナスパッシブ各ステータスアップ ②(現在のステータス+200)①と重複不可。

 Level.6 全ての魔法解放。

 Level.7 ボーナスパッシブ各ステータスアップ ③(現在のステータス+300)①と②重複不可。

 Level.8 【ラグナロク(神々の黄昏)】使用後の硬直時間なし。

 Level.9 サブ職業のみ、全て職を自由自在に扱う事が出来る。

 Level.10 未解放の為、表示出来ません。



 うわっなにこれ???

 ステータスが軒並みとんでもない事になっているぞ!?

 特に魔法力が……


 ってかこれこそが、本来あるべき姿……『強くてニューゲーム』の醍醐味なんじゃないのか?

 ……今更感が半端ないなぁ。


 まぁいい、これだけの力を手にする事が出来たんだ。


 後はこの目覚めた能力を俺が、うまく使いこなせるようになった時……

 何年かかろうが俺は魔王に挑む。

 そして必ず、倒すんだ。


「ふぅ……」



 その為にもまずは、ウォルガフたちと合流しないとな。

 きっと心配しているだろう……






現在のステータスはこんな感じです。


 名前:リュウイ

 種族:転生ハイヒューマン

 Level.:50

 冒険者ランク:D

 メイン職業:魔導師

 サブ職業:①剣闘士 ②選択可

 武器:木の杖『魔法攻撃力 V=魔法攻撃力5倍』

 防具:『魔導師のローブ EX』防御力 150(+450) 魔法力 250(+10)(+)はEXの補正値。『防御力アップX』3個

 『ブラックミスリルブレスレット』魔法力 +10


 スキル:

【転生者II(ツゥ)

ラグナロク(神々の黄昏)II(ツゥ)

【ヒューマンの誇り Level.9】

【|解放《タフリール】


 魔法:全解放済み


 HP:450(+300)

 MP:1850(+300)

 SP:0(+300)

 攻撃力: 250(+300)

 防御力: 320(+1200)

 素早さ: 200(+300)

 魔法力: 825(+570)


※ ボーナスパッシブ各ステータスアップ③ +300適応中。

※魔導師のローブ補正値 防御力+600 魔法力+260 適応中。

※防御力アップX 3個+300 適応中。

※ブラックミスリルブレスレット補正値 魔法力+10 適応中。



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