↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
目指せ、Level.50![ 下 ]
40/77

【04】

「答えはでたようじゃな……では、リュウイ以外の者は引き続き魔力を練る事に集中するといいじゃろ」

「俺は……?」

「リュウイ……お主はこの場におっても皆の邪魔になる」

「!!」


 えっ……?


「……ちょ……ちょっと待って下さい……俺は……」


 魔力をコントロールしたい……から残るのに……?


「お主の気持ちはわかる。じゃが、現時点では何をやっても無意味じゃ」

「むっ……無意味……」


 ベーレははっきりと言い放った……

 無意味と……


「……」

「気長に待つしかないのじゃ」

「……でも」

「あそこの隅で皆の洗濯物を洗ってくれんかのぉ?」

「洗濯物……??」

「うむ」

「……」


 なんで、俺が……

 俺は洗濯物する為に残りたいんじゃないんだぞ!?

 魔法の向上の為にここに居たいのに、なんで洗濯物なんだよ!?


「ベーレのじぃじぃの言う事は、聞く! さっさと行け!!」

「はっはい!!」

 ムスッと納得できない顔をしていると、後ろからミュッケの怒鳴り声が聞こえた。

 飛び上がりそうになり、思わず返事をしてしまった。


 それにしても、なぜミュッケは俺にだけ偉そうに話すんだ?



 ため息混じりに頭をポリポリとかきながら言われた隅に行くと、大量の洗濯物が置かれていた。

 そして、すぐ側には蓋はしまっていたが、木で出来た丸い桶見たいな物があった。

 蓋は丸く取っ手が一箇所だけついていた。

 丸い蓋を持ち上げてみると、底には木で出来た回転羽みたいな物がついていた。


 何これ?


「洗濯係か?」

 桶の前に立っていると、桶とは対照方向に青よりちょっと黒目で、オオカミのたてがみをしているガルヴァルデ族が座りながら俺を見上げていた。

「あっうん……」

「今日の洗濯当番はミュッケなのだが……あいつサボりやがったな……」

 ガルヴァルデ族は、そう言いながら俺の横を通り過ぎミュッケの元へと行ってしまったのである。


 俺は考えた。

 取り敢えず、洗濯しろと言われたここに来たからには……

 目の前にある桶みたいな物は洗濯する機械なんだと思う!


 しかし、どうやるんだ? これは?


 桶の底に回転羽があるだろ?

 そして、蓋に丸い取っ手があるから、これを回すと回転羽が伝導して回るんだとは思うけど……

 これ……洗濯物が空回って危ないだろ??


「う〜ん……」


 腕組みをしながらどうやって洗濯しようかと悩んでいると、ミュッケはブツブツと言いながら俺の元へとやって来たのであった。

「洗濯しないで済むかと思ったのにぃ……」

「あっミュッケ?」

「僕を呼び捨てにするなぁ〜!!」


 思いっきり怒られてしまった。

「ミュッケ君?」

「子供扱いするなっ!!」

「……」


 どう見ても、子供だろ!?


「ミュッケ様?」

「心が篭ってなぁい!!」


 ……我儘な奴だなぁ。

 ウォルガフやロジェは、そこまで我儘じゃないぞ?


「呼び方はどうでもいいからさっ、洗濯のやり方教えてよ」

「……」

 思いっきりプイッとされてしまった。


 ったく……フォス族は扱いが面倒いなぁ〜


「ミュッケ殿、不肖の弟弟子にこの洗濯のやり方を教えて下さいませんか!?」

「……」

 フッ……

 今度は馬鹿にした目で、俺を見下してきた。


 もぉ〜あったまに来た!

 適当にやってやる!!


 要は全自動洗濯機の手動バージョンだろ!?

 桶の中に適当に洗濯物を五、六枚入れて……洗剤は何処だ?


「ミュッケ、洗剤は?」

「……ちらなぁ〜い」


 かっわいくねぇ〜〜


「じゃいいよ。このままで洗うから……」

 えっと次は水だな。

 水は何処だ?


 ……


 くそっ……水ないしっ!!

 どうするかな。


 魔力をコントロール出来なくたって、別に魔法を使えないって訳じゃないんだ。

 応用してやる! 見て驚け! ミュッケ!!

 威力は考えなくていいから省略魔法でいいな。


「アイシクルボール」

 空中上に形成した氷の塊を、俺は桶の中に敷き詰めていく。

「プクククククッ……」

 ミュッケの馬鹿にした笑い声が聞こえてきた。

 むかっとしながらも平常心、平常心……と自分に言い聞かせる。


「フレアボール」

 次に発動したのは、フレアボール。

 フレアボールは高温だ。

 触ると火傷してしまう。

 だから、手で触らないように氷を少しずつ溶かしていく。

「???」


 ミュッケには、俺が何をしているのか理解できていなかった。

 不思議そうな顔をしながら、俺のやっている事を見ていたのだ。


 溶けた水が蒸発しないように、フレアボールを氷に近づけたり遠ざけたりして調節して行くと、暫くすると氷は完全に溶け切り水へと変わって行った。

 少しぬるま湯ではあったが、俺は桶一杯に水を貯める事が出来たのだ。


 よしっ、こんなもんだろ。


 事の成り行きを全て見ていたミュッケは驚いていた。

「何今の……??」

「炎の熱で氷を溶かして水にしたんだよ」

「へっへぇ〜」


 ここら辺はウォルガフと同様素直に受け入れてくれるんだな。

 って何俺も、素直に質問に答えているんだよ……

 まぁいい、次はこの蓋の取っ手を回して汚れを落とす作業だな。


 取っ手を掴み取り時計回りに回そうとするが、何故かピクリとも動かなかった。

「んっ? 逆回りか?」


 ブツブツと独り言のように今度は、反時計回りに回そうとして見た。

 だが、反時計回りに回そうとしてが、取っ手はピクリとも動かなかったのである。

 無理矢理やっても良かったのだが壊してしまっては、ミュッケに何を言われるかわかったもんじゃない。

 と考えると無理矢理回すのは一先ず置いておく事にした。


「どうやるんだ? これ?」

 どう考えても、やはりわからなかった……


 ミュッケは相変わらず、協力的ではない。

 見て見ぬ振りをしている。


 桶の周りを回りながらどうすればいいのか、考え込む……

 すると、フッと思った事があった。

 ウォルガフなら、どうするかな? と……

 難しい事を嫌うウォルガフなら……


『ぼくにはわかりまちぇん!』


 ……


 ダメだこりゃ……


 えぇ〜い! 考えるの面倒だ!


 開き直った俺は両手を水の中に入れ水しぶきが飛び交う中、時計回りに回し勢い良く始める。

 水は中心に小さな渦を描きながらグルグルと回り始めた。

「ミュッケどうだっ!!」

「ぷっ!」

 ミュッケは、全身ずぶ濡れの俺の姿を見て腹を抱えて大爆笑していた。

 一通り笑い終えるとミュッケは、俺を見上げながら言ってきたのだ。

「しゃないな。教えてあげるよ、だから感謝してね」


 だから、なんで上から目線で言うのさっ!!


「あのね、丸い取っ手に魔力を送りなよ」

「魔力を送る?」

「うん。魔法を発動する時みたいに」

「ほぉ?」

 俺はミュッケの言われた通り丸い取っ手を握りしめ魔力を送り込んで見た。

 すると、俺の中にある魔力が取っ手を伝わり、底に回転羽まで流れ込んでいくのがわかった。

「取っ手回してみなよ」

「おっおう……」

 ゆっくりと動かして行くと、先程までピクリとも動かなかった取っ手が時計回りに動き出したのだ。

 取っ手の動きに合わせて、回転羽も動き始め洗濯物を空回りさせる事なく俺が先程作り上げた渦よりも、更に大きな渦になって回り始めたのである。

「コツは取っ手はゆっくり回しながら魔力を最大限送り込むと、もっと激しい渦が出来上がるよ」

「ほぉ〜」


 これ、意外と楽しいな……


 激しい渦を見ながらそんな事を考えていた。

 更に魔力を送り続けていると、フッとなにか身体の中で違和感を感じ思わず手を止めてしまった。


 なんだろう……この感覚?


「なぁ、ミュッケ。あのさ ……?」

「あぁぁ!! 手、止めちゃだめっ!!」

「えっ?」


 魔力が流れてこなくなった回転羽は、急停止していくのであった。

「あっちゃ〜遅かった〜」

「はぁ?」

「今日はもう洗濯出来ないよ……」

「なんでさっ?」


 質問に答える前にミュッケは、俺の足を容赦なく蹴飛ばしてくる。

「痛いって!!」

「どうするんだっ!! ベーレのじぃじぃに怒られるじゃないかっ!!」

「はぁぁぁぁ?」


 訳がわからん。

 なぜ、怒られる?


 執拗に蹴飛ばしてくるミュッケの襟首を片手で、掴み取り身体を宙に浮かせる。

 ミュッケはジタバタと動き回りながら、離せとか言っているがこの際無視だ。

 まずは俺と同じ目線にし、話しを聞く事にした。

「あのさっミュッケ。詳しく説明してくれないと、俺には理解出来ないよ」

「この洗濯機は、ベーレのじぃじぃ特製なのっ!!」


 だからなに?


 と、ますますミュッケにツッコミを入れたくなってしまう。

「もうベーレのじぃじぃが直してくれるまで動かないよぅぅぅ」

「?」

「うわーーーーん!!」

 ミュッケは、泣き出してしまった。


 俺が悪いのか?


 困っていると、ミュッケの鳴き声にベーレやウォルガフたちが集まってきたのだ。

「リュウイたん、どうしたんでちゅか?」

「わからん……」

 誤魔化す必要がない。

 全くもってミュッケが、なぜ突然泣き出しのか検討もつかない……


「よしよし……」

 ミュッケを泣き止ませようとしていたのは、メルクリだ。

 メルクリは、ミュッケの頭を優しく撫で回して落ち着くかせようとしていた。

 そして、キッ!! と俺を睨みつけるのであった。

「あんた、可愛いミュッケに何をしたのよ?」

「何って何もしてないよ……突然ミュッケが泣き出したんだ」

「嘘つかないで!!」


 なぜ、嘘だと決めつけるんだよ……


「リュウイたんは、ここで何ちぃていたんでちゅか?」

「俺はただベーレに言われた通り、洗濯していただけだ……」

「ふみゅふみゅ……」

 ウォルガフは短い腕を組みながら、困っている俺を助けようと一生懸命考えてくれていた。


 俺には、オチが見えている以上。

 その気持ちだけで嬉しいよ、ウォルガフ……


「やっぱりぼくには、わかりまちぇん!!」


 だよね〜〜


「ならなんで、ミュッケはこんなにも大泣きしているのよっ」

「それは俺も知りたいよ……」

「リュウイたんは悪くないでちゅよ?」


 まて、なぜそこで ?が語尾につくんだウォルガフ!?


「ヒック……あのね……」

 メルクリのお陰で、ミュッケは少しずつ落ち着きを取り戻したようだ。

 泣き止み会話出来るようになってきた。


 だが、ミュッケの話しの前にベーレが口を開いたのであった。

「ふむ……洗濯の途中で魔力の供給を絶ったようようじゃな?」

「……あぁ、確かに洗濯の途中で手は止めたな」

「それよっ!!」

「どういう事だ?」


 要するに……

 この洗濯機はベーレのお特製で出来ているらしい。

 特徴的でもある回転羽は、魔力を送らないと回転する事はない。

 そして、ミュッケが泣き出したんだ原因でもある魔力を途中で停止させると、回転羽は壊れてしまうらしい。

 回転羽が壊れると、一からベーレが作り直さなければならなくなり、直すのにかなりの労力が必要になるらしい。


 ……そんなの最初から説明して欲しいものだ。


「まぁ知らなかったから、しゃあないじゃろ」

「ですが!!」

 メルクリは、どうしても納得出来ないらしい。

 どうしても俺を悪者にしたいようだ。

 ミュッケと言い、メルクリと言い……

 どうしてこうも俺を嫌うかな。


 嫌われるような事した覚えは全くないのだが。


「じゃが、確かに直すのにも材料がないのも事実じゃ」

「必要な材料って何?」

「プラチナ鉱石に、トレント古木、モミ角材、ギガント原木って所かのぉ〜」

「ふむ」


 ベーレが述べてきたアイテムは、全てゴミアイテムとして今まで俺はゲームの中で店売りしてきた物ばかりだ。

 マイナー過ぎる。


「ギガント原木は、今は殆ど手に入らない物よ。あんたが持っているわけないわ!!」

 フンっと言いながら、メルクリはすたすら俺を見下している。

 ちょっとムカついたから、アイテムボックスの中からベーレが先ほど言ったアイテムを耳を揃えて出してみた。

「!!」

 目を丸くする、ミュッケとメルクル。

「ふぉふぉふぉ……」

 流石ヒューマンじゃ。と言わんばかりのベーレがいた。

「……あんた何者なのよ?」

 メルクルの質問に素直に答えても良かったが、ここでヒューマンと答えた所で今後ここにいる者たちに迷惑かけるのも釈だった。

「俺は、ティンシミングだよ」

「聞いた事ないわ」

「そりゃそうだろうな……」


 ウォルガフが適当に考えた種族だし。


 俺の視線に気がついたウォルガフは察してくれたのか、慌ててメルクリの弁明に入ってくれた。

 魔王が魔力注入時に新たな種族を生み出して出来たのが、俺だとか。

 他言無用とかウォルガフは俺の為に懸命に話ししてくれていた。


「そっそぅ……わかったわ」

 一通りの説明を聞き終えるとメルクリは、俺を好機の目で見てきた。

「どうした?」

「ダイヤモンドサファイア。出せる?」


 これまた、レアなアイテムを言ってきた物だ。

 ダイヤモンドサファイア。

 それは、ダイヤモンドのような輝きと硬さをもっており、サファイアのような青い色をしている珍しい鉱石だ。

 ゲームの時からも採取される事は殆どなく、一週間に一度だけ現れる限定ボスモンスターのドロップアイテムとして扱わられていた。

 使用用途は、魔力が増幅するアクセサリーの材料とされていた。


「ないの?」


 あるちゃあるけど……


 これは、俺がアクセサリー加工しハグにあげようとして持っていた物なのだが……

 まぁ、一個ぐらい渡しても作れるからいいか。


「ほらよっ」

 アイテムボックスからダイヤモンドサファイアを取り出しメルクリに渡すと、すっげぇ喜んでいた。

 ミュッケや俺、いや……

 この場にいた全ての者が、ドン引きしてしまうぐらいの喜びようだった。


 まぁ、ハグもあれくらい喜んでくれる。

 そう思っておこう。


 因みに、その日の晩御飯は豪華だった。

 メルクリはお礼と言わんばかりに態度をコロリと変え、食べきれないぐらいの量を作ってくれた。

 俺はすぐにお腹いっぱいになってしまったが、ウォルガフとロジェは大喜びだ。


 綺麗に食べ切った後、メルクリにウォルガフとロジェは言った。

「おかわりぃぃぃ」

「おかわりでちゅ」


 と……


 どんだけ食べるんだよ!!




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



 シュトレンは焦っていた。

 ヒューマンである可能性を秘めた男を取り逃がし、あまつさえ面倒な樹海に落ちてしまった事を後悔していた。

 樹海には既に優秀な部下を何人も派遣している。

 しかし、一向に『発見した』と言う報告が、上がらなかったのだ。

 ヒューマンの連れであったフォス族二人と、ムーンサン族もシュトレンの制止を無視して樹海に飛び込んで行ってしまった。

 もし彼らが先にヒューマンを見つけ、共に逃亡しているのだとしたらシュトレンは、それそうおうの処罰を彼らに与えなければならなかった。

 ヒューマンの可能性をある者を逃がし、あまつさえ手助けした者もいたとなれば他の魔族四天王が黙ってはいないだろうと思っていた。


 だが、シュトレンはそれをしたくなかった。

 種族は違えども同じ魔族、処罰などするものではない。

 これがシュトレンの持論だった。


 だから、シュトレンは彼らよりも速くヒューマンを見つけ出したかったのだが、報告もなく歯がゆい思いを過ごしていたのである。




 部下に捜索させる事、五日……

 ある一人の部下がヒューマンではないが、ダークエルフを見つけ後をつけた所、突然姿が消えてしまったと報告をしてきたのである。


 突然消えるなど本来あり得ない話に、シュトレンは信じなかった。

 しかし、手がかりがつかめない以上何かあると考えるしかなかったのである。

 そこで導き出されたのが結界……


 結界は自らの身を守る他に、人を寄せ付けないのが特徴的だ。

 シュトレンの部下を拒絶しダークエルフを受け入れたと考えれぱ、もしかしたらその中にヒューマンがいる可能性もある。

 シュトレンはそう結論を導き出したのである。

 更に、最高結界師として君臨しているシュトレンは、その結界に俄然興味を示し自らダークエルフが消えたという場所へ赴く決意をしたのであった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。